Kamano Yoshiaki

釜野 徳明

釜野, 徳明

Kamano, Yoshiaki

KANAGAWA University Repository

4.JELBA、1999年8月 号 、p.p.12-13.,.・鴇 》o脚「鯉 柵 叫 、、,へ一乱 こ .:..　轍…雛難灘灘".～≧芝.■.6.''難 ケナフ栽培と無薬品パルプ化の開発につ いて(3)神奈川大学総合理学研究所所長 ・理学部教授 釜 野徳明4.ケ ナフの無薬品パル プ化のモデル(続)パルプ化に全く薬品を使わないことは重要であり、この工程をしっかり行 うことが、漂白剤を全 く使わなくても良いことにつながる。そこで、前回に続き、別のや り方として、叩解を取り入れた方法をモデル(2)(図3)と して記してお く。この方法でもチップに したケナフを、水で煮ること(蒸 解)は 欠かせない。この蒸解を充分に行うこと、その前処理をしっか り行っておくことが、叩解の完全さを助けることになる。叩解するとき、布で包み込むか、布の袋に入れてケナフを、臼か木の切 り株のようなもので、木鎚で叩くのがよい。叩解 し、水洗をすれば、ほとんど粗パルプが出来る。なお、靱皮や木質部の芯が残っているので、これを最後にミキサーでほぐしてやれば目的のバルブが得 られる12)。図3は 県立平塚農業高校生の鈴木 梢さん(竹 内睦子教諭指導)が 工夫 した方法を示したものであり、各工程ごとに電子顕微鏡を使用 し、その繊維状態を追跡・確認しているiz)。この方法で作った紙は、繊維が良く絡み合っている。今一つ、重要な方法を記しておく。これは少し時間が必要であるが、最初にケナフを茎ごと水に浸けておく方法である。温泉の水に浸けておくのがより効果的であり、温泉の湯の再利用にもなる。色が最後までつきまとうのは、靱皮のせいであ り、はじめに水で処理すると、靱皮の色が抜け、色のきれいなバルブが出来ることが実験的に確かめられている。このことは、漂白の項でも述べる。この場合、切断 しチ ップ化 したケナフを袋に入れて浸けておけば、軽い蒸解処理となり、このあと、叩解すれば、パルプが得られる。もし、靱皮と木質部を分ける場合は、水か湯に浸ける方があとの処理が楽である。温泉水の場合、酸性 ・アルカリ性のいずれでも良い。熱いほど効果的である。また、実験的にも熱水中撹搾するとより効果的なので、温泉の場合には流水に浸けるとさらに効果的と思われる。温泉のある地域の小学校や公民館な どでの学習には、この方法を採用してほしい。大量処理が可能であり、工業化にもつなが り地元の産業の活性化になると著者は考えている。以上、薬品を全 く使わないパルプ化について述べたが、個々の前処理や叩解や蒸解をうまく組み合わせることがコツであり、この辺の工夫によって自分たち独自の方法が開発できるはずである。5.ケ ナ フパル プの無薬品 漂 白化の試 みどの程度の漂白が必要なのであろうか。高級紙のように漂 白するのでなければ、漂白剤は必要がない。前にも述べたように、乾燥 した硬い着色したケナフで もパルプ化の工前処理一 囲 一 水洗一一 国 一 水洗(細断)一ｺ ミキサー処理 一一一 水洗 一 粗パルプ→ 紙漉ー團図3ケ ナ フの 無薬 品 バ ル ブ 化(2)12》115-一 一程で脱色 される。新 しい薄青緑色のケナフを畑から持ってきて、それでパルプ化すれば、ほとんど色のないものが得られ、紙にしても、薄草色か薄黄色のものが出来る。小学校や公民館での学習では、これで充分であり、自分たちで栽培 した100%ケ ナフの葉書や卒業証書を作成することが出来る。市販漂白剤の使用:もし、大量処理する場合や、特に着色した(雨 にあて、黒色になった場合など)も のでは、どうにも水処理だけでは、色が抜けないのでその時は漂白剤を使えばいい。しかし、この場合でも次のようにしてほしい。まず、家庭用の漂白剤は、(a)塩 素系(キ ッチンハイターなど)(b)酸 素系(ワ イ ドハイター、ブライ ト等)の2種 類がある。塩素系は次亜塩素酸ソーダNaC10.酸 素系は過酸化水素H、02であり、いずれも水の中で自然発生的に塩素CIY、酸素0,(い ずれも単体ではなく、関連化合物も副生する)に よって漂白される。この強さは、温度によって増強されるので、加熱 したり、互いに混ぜ合わせると危険であり、いずれも悪臭を発生させる。これを排出すれば、公害となり、自然の生態系を破壊することになる。従って・使う量は、少なければ少ない程良く、薄ければ薄いだけ良い。著者の研究室の実験結果によると、今まで使われていた希釈液50%よ りもっと少なくしても良いことが分かった。すなわち、ほとんどの普通のケナフパルプは、上述の漂白剤の2～3%の 液の中に、一夜、そのまま室温で浸けておけば、充分漂白できることを確認した。漂白剤は使っても5%ぐ らいで留め、決 して加温しないことを強調 しておく。微生物と酵素による漂白の試み:剛ケナフの全茎を水に浸けておくと、自然の微生物によって脱色される。また、学問的には、いくつかの微生物13)や黒酵母141による方法が報告 されている。しかし、これ らの方法は、実用的でな くその使用は、小学校や公民館などでは不適当である。そこで著者は、普通に市販で入手可能な、園芸用の微生物混合液EM・1等 を着色パルプの漂白に使ってみた。さらに入手できる各種の酵素を使って同様の実験を行った。その結果を示す。実験は、微生物か酵素の5%液 を調製し、その500ml中へ着色パルプ5gを 加え、室温で振盈させた。観察は,24時間後(一 日目)、48時 間後(二 日目)、及び72時 間後(三 日目)に 行った。酵母は、約35℃ に加温した。24時 間後には、ジアスターゼ及び酵母(イ ース ト)に その効果がみ られた072時 間後には、カタラーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、及び微生物土壌改良剤EM・5(好 気性)に 、やや効果がみられたが、EM・1(混 合)に は、全く効果がみられなかった。以上の ごとく、ジアスターゼ と酵母の漂白効果がみられたことは注目に値する結果であり、利用性の高い技法と思われる。(以下次号(4)へ 続く)平塚市ケナフフェアでの無薬品パルプ化の各プロセス農示 羅 窟ガールスカウト東京支部でのプレゼンテーション風景一116一

ケナフ栽培と無薬品パルプ化の開発について (3)(H. 「新パルプ資源ケナフの栽培と利用に関する研究」)

2.JELBA、1999年5月 号 、p.p.10-12.ケナフ栽培と無薬品パルプ化の開発について(1)神奈川大学総合理学研究所所長 ・理学部教授 釜野 徳明1.緒 言(1)神 奈川 大学 で の ケナ フの栽 培 も、ここで満7年 目を迎 えた 。「1994年 度 総 合 理 学 研究 所 プ ロジ ェ ク ト研 究 報 告A-2」"によ る と、1994年 度 は3年 目の 連作 と あ り、表1に 示 す よ うに 、これ は1992年 度 か らの キ ャ ンパス 内 の 農 地 で の栽 培 であ る 。1995年 度 か ら本 年3月(1998年 度)ま で の4年 間 は 、新 館 増 設 時 の余 剰 土 壌 堆 積 地 で の 連 作 で あ る 。1996年 度は 、畑栽 培 と同時 に 、温 室 にお い て水 耕 栽培 を行 い21、一 方 、キ ャ ンパ ス の畑 とは 別 に 、 宮 崎県 熊 本 営 林 所 と協 力 して 森林 伐採 地 で の ケナ フ栽 培 を検 討 した 。次 いで 、1997年 度 には 温 室 で ベ トナム 種 の栽 培 を行 っ た 。 ケ ナ フ の種 類 と しては 、毎 年必 ず 中国産 ケナ フ ・青皮3号 を ま き、そ の 他 、青 皮1号 ・2号 及 び アメ リカ産 ケナ フ(EG41・EG71)、 ベ トナム 産 ケナ フ、イ ン ド産 ケ ナ フ、タ イ産 ケナ フ(NonSoon2・KaewYai・KhonKaen60)、 お よ び青 皮3号 大 学 改 良種 を栽培 した。1998年 度は、平塚市と協力し、休耕田での栽培を行い、この中で、上述の中国産3種 とタイ国産3種 の栽培検討を行った。これと同時にキャンパスの畑でも中国産とインド産及びベトナム産の栽培を実施 した。こうした各種ケナフの栽培経験か ら、自然に栽培に対する感覚が養われ、ケナフの生長観察とそれに適応する葉 ・茎 ・花 ・根の観察から植物ケナフの多様性を知ることができた。さらに、気温 ・土壌に対する感覚もこの経験から養われた。各地での民間の協力者の成果も、栽培に対する新しい知見を与えてくれ、参考になった。特に伊勢原市の旧ナシ畑での見事な成果は、今後の栽培の指針となった。この畑での種子とりも成功し、ほとんど100%発 芽する見事な種子を収穫した。昨年、12月6日 から12日 までのフィリピンのミンダナオ島におけるケナフ栽培の指導と視察は、さらに、私にとってかけがえのない良い経験となっている。表1神 奈川大学のケナフ栽培の経緯と状況場所お よび土 壌のpH 肥 料 年 度 品 種平 塚キ ャンパ ス(農 地)平塚キ ャンパス(土 壌堆積地)平塚キ ャンパス(土 壌堆積地)宮崎県(森 林伐採地)平 塚キ ャンパ ス(温 室の水耕栽培)平塚キ ャンパス(温 室)(鉢)平塚キ ャンパス(土 壌堆積地)pH6.8平塚市休耕 田pH7.5～7.8伊 勢原市(果 樹園)pH6.4化成肥料化成肥料化成肥料化成肥料ハイポネックス原液化成肥料化成肥料 、牛 糞、無肥 料化成肥料 、牛糞、無肥料牛糞+菌 床'92,'93.'94'94'95'96'961〇一10/0ノ'98'98青皮3号ア メリカ産EG41とEG71青皮3。2号 漸江省青皮3-3号 漸江省青皮3-20号 湖南省青皮1号青皮2号青皮3号'95青 皮3号 改良型NonSoon2KaewYaiKhonKaen60青皮3号青皮3-2号 漸江省青皮3-3号 漸江省青皮3。20号 湖 南省青皮3号ベ トナム産青皮3号青皮2号ベ トナ ム産イ ン ド産青 皮1号青皮2号青 皮3号NonSoon2KaewYaiKhonKaen60青皮2号一109一この報文では、最初に神奈川大学が実施 したケナフの栽培を中心にその実際を報告し、同時に環境 に対応 して生長するケナフの多様性を、花 ・葉 ・茎 ・根の各部位の観察からアプローチしてみたい。水耕栽培2,については、その概要を既に報告しているので、畑栽培と関連 した実際面の比較だけを引用 した。以上について、この項で報告 し(1)、 次に項を改めて新しい成果として無薬品パルプ化の開発について報告する(2)。一方、従来忘れられていたケナフの根の利用 を考え、2.3検 討した結果、茎と同じようにパルプ化できることが分かった。この根は、さらに、茎 と同じように炭にできることが分かった。こうした新 しい成果と、現在取 り組んでいるケナフ研究の2,3の 課題の様子、および展開しつつある新しい成果について、最後(3)に 述べる予定である。2.ケ ナ フ栽培 の実際神 奈 川 大 学 で ケ ナ フ栽 培 した 今 ま で の 経 緯 と 状 況 を 表1に ま と め た 。 栽 培 に使 用 し た 種 子 は 、 ア メ リカ 産 ケ ナ フEverglades41(EG41)とEverglades71(EG71)・ 中国 産ケ ナ フ 青 皮1号(433)(早 く大 き く育 ち 花 を 多 く咲 か せ るが 、炭 疽 病 に 弱 く、繊 維 は短 い)、 青 皮2号(8310)(漸 江省 農 業 科 学 院 で 開 発 した 新 品 種 、花 は 少 な い が 干 ば つ に強い)、 青 皮3号('63～'64年 に ベ トナ ムか ら輸 入 し、中 国で改 良 し た 品種 、青 皮3号 は長 い 年 月 の 間 に い くつ か の種 類 に別 れて い る)、 タイ 産 ケ ナ フ3種:NonSoon2、KaewYai,KhonKaen60、 ベ トナ ム 産 ケ ナ フ お よ び イ ン ド産 ケ ナ フ(サ カ タ の種 子)の10種 と神 大 で 改 良 した'95青 皮3号 改 良種 を加 え た11種 で あ る 。 青皮3号 は 漸 江 省産 と湖 南 省 産 の2種 類 が あ る 。1992年 か ら1994年 ま で の3年 間 は 、 同 じ農 地 で の 連 作で あ り、そ れ 以 後 の1995年 か ら1998年 は 、新 館 増 設 の 際の土 壌 堆 積 地 で の 連 作 で あ る 。1995年 の 青皮3号 の 種 子 を1996年 に まき 、さ らに同 じ種 子 を1998年 に 平 塚 市 の畑(休耕 田)に 併 用 した 。1996年 に は 、ほ とん どの 種 子 が 発 芽 したが 、1998年 の 発芽 率 は60%で あ っ た 。 しか し、 発 芽 した もの の 生 長 は良 く茎 も太 か っ た 。 この 結 果 か ら、 適 当な種 子 取 りが 出来 れ ば 、日本 産 と して 改 良 出 来 る と思 わ れ る 。ア メ リ力 産 のEG41とEG71に は 、見 掛 け 上 、差 が な く、の ち1998年 に ま い たイ ン ド産 と類似 して い た 。同 じ く中 国産 の青 皮1号 、2号 お よ び3号 の あ い だ に も そ れ 程 大 き な差は見 られ ず 、比 較 的 青 皮3号 は 、大 きな ケナ フ とな り、茎 に側枝 が な くパ ル プ化 に利 用 す れ ば 、適 当で あ る と思 われ る 。特に、青皮3号 を水耕栽培 した ものの茎は、葉がきれいに落ち、まっすぐしたくびれのな い青 いステ ッキ状 とな りパル プ化 によ り適ヘ ロ つド 弛 ゆご㌧ 翫受 一一、》郎r≒.`、T 甲 甲,一半琢杯研 国の仲宗川 入子77ノ 栽増していることが分かった。青皮2号 は、早生で花が多いといわれているが、状況により側枝が出やすいことがわかった。インド産は、丸葉の葉を沢山つけ、側枝も多い。しかも、年を越して1月 になってもまだ花を咲かせ、青皮の種とはかなり違う。側枝や葉や種子をおとすのが大変である。タイ産ケナフの3種:NonSoon2、KaewYaiお よびKhonKaen60の うち、KhonKaen60は 、他の2種 と異なり、生長から青皮に近い形態を示 し、花も同じようであったが、あまり大きくな らなかった。化学成分(パ ラフィン組成と3種 のステ ロール:β 一シ トステロール、カンペステロール、およびスチグマステロール)に よる研究では、青皮に類似 していた2⊃。しか し、他の2種 は、最初の生長から青皮とは異種であり、茎は赤 くな り、しかも太くならなかった。この2種 、NonSoon2とKaewYaiは 、ついに花が咲かないまま枯れて しまった。化学成分の結果21からも、青皮 と異なることがわかった。おそ らくタイ産ケナフは、関東付近の気候にあわないと思われる。ベ トナム産は、温室ではかな り大きくなるが、青皮ほどではなかった。茎が白っぼく、畑での栽培では発芽率が特に悪く、この種も関東付近での栽培は不適であると思われる。種子は採集出来た。宮崎県の森林伐採地で熊本営林署より試験的に青皮3号などを栽培検討したが、同時に平塚キャンパスで栽培したものとほとんど同 じであり、森林伐採地での栽培が可能であることがわかった。化学成分による結果2】にも差はなかった。1998年 に、大学キャンパスと平塚市休耕田で無肥料状態での栽培実験を行った。この場合、生長はするが、比較的短 く茎も細かった。花はほとんど同じであったが、種子は小型であった。ばらまきを行った部分も同じ状態であった.一方、上述の両地で牛糞を土壌に入れた場合のケナフの生長は良く、大きな茎の太いものに育った。伊勢原市の畑栽培は、ナシ畑のあとであり、ここに牛糞とキノコ栽培の菌床を加えたものを肥料として用いた。少し遅いスター トであったにもかかわ らず生長が良く、高さは4mで あったが、特に茎が5cmぐ らいにまで太く生長 した。ここで種子取 りをしたが、成功した例である。この種子は、一110一発芽試験により、ほとんど1QQ%発 芽することが分かった。なお・この土壌は、pH6,4の 酸性であった・さらに・平塚キャンパスは・pHが6.8,平 塚市休耕田のpHは75～7.8のアルカリ性であったことを付記 してお く。一これらの栽培の経験とその成果から、次に示すような知見が得られ、次年度へ向けての新しい指針となった。1.種題:栽 培のこれらの経験から青皮は丈夫で連作が可能なこと、および種子も毎年採取できることが分かった。関東地方に特に適 していて、おそらく温度を保てば、年を越して育てることも可能ではないかと思っている。青皮の中では、青皮3号 がおそらく栽培に最適 と思われる。2.糊:キ ャンパスの畑を無肥料のもの・化学肥料を施したもの.牛 糞を施したものの3種 に分け、青皮1号 を栽培した結果、生長は化学肥料のところがはるかに良く、次いで牛糞が良く、無肥料のところがもっとも悪かった0しかし、牛糞のものは長く生長を続け化成肥料のものよりも大きく育つこと分かった。この畑は毎年連作 してお り、肥料があれば同じように生長することが分かった。また、肥料がなくてもある程度は生長する。3.配:著 者 らは毎年種子(青 皮3号)を 採集している・昨年の冬は暖かく、種子をゆっくりと熟成させることができた。太い茎のものはそれだけ大きな種子を持つ。種子 とりのコツは、上皮を少し落とし鈴なりについた種子を20ケ から25ケ くらい残して、それ以後についた花芽を取り去ってやり、充分種子の熟成を待つことである。この方法で、伊勢原の畑は良い種子(ほ ぼ100%発 芽)が 収穫できた。3.ケ ナ フの生長観察 と多様性(1)1997年(平 成9年)に は.畑 で従来通り青皮3号 を連作した。この青皮3号 は、途中、鉢植えにしてパルプ会社が持参し、ケナフ紙新製品の展示会に利用している。著者らも、畑栽培の花の咲いている青皮3号 を数本、鉢植えにし、11月7日(金)か ら9(日)の 第8回 平塚産業まつり科学技術工業展(平 塚市見附台体育館)に 出展した。こめ出展ののち、山天東リK.K.の 方から1月(平成10年)の 末のケナフ壁紙の展示会に、ケナフを展示したいとの申し出があり、鉢植えのものを体育館の日当たりの良い所へ移 した。まだ2本 はしっかりしていたので、そのまま水をやり続けた。暖房が入っているので日中は暖かいが、夜は冷える。冬休みに入り、暖房も切れるので12月 末に引き取りにきてもらった。東 リでは、これを 「花 と緑社」に依頼して保護 し続けたようである 。1月 末 の展 示会 で の出展 も終 わ った ケナ フ2本(1本は太 く、1本 は細 い)が 再 び研 究室 に戻 った 。そ の ま ま、水 をや り続 け た 。花 も2,3度 咲 き 変 わ った 。 小 さな 黄色 い花 で あ った 。数 日 、水 を切 ら した時 もあ った が ど うにか 生 き続 け てい る ら し く、確 か に4月 下 旬 まで は 、しっか りして いた 。そ の 後 上 の 方 が少 し枯 れ て きた が、まだ 、1mぐ らい まで は 、茎 が し っか り した もの で あっ た 。ほ とん ど11ヶ 月 間 生 育 して い る 。4月28日(火)、 畑で本 年 度(平 成10年)の ケ ナ フの 最 初 の 種 ま き を行 った 際 、 この1本 を土 に お ろ した 。 茎 は まだ 少 し青 か った 。茎 の根 元 は約4.7cm、 周 囲 は ほ ぼ13。2cmで あ った 。(2)1997年10月 に 、畑 か ら取 り出 した 数 本 の ケナ フを根 ごと水 槽 に入 れ 、そ の ま ま軒 下 に 置 い てみ た 。 この 条件 でも生 育 し、下 の葉 を落 と して 、上 の 方 で新 しい 小 さな葉を 出 し、小 さ な黄 色 い 花 を咲 か せ 、ほ とん ど2ヶ 月間 、生育 して い る ことが 分 か っ た 。軒 下 な ので 、寒 さ に耐 えられ ず 、や が て枯 れ始 め た 。(3)ケ ナ フ の水 耕 栽培 の報 告2,で ケナ フがpH4.5(酸 性)でよ く生 育 す る こと を述 べ た 。そ の際 に 、それ ぞ れ の根 の有様 を示 し、酸 性で は根 が細 根 の大 きな かた ま りとな って いて 、アル カ り性 で はそ れ が 小 さ い こと を説 明 した その とき 、鉢 植 えで は水 耕 栽 培 程細 くな い根 が幾 筋 もそ ろっ て 鉢 の中 を め ぐ り、底 の水 は けの穴 か らでて 外 へ は い出 して根 付 くこ とを 目 撃 した 。 キ ャンパ ス の畑 は 、石 が多 く下が 固 い ので 、根 は、そ の 間 を く ぐ り幾 つ か に分 かれ て そ れ ぞ れ 太 くな り、 そ の 先端 に盛んに土を求める根細 根 をつ け る こ とも確 認 した 。一 方 、や わ らか い 土 壌 では、水はけのあるところ ま で 根 が 長 く伸び て 、 太 根 を分 けないことが分かった 。(4)ケ ナ フの 茎 は、概 して 丈夫 で あ り、少 し ぐらい の風 で は折 れ る こ とは な い 。著 者 ら の 畑 で は 一 度 も支 柱 を 立 てた ことは な く、台風 が き て もそ の ま まに した 。 台風 で 根が 曲 が って も上へ 伸 び る 。上 層 部 が重 い ので 、根元 か ら曲 が る と い うよ り、根 を土 か ら出 して しま う 。 この根 は枯 れ る ことな く青 くな り、土 を求 めて いる様 子 が 目撃 でき る 。 ま る で ケ ナ フ の 生 命 力 を 示 して る よ うで あ る 。環 境 に 対応 して 生 き る 力強 い 植 物 で あ る こ とが 良 く分か る 一 面 と いえ る 。(以 下次 号(2)へ 続 く)一111一

ケナフ栽培と無薬品パルプ化の開発について (1)(H. 「新パルプ資源ケナフの栽培と利用に関する研究」)

https://kanagawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=7398&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1

ケナフ栽培と無薬品パルプ化の開発について (1)(H. 「新パルプ資源ケナフの栽培と利用に関する研究」)

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

KANAGAWA University Repository

KANAGAWA University Repository