Yamanaka Kiyotaka

山中 清孝

Kiyotaka Yamanaka

GLIM IR Institution Repository

京都泉涌寺古文書採訪記日〈調査報告V京都泉涌寺古文書採訪記日（泉涌寺中世文書目録）　東山泉涌寺の古文書調査も今年で満三年目を迎える。その第五次調査は本年三月下旬に、第六次調査は九月上旬に行なわれた。調査参加者は、大三輪龍彦（鶴見大学）伊藤一美．小松大秀（第六次のみ）・山中清孝・吉井宏（第五次のみ。以上四名大学院生）　・下平蓉子（専修大学学生、第六次のみ）である。　春秋二度の調査により整理を完了した葬礼関係史料は、春は後光明・後西・霊元・東山・中御門・桜町・桃園・後桜町・後桃園・光格・仁孝天皇及び、東福門院（後水尾中宮）　・盛化門院（後桃園女御）　・恭礼門院（桃園女御）東京極院（光格後宮）　・瑠璃光院・雲龍院・成不動院他、秋は孝明天皇及び、新上西門院（霊元中宮）　・新朔平門院（仁孝女御）　・承秋門院（東山中宮）他である。　史料点数は状冊合せて、孝明天皇の八百二十九点を筆頭に、以下東福門院の二百四十五点、承秋門院の二百十点と続く。ここで注目されるのは、史料が百点以上現存する天皇は昨年度報告済の後水尾・明正天皇の他、後西光格・仁孝・孝明天皇のみであり、後光明及び霊元と後桃園天皇は、おしなべて十点内外しか史料が残っていないことである。即断はできないが、史料の残存状況からも幕藩体制下における天皇の社会的地位の変化をある程度窺うことができるといえよう。　史料内容は、天皇・女院ともに、　「御一会記」　「金銀請払目録」　「武家香貧帳」　「請取申下行米之事」など、既報告の後水尾天皇の葬礼史料とほぼ同じ内容のものが多いが、孝明天皇の場合は、将軍参詣史料・京都所司代京都町奉行・禁裏付賄頭取・大津代官・寺門伝奏勧修寺家等からの史料等バラエティに富んでむり、質量ともに最も充実している。また、状物六百十三点のうち、約三分の一は葬礼参詣の門跡・公卿らの御供の武士の人数書上げによって占められていることも興味深い。その他「東福門院御事記」、吉良上野介・雁金屋宗謙らの名も見える「延宝六年東福門院尊儀御中陰武家香貧帳」、正徳二年角倉与一宛の「請取申地子米同車力賃米之事」、慶応三年十二月二十五日（孝明天皇崩御の日）天皇の痘122瘡回癒の為の祈禧依頼状等注目に値する史料は枚挙にいとまがない。　右の他忘れてならないのは、東福門院・孝明天皇の箱の中に混入していた史料である。総点数は五十点ほどであるが、寛文元年の山城国紀伊郡横大路村の一味徒党一件（六点）文久期の祠堂金貸付史料、年代不明の下行米入札目録、慶応二～三年の「歳中米請払勘定帳」等、寺領支配・寺院経済を明らかにしうる好史料が多い。第一次～三次調査で整理済の地方史料、日並記、そして山田家旧蔵文書などを併せ用いれば、かなりの程度までそれらの解明が可能であろう。　さて、本年度の調査により、泉涌寺文書の整理もあと数人分の女院史料を残すのみとなった。大三輪氏を中心とする我々調査班は、　一昨年・昨年と二度にわたって調査結果の中間報告を行なって来たわけであるが、そろそろまとめの段階に入らねばならないであろう。従って今回は既に調査が完了した中世文書（便宜上慶長期までを中世とする。）の編年目録の作成を中心とした。そして、昨年度の「天皇の葬礼」の史料紹介の補説として、秋の調査の中心であった孝明天皇の葬礼に関して簡単な史料紹介を行ないたいと思う。一、@孝明天皇の葬礼　孝明天皇は天保二年（一八三一）、仁孝天皇第四皇子として生まれた。母は藤原雅子（新待賢門院11正親町実光女）、諦は統仁である。弘化三年（一八四六）、十六才で践詐、崩御の年まで二十年十ケ月在位した。天皇の在位中はペリーの来航、異母妹和宮降嫁等内外ともに多事多難で、まさに疾風怒濤の時期であった。天皇御製の歌としては、　さまさまになきみわらひみかたりあふも、　国を思ひつ民を思ふためが最も著名であろう。　さて、孝明天皇が崩御されたのは、前述の如く慶応二年十二月二十五日である。　（続徳川実紀、皇統略記は二十九日とある。）御年三十六才、死因は痘瘡の由であるが、毒殺されたという風説が当時からあったという。「続徳川実紀」によれば、慶応三年一月四日の条に「主上旧膿二十九日崩御、依之有被令旨」とあり、普請．鳴物停止、銃隊調練延期、静寛院宮（和宮）へ御機嫌伺等が命ぜられている。また一月二十四日には、香貧献備令が出されていることが知られる。　さて、慶応三年の神尾安太郎・中村雅太郎宛の「請取123京都泉涌寺古文書採訪記日第1表　「孝明天皇尊儀御一会金銀請払」順 錫　貫 内　　訳 備　　　　考1 671，750 下行米770石 石二付872匁4分2 103，028 武家香莫3 55，900 関東御附法事 右大楓静寛院宮他生 36，355 下行銭 鳥目3305貫5 36，000 増米100石 石二付360匁6 29，400 中陰御被物料 銀630枕鳥目210貫？ 20，5ワ3 道具方償8 17．24　3 葬礼布施銀 銀壬10枚9 13，683 車舎井諸仮屋10 11，268 諸家香莫他 18，528 関東香葵他1 ？75，570 御一会諸雑費2 80，000 奉　納 （差引残高）3 3を忌10 葬礼大衆布施 導師，前住他へ生 26，265 惣加布施5 26，120 中陰大衆布施6 20，000 加布施？ 1？．生00 葬礼中陰中方已下8 18，500 右大将様御附法事9 9，230 百箇日大衆布施10 5，500 静寛院宮御入仏事他 5．？491 御入仏事他註1縷繍鑑＿。、。．．申下行米之事」によれば、葬送～百ヶ日の間に幕府から受取った米の総計は八百七十石で、後水尾天皇の場合より台所入用が百石増加している他は変化がない。しかも明治元年の「奉願口上書」によると、孝明天皇の葬礼のみ特別に百石加増されていることが知られる。　次に、　「孝明天皇尊儀御一会金銀請払」をまとめたものが第－表である。収入の合計は千拾三貫七百三十匁四分とあり、数字の上では後水尾天皇の場合の七十六貫八百九十二匁と比べて、約十三倍強である。しかしながら第R表慶応2年「歳中米請払勘定帳」でか年　を　　　（1866）順 米，　石 内　　　　　　訳1 267．77を4 寺領当納① 13由．0371 深野新田② 111．を892 上羽村③ 8．9998 丹州森村④ 8．8218 境　内⑤ 4．331を 勝竜寺村⑥ 0．0956 横大路村2 93．0139 旧臓残米3 20．0000 後陽成院250回忌下行米3 20．0000 御日供米5 10．0000 東寺ヨリ借入米他 3．2950 御供米他1126．43025 銀奉行江渡（内訳略）2 33．3215 年中飯米（月別）3 32．0300 下行米虫 28．4153 格別持節柄二付，為救被下5 21．5830 年中給米他 57．7？街2 東寺江返米他註　差引残高11S．5246石繰越。　小数点以下，下5ケタは切捨た。一方、右と比較するため慶応二年の経常収支（米請払）みてみょう。　（第皿表参照）収入の第一は寺領からの貢米である。特に二百六十七石余の約半分は元治元年ら泉涌寺領となった河内国讃良郡深野新田からの収入あることが注目される。その他旧臓残米、後陽成院二124周知の如く慶応期は極端なインフレの時期であり、米値段は延宝期の約十四倍であり、実質的には葬礼費用そのものはそれほど拡大していないといえよう。収入の内訳は後水尾天皇の場合と同じく、幕府・諸大名からの下行米・香貧によって占められている。一方支出面を見てみると、御一，会雑費が大部分を占め、以下奉納、布施と続くo百五十回忌下行米が目立つ。また、支出は銀奉行渡が最大であるが、寺領村々の庄屋・年寄給、寺役人給などの明細も知ることができ、好史料である。　以上、後半やや粗雑な史料紹介となってしまったが、後日詳細な検討をしたいと思う。泉涌寺文書目録（山中清孝）　　　凡　　例一、@本目録には、永仁四年以降慶長以前の泉涌寺蔵の　中世文書を収載した。二、@文書の配列は編年順とし、年月日の欠けたものに　ついては、推定可能なものについてのみ挿入し、他　は末尾に載せた。三、@文書名は編者が付した。四、@人名で解読不能の文字については、口で示し、人　名不詳のものについては某とした。五、@本目録は整理作業中の便宜をはかるために作成し　したカードによっているため、完全なものではなく、　仮目録にすぎない。125京都泉涌寺古文書採訪記日　　　　゜　n乙　　　　・　OU　　　　欠10N応元・1111i年欠）812梔i2・1113梔i3・111415梔i3．1116梔i3．111718梔i3・111永仁を2永仁63建武44暦応25暦応26貞治4？貞治68永和29年　　後443116・　・ 9　・　・　。　　・35・12129　1　　18・10O　qU　（応永3・11・3）　　　　　　・11　　　　　　・21　（応永3・11・26）　　　　　　・2719梔i5．8・1520梔i17・10・5 六波羅御教書前関白家政所下文建武四年寺領紛失記検非違所別当宣検非違使庁下文女房奉書　四条中将殿宛守護遵行状売券案問答状後小松天皇御農筆之写後小松院院宣後小松天皇農翰之写左大史書状左大史書状室町将軍家足利義持御教書室町将軍家足利義持御教書検非違所下知状検非違所下知状摂関家御教書足利義持御判御教書24応永28　623応水2761222応永27　5321応永26122625ｳ長元．7．2026i享？．12．2127搏ｿ元．－o・？28搏ｿ元．12．1829搏ｿ元．12．1930搏ｿ2．9．2731搏ｿ2．9．2832搏ｿ2・9．2933搏ｿ4．5．1934搏ｿ生．5．1935N正元．12．2936N正2．337N正2．4．1338ｶ明2．6．1039ｶ明14．6．1040ｶ明14．6・10 売券案女房奉書室町幕府奉行人奉書案某寄進状案称光院御葬礼之記某玄状　石井河内入道宛室町幕府奉行人奉書守護奉行人遵行状　馬伏五郎左衛門尉宛守護奉行人遵行状室町幕府奉行人奉書守護奉行人遵行状　馬伏五郎左衛門尉宛守護奉行人遵行状売券売券案室町幕府奉行人奉書宝林院主公尊言上状案売券泉奥寺教信去状守護奉行人遵行状守護奉行人遵行状12642長享242生1A文明18）43ｾ応一兀・11　・344ｾ応2・945ｾ応3・1046ｾ応3・10斬明応3・－048ｾ応6・349ｾ応9・1251ｶ亀3・1052i正5．1153i正7・－054i正13・855i正13・956i正13・957i正17・95 2生109102312132017191919258i正17・9・5 霊光之額字井裏書添状室町幕府奉行人奉書（松田長秀．飯尾清房）泉涌寺未寺背寺法追放之編旨之写（後土御門天皇編旨）室町幕府奉行人奉書案室町幕府奉行人奉書室町幕府奉行人奉書室町幕府奉行人奉書後土御門天皇編旨後柏原天皇論旨上杉氏寄進状泉涌寺領山科郷散在地目録守護奉行人奉書守護遵行状　神保越前守宛新熊野観音従雲龍院兼帯之旧記写雲龍院雑掌（欠）女房奉書室町幕府奉行人奉書（斎藤時基・飯尾貞運）室町幕府奉行人奉書（斎藤時基・飯尾貞運）71　？0　69　68　67　66　65　64　63　62　61　60　59享享享享（（（（（木大木・木緑藤緑緑年年年年年永永永水222元欠　　欠　 6662．．．・Y欠欠Y欠・…10761011））12）64g生716　　10　　18　　10　　5　　　　　　　　　16　　　　　　8　　28　　28　　2072摎ﾎ2・12・1173摎ﾎ3・9・20脇享緑生・10・1975摎ﾎ3・12・2076V文2・4・2777V文7・9・2278V文8・3後柏原天皇編旨女房奉書女房奉書後柏原院崩御記（実ハ御中陰記）後柏原院御中陰之記後柏原院御中陰記後柏原院崩御記（二水記抄大永6）女房奉書斎藤越前書状守護奉行人遵行状（飯尾為清）摂関家御教書柳本某書状守護奉行人遵行状（飯尾為清）　（緒方又三郎宛）室町幕府奉行人奉書（飯尾発連．松田秀俊）　（柳本弾正忠宛）後奈良天皇論旨案幕府奉行人奉書（飯尾為清）幕府奉行人奉書（飯尾為清）女房奉書（頭弁宛）守護奉行人遵行状（飯尾元運）勧進状127京都泉涌寺古文書採訪記日79V文8・後6・580V文9・4・1281V文10・7・2082V文10・983V文17・正・18触天文17・曲・785V文1786V文1887V文19・388V文19・489O治3・312　3　1990O治3・9・1891i弘治4）・正・592i年欠）・3・1493i弘治4）・正・1194i年欠）・10・3095i年欠Y1096i緑10・397i緑10．398i緑10・599i緑10・1062111 0後奈良天皇編旨案（尼子伊与守宛）女房奉書（安察使大納言殿宛）女房奉書泉涌寺領西九条散在地目録後奈良天皇編旨女房奉書（戒光寺宛）女房奉書（戒光寺宛）女房奉書女房奉書女房奉書後奈良院開山和尚国師号之御農翰之写前田玄以書状前田玄以書状前田玄以書状時房・春口・親綱連署状松永弾正久秀書状松永弾正久秀書状正親町天皇編旨案編旨（写）　（前欠）編旨（写）女房奉書㎜永緑10・12・－皿永緑11・5°21鵬永緑11・11・21鵬（年欠）・10・25賜（年欠）・12・23鵬（年欠）・12・15撹一兀亀2・2・20獅天正元・9・吉辰鵬天正元・9・吉辰燭（年欠）・2・6m（年欠）・卯月・17m（年欠）・6・18皿（年欠）・8・15旧（年欠）・9・5掘（年欠）・11・23m（年欠）・11・27皿天正5・正・14m天正12・9・8鵬天正13・後8・28……V正13・11・21囲天正13・12・22渇天正13・12。ぎ辰正親町天皇編旨正親町天皇編旨正親町天皇編旨守護奉行人遵行状某書状（大館上総介宛）織田信長黒印状山林法度条目仏牙法会勧進記勧進状明真書状氏政書状元武書状毛利輝元書状宮修理亮知盛書状秀慶・忠親連署書状僧全教・慶班・礼照連署書状蘭奢待寄進状正親町天皇編旨民部卿法印書状（前田玄以）太閤公御朱印之写一柳勘左衛門書状一山別朱印旧記128囲天正13・11・21鵬天正13・11・21必天正13・11・21獅天正15・11・10鵬天正17・8・8捌天正17・12・1鵬天正17・12・朔鵬天正17・12・10㎜天正17・12・10皿天正17・12・10塒天正18・12・b鵬文緑2・2・10撒文緑ら・10・2鵬年不詳・2・2鵬年不詳・5・B餅年不詳．6・b鵬年不詳・8・17鵬年不詳蜘年不詳蜘文緑2・6・12踊慶長3・9・18蝿慶長7・9・17豊臣秀吉寺領寄進状豊臣秀吉朱印状之写豊臣秀吉朱印状民部卿法印書状（前田玄以）当寺諸塔頭免許状豊臣秀吉朱印状（豊臣秀吉朱印状）写豊臣秀吉朱印状豊臣秀吉朱印状豊臣秀吉朱印状後陽成天皇輪旨後陽成天皇論旨豊臣秀吉朱印状豊臣秀吉朱印状豊臣秀吉朱印状豊臣秀吉朱印状豊臣秀吉朱印状泉涌寺宛泉涌寺来迎院宛豊臣秀吉御朱印之覚女房奉書（押紙正親町院）後陽成天皇編旨案法音院僧某書状権太小三郎之親書状斑慶長8・7・25踊慶長13・6・11濁慶長15・8・5囲慶長15・8・18協慶長16・10・3圏年欠励年欠m年欠後8・27旧年欠鵬年欠・9・28雌年欠・6・16莇年不詳・6・16燭年欠・8・21捌年欠・12．23憾年欠・6・5切年欠・9・16㎜年欠・11皿年欠・8・U鵬年欠・11・6鵬年月日不詳描年欠・5・18鵬年欠・閏5・1大仏仙僧会布施目録後陽成天皇論旨後陽成天皇編旨勧進状女房奉書泉涌寺仏牙伝来記歴代天皇御代々記某書状村井作右衛門尉貞盛書状石成長俊書状小林長俊書状小林長俊書状女房奉書某書状（大館上総介宛）輪旨案論旨案某書状某書状僧智口書状女房奉書施薬院全宗書状吉良若狭守書状案129鵬年欠・正月晦日聯年欠．6．18鵬年欠・ワ・22m年月日不詳m年月日不詳皿年欠・7．23彌年欠・後9・13聡年欠・8・2恥年欠・9・を鵬年欠・3・25照年欠・7・28……N欠・11．9聡年欠安東伊勢守書状赤川十郎左衛門他連署書状編旨案文女房奉書僧某書状某書状某書状某書状僧某書状西大寺高玄書状某書状柳本右衛内尉口安書状太閤秀吉公御朱印写130京都泉涌寺古文書採訪記∈）

キョウト センニュウジ コモンジョ サイホウキ 3 センニュウジ チュウセイ ブンショ モクロク

https://glim-re.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1517&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

キョウトセンニュウジコモンジョサイホウキ 3 センニュウジチュウセイブンショモクロク

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

GLIM IR Institution Repository

キョウト センニュウジ コモンジョ サイホウキ 3 センニュウジ チュウセイ ブンショ モクロク

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

GLIM IR Institution Repository

キョウトセンニュウジコモンジョサイホウキ 3 センニュウジチュウセイブンショモクロク