カンサ ト カイケイ セキニン SHERER ト KENT ノ ショセツ 3

Abstract

社会監査とは組織体の,その様々な関係者に対する社会会計責任を高めるための統制機構である。それは組織体の諸活動の社会的影響を,特に従業員,消費者及び地域社会の観点から評価しようとするものなのである。社会監査の一つは政府による法令に基づいた,例えば従業員の健康と安全,機会均等の改善のための監査であり,しばしば独立した検査官によって強制的に行なわれる。この種の社会監査の限界はその実施に高いコストがかかること及び要求される社会的責任のレベルが低いことである。今一つの形態は,組織体の経営者が自ら行なう自主的社会監査である。ここでは社会的責任の諸目的が定義され,またそれらを達成すべく計画が設定され,結果は監視される。このタイプの監査の主な欠点は,それが経営者自身によって行なわれることであり,それが何らかの独立した立場からの検査をうけなければ,関係者にとっての価値は制限されたものとなろう。第三のタイプの社会監査として考察されたのは,批判的社会監査である。これは独立した機関によって行なわれ,一般に社会的に無責任な行動を明らかにすることに努力が向けられる。しかし,批判的社会監査は極めて一方的なアプローチをとるものであり,かつまた一般に大企業に対して偏見をもっているのである。 社会監査は比較的新しい現象であり,またその背後にある理念は良く確立されており,一般にも受け入れられている。しかしながらそれは重要な実務上の困難さに直面しており,そのことがその成長を妨げているのであ11る。特に,すぺての社会的影響が共通した財務上の数値で評価されるべきかどうか,或いは社会的責任の異なれる局面には異なれる測定値が用いられるべきかどうかといった問題を含めて多くの測定上の問題がある。究概的には,組織体に対する統制機構としての社会監査の成否は,組織体の社会会計責任を改善しうるような,社会的行動の適切かつ整合した測定値をそれが作成し,提供できるかどうかに依っているのである

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