Abstract

海洋生物はその種100万といわれ、地上における今もなお未知な世界である。本年度も、この海洋生物から、医薬資源となりうる有用な生理活性物質を発見し、構造を明らかにし、生物活性を検討することを目的として研究を行った。本年採集した生物は、23種であり、今までに249件を採集している。採集生物のリストをTableに示した。バイオアッセイを目印に、今まで、海草、アカフジツボ、クダウミヒドラ、スポンジ、エボヤ、ユーレイボヤ、イソギンチャク、群体ボヤ、オオワレカラ、コケムシ類等につき有用成分の探索を行った。特に、付着生物コケムシ(Bryzoa)類の各種の成分に注目し、各地で採集したフサコケムシBugula neritina、ホソフサコケムシTricellaria occidentalisおよびアメリカのフロリダ産コケムシAmathia convolutaの活性成分を検討し、有益な知見を得た。また、中国との共同研究が進み、中国側で大量(全1000Kg)のフサコケムシが採集でき、その成分の分離を行っている。特に海南島産フサコケムシから新規ブリオスタチン19を単離し構造を決定した。さらに、昨年度から淡水産のコケムシの一種であるオオマリコケムシをつくば市の沼で採集し、活性成分の探索を開始しており、本年も同じ場所で採集している。淡水産コケムシについての成分研究は、まったく未知であり本研究室が最初である。今までに幾つかの成分を単離している。以上の結果は、成分の成果の項に要約した。一方、かねてより海洋科学技術センターと共同研究を行っていた深海生物の成分探索に進展がみられ、相模湾深海生物のシロウリガイとハオリムシにも抗癌活性物質が存在することを発見し、目下他の様々な成分とあわせその活性成分の検索を進めている。途中の経過は、第14回しんかいシンポジウム(11月、コクヨホール、品川、海洋科学技術センター主催)にて報告した。また、第11回天然薬物の開発と応用シンポジウム(8月、八王子、東京薬科大学、日本薬学会主催)にて招待講演を行い、本プロジェクトの最近の成果を報告している。その他の発表、論文などリストした

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