Horikawa, Hideaki

Watanabe, Akiko

Japanese

Tokushima University Institutional Repository

- 26 -    平成31年度第2回蔵本技術部門研修会「Qubit® Fluorometer＆NanoDropを用いたDNA量の測定」開催報告   蔵本技術部門 研究開発支援グループ         堀川 秀昌 (HORIKAWA Hideaki) 機能解析グループ          渡邊 明子 (WATANABE Akiko)  １．はじめに 本研修会は，DNA量を見積もるにあたり，主な二つの異なる測定方法の特徴について理解してもらうことを目的とし，基礎知識習得のための講義と，実際にDNAサンプルを測定してもらう実技との二部構成とした（図１）。分子生物学実験の初心者を参加対象とし，測定に使用するマイクロピペッターの取り扱い方法についても講義・実技内容に組み込んだ。講師を務めるにあたり，準備や講義・実技内容等で工夫や意識した点を中心に開催内容を報告する。   ２．概要 日時：令和元年9月27日（金） 13時00分～15時00分 場所：徳島大学医学基礎A棟3階 オープンラボ・遺伝子解析実験室（先端医研） 主催：徳島大学技術支援部蔵本技術部門 参加者数：5名 ３．内容 ３．１ 事前準備について  参加者間で分子生物学実験の経験歴が異なることが推測できたことから，事前にアンケート（図２）をとり，講義・実技内容を決定した。参加者5名をマイクロピペッター使用歴に応じて2班に分けることで，短時間で効率よく講義・実技を進行できるように努めた。また，配布資料は，スライド資料とは別に，手書きの補助資料[1，2]，考察シート，ピペッティング操作チェックシートを準備した。手書き資料は，参加者により理解を深めてもらうことと作成する側の労働時間の短縮を目的とした。   ３．２ 講義について  測定方法の特徴を説明する際に，核酸（一本鎖，二本鎖）の知識が必要になり，まずはその基礎的な部分の講義を行った。その後，NanoDrop(ND1000)，Qubitを用いた測定原理や特徴，操作方法について説明した。  時間 講義 実技13:00 全体の流れについてDNA，RNAについて濃度についてDNA濃度測定方法についてNanoDrop，Qubitの測定原理・特徴について13:35 マイクロピペッターの扱いについてマイクロピペッター操作練習13:50 NanoDropを用いたDNA濃度測定14:05 Qubitを用いたDNA濃度測定14:25 DNAの希釈14:35 NanoDropを用いた希釈後のDNA濃度測定14:50 結果の考察13:05図１ 研修会のプログラム 【事前アンケート】①マイクロピペッターの使用経験について（　）マイクロピペッターが何か分からない（　）マイクロピペッターの使用歴は、ほぼ無しに等しい（　）マイクロピペッターの使用歴は有るが、使用することに慣     れていない（　）マイクロピペッターの使用歴は有り、使用することに抵抗     がない②　①で使用歴が有ると回答いただいた方にお聞きしますマイクロピペッターには使用可能な容量により種類がございますが、どの種類の使用歴がございますか？（複数選択可）（　）P1000  （　）P200  （　）P20  （　）P10③DNAについて（　）DNAについて、よく分からない（　）DNAについて、なんとなく理解している（　）DNAについて、理解している（　）DNA濃度測定の経験がある図２ 事前アンケート  - 27 -    ３．３ 実技について  実技は2班に分かれ，マイクロピペッター使用歴に応じて課題を用意した。課題を示したチェックシートには，項目毎にチェック欄（□）を設け，定めた時間内で自分の技量に合わせて基礎から難易度順に挑戦してもらった（図３）。その後， NanoDrop(ND1000)，Qubitを用いて，既製品のcontrol DNAサンプルと組織から抽出したgenomic DNAサンプルを測定し，測定値を考察シートに記入してもらった（図４）。     ３．４ 考察について  考察シートには，測定データをまとめてもらうと共に，二択問題（図５）を用意し，理解度を確認してもらった。また，スライド資   料の最後に「おまけ問題」として，今後参加者が実際にDNA量を測定するとなった場合に直面するかもしれない状況を取り上げ，検討してもらった（図６）。   ４．まとめ  本研修会で扱った二つの手法は，核酸定量の中でも最も一般的に用いられる。しかし，特徴や原理を理解していないと核酸由来の定量値を精度よく測定することができない。実験内容によっては，初めのサンプル量を正確に見積もる事が実験の成功に繋がる。 今回の実技を通して，同一サンプルでも測定方法の違いによりDNAの定量値が大きく異なることが証された。核酸定量を行う際に，本講習会の内容が少しでも参考になれば幸いである。 分子生物学実験の基礎知識や基本操作について，引き続き研修会を開催することも可能である。参加者の感想を参考にし，今後の研修会の開催についても検討していきたい。  謝辞  本研修会の開催に関して，蔵本技術部門研修委員会の皆様のご協力により，また，先端医研の施設や備品を使用させていただき，無事に開催することができたことに感謝いたします。  参考文献 [1] これならわかる！分子生物学，渡邊利夫，ナツメ社 [2] 核酸(DNA・RNA)の定量法，柴山祥枝，ぶんせき2018年7号 【考察】・gDNAは（二本鎖・一本鎖）である・RNAは（二本鎖・一本鎖）である・DNAはRNAと比較して（安定・不安定）である・NanoDropは（吸光分光法・蛍光分析法）を利用している・Qubitは（吸光分光法・蛍光分析法）を利用している・1ng/μl前後のDNA濃度を測定したいときは　（NanoDrop・Qubit）を用いる・不純物（塩，タンパク，有機溶媒等）に影響されずにDNA濃度　を測定したい時は（NanoDrop・Qubit）を用いる・不純物の混入があるか確認したい時は（NanoDrop・Qubit）　を用いる図３ 研修会の様子（実技１） 図４ 研修会の様子（実技２） 図５ 考察シートから抜粋した二択問題 図６ 研修会の様子（考察） 

平成31年度第2回蔵本技術部門研修会「Qubit® Fluorometer＆NanoDropを用いたDNA量の測定」開催報告

https://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/files/public/11/114588/20200409111542248401/btsd_3_26.pdf

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