Furuya Kimiyo

古屋 喜美代

古屋, 喜美代

Furuya, Kimiyo

KANAGAWA University Repository

─ 311 ─　2016 年度教職課程では齊藤ゆか先生をお迎えして，新たな体制で課程運営に臨んだ。齊藤先生は社会教育課程を主に，教職課程の運営にも積極的に関わり，今後学校ボランティアにも関わる予定である。　現在日本の教員養成課程は，生涯学び続ける力，同僚や地域等とつながる力・チームで対応する力など，教師として人として成長し続ける力の基礎を培うことが求められている。来年度には全国すべての教職課程で「再課程認定申請」が行われる。総合的な学習や特別支援教育に関する新しい科目の設置も予定されている。これまで以上に，「教職に関する科目」担当者と「教科に関する科目」 担当者の一層の協働により（そもそも大くくり化される），大学全体として主体的に一貫した教員養成を行っていかねばならない。　そのような中，本学教職課程ではこれまでに行ってきた活動をとおして，学生が教師としてのモデルを得，「教える仕事」の魅力に気づく機会をできるだけ盛り込むよう努力をしている。【カリキュラム内容における特色】　本学ならではの特色ある科目内容を幾つか挙げておきたい。　「教職論」（2 年次）：澤田特任教授を中心に担当者が協力して作成した共通のテキストを使用している。実務家教員の担当により，学生の教職へのあこがれを育み，より具体的な展望が描けるようにする。　「教育実習指導Ⅰ・Ⅱ」：3 年次の後学期および 4 年次前学期の科目であり，3 年次後学期に半期科目として設置していることは本学の特色である。教育実習に出る前に，教育委員会，卒業生教員等外部講師による講演を含め，事前指導に力を入れている。今年は「人権教育」「教育と性」「ICT 活用教育」「生徒指導」について，最前線の内容を講演により学修した。　「教職実践演習（中学・高校）」（4 年次）：教育実習後に自らの課題を振り返り，総合的に課題追及し教員としての資質を高めていくことが目指される。教科に関わる教員との協力のもと，複数教員がそれぞれミニゼミを構成し，課題を探求し学修成果の発表会を行う。発表の共有を通して多様な課題に触れることとなる（横浜キャンパス）。またパネルディスカッションを企画し，先輩教員 3名を招いていることも特色である。先輩教員（若手から中堅まで）のこれまでのキャリアを知るとともに，学生からの質問に率直に答えていただくことで，学生は具体的な教師像を描くことができ，たとえ教職につかない場合であってもこれからの人生を考える意義ある機会となる。採用試験不合格の学生が「自信を無くし今後に悩んでいたが，改めて夢に向かって来年もチャレンジしよう」と気持ちを決めたという事後レポートなどがあり，身近な先輩教員と学生との接点の重要性を改めて強く感じた。2016 年度　教職課程活動報告古屋　喜美代資料1─ 312 ─神奈川大学心理・教育研究論集　第 41 号（2017 年 3 月 10 日）【教育研究交流会および学校ボランティア報告会】　卒業生教員の会である神大ネットワークとの協力のもと，来年度から教員となる学生と卒業生教員，お世話になっているボランティア先学校関係者等を招いて，3 月 4 日に教育研究交流会を行う予定である。今年は本学卒業生（教職課程を履修）で社会福祉士である荒木夏彦氏に講演をお願いした。氏は小学校巡回相談を担当しており，学校と外部専門機関がどのように協働していくことが必要なのかを考える機会としたい。　あわせて，学校ボランティアを行う学生が今年度の活動の学びを発表し，ボランティア受け入れ校との連携を密なものにしていく予定である。【教員免許状更新講習】　今年度から「教育の最新事情」領域は，必修・選択必修に分けられた。ただし本学では受講者は必修・選択必修を両方受講する 2日間実施とした。従来通り，各自の教職振り返りと講演をもとにグループディスカッションを行う形式で実施した。教職経験を言葉にして振り返り異校種の教員が学び合う機会として良好な評価を得ている。【教員採用試験対策】　澤田特任教授らのもと，3，4 年次に継続的に対策講座を展開している。自治体の採用人数は減少に転じ始め，採用試験は全般的に厳しくなる方向に向かい始めたようである。そのような中，45 名（現役合格 15 名）の合格を把握している。今後，臨時的任用教員や非常勤講師として教壇に立つ学生は少なくない。来年度の活躍を期待していきたい。

資料1　2016年度　教職課程活動報告

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