Spazieren in Berlin : Hessel, ein Berliner Flaneur

Abstract

1880年にシュテッティーソの富裕な商家に生まれたフラソツ・ヘッセルは,ワイマール共和国期に編集者,翻訳者として活躍し,雑誌の文芸欄に多くの小品を発表し,また3編の小説を残した。彼は幼年期をベルリンで過ごし,第一次大戦前にはパリでボヘミアンに混じって日々を送ったが,この体験が彼の両大都市への愛情をフラス-ル育み,彼を都市の遊歩者として特徴づけた。1929年にベルリソでの遊歩の体験をまとめた彼の散文小品集rベルリン散歩』が出版されると,プルースト翻訳を共同で 行 っ て 以 来 の 友 人 で あ  っ た ベ ン ヤ ミ ソ は ,フ「ラス遊ロ歩ル者の再来」と評している。本稿でフラス-ルはこのrベルリソ散歩』を中心に,遊歩者としてのヘッセルの歩みと知覚について考塞を試みた。彼は都市の遊歩を繰り返しレクチュールというメタファーで語り,フフヌドル遊歩者の歩みとまなざしを,目的に縛られず対象に対して距離をおいたものとして 特 徴 づ け て い る 。 『 ベ ル リ ン 散 歩 』 に は こ う し たフ遊ラ歩1-者ルの特性が刻印されている。同時に,その23のテクストすべての根底には,幼年時代の都市かつ精神的故郷であるベルリソという都市が,加速度的に移り変わり,現在の都市の姿とその中に残されている過去の痕跡が決定的に失われていくという,過渡期の意識がある。『ベルリン散歩』は移り変わりの激しいペルリソの個性を,日常的な光景の中に見いだし,生き襲麺な都市の痕跡をテクストにとどめようとする試みである。さらにヘッセルは,遊歩者の無目的なまなざしゆえに,見慣れた都市の現象を合目的性から切り離し,都市という書物を成す記号として新たに読み直し異化している。彼はこのようにして,目的合理性に縛られない新たな知覚の可能性を示唆しているといえよう

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