奥村 由美子

奥村, 由美子

オクムラ, ユミコ

Okumura, Yumiko

Tezukayama University Repository

巻頭言さまざまな年代への支援の充実を目指して奥　村　由美子帝塚山大学心のケアセンターは、地域の方々への臨床心理学的支援とこれから臨床心理士を目指す大学院生の教育研修を行う場として、教員や相談員、大学院生が多くのご相談にあたらせていただいています。 2012年度には、新規と前年度からの継続をあわせて275 名の方々のご相談をお受けしました。来談者数が年々増加の傾向にある中、より一層質の高い支援を行えるように、さらに気持ちを引き締めてまいりたいと考えているところです。当センターには、子どもさんから40 歳代の成人を中心に、さらに高い年齢層の方々も来談されています。総務省による平成24 年10 月１日現在の人口推計では、日本の総人口の減少にもかかわらず、65 歳以上の高齢者人口は3,079 万3,000 人と、前年より104 万人余り増加していることが報告されました。超高齢社会である現在、これまで以上に高齢者世代への理解を深めるとともに、世代間の交流を深めていくことが求められています。高齢者層に関わることとして、たとえば「介護」の問題が挙げられます。当事者の方への支援とともに、介護を担っておられるご家族への支援も重要な課題であり、主には中年期から高齢期の方々が直面されることが多くなります。その頃はまた、日常に過ごす環境や人間関係、健康状態にこれまでとは違う変化が現れてくる時期でもあります。平成23 年版高齢者社会白書（厚生労働省）には、「自分の健康のこと」や『経済的なこと』、「孤独になること」なども高齢者の心配ごととして示されています。当センターにおいても、そのような状況にある方々からの、「気分よく過ごせるように」とか、「これまでの人生の意味を考えること」「これからのより良い過ごし方を見つけること」などを目的としたご相談をお受けすることがあります。大学院生にとって、年齢の離れた、人生経験のはるかに豊かな方々のご相談をうかがうことには戸惑いがつきもので、「自分が聞かせていただいてもよいのだろうか」とさえ思うこともあるようです。しかし、心からその方に寄り添い、抱かれている思いにじっくりと耳を傾けるという姿勢は、来談される方の年齢を問わず、カウンセラーに求められる基本的な姿勢として何ら違いはありません。そのことを大学院生に伝えるとともに、自分自身にも常々言い聞かせ、敬意をもってかかわらせていただくようにしています。センターでは、教員、相談員、院生のいずれもが、より良いカウンセリングを行っていくためにそれぞれのご相談について真摯に向き合い、さまざまな角度から検討しています。ご相談いただく方々にとって、「この人になら話せる」と心から感じていただけるカウンセラーであり、また、心地よく過ごしていただけるセンターであり続けたいと考えています。

さまざまな年代への支援の充実を目指して

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