research

Governance structure and Operating Performance of Japanese Major Banks

Abstract

近年,銀行の経営破綻が相次ぎ,金融システムの不安定性が高まっている。そのため,銀行のガバナンス構造を明らかにし,銀行経営の効率性を高めることは喫緊の課題である。ところで,非金融企業と異なり預金という特殊な負債を保有する銀行の場合,株主によるガバナンスが重要である。本稿では, 1990年から1998年をサンプル期間として,日本の大手銀行18行のパネル・データを用いて,株式所有構造の変化,株式所有構造と経営効率性および労働分配率との関係を分析した。その結果,①銀行の株式所有構造は経営効率性を重視する株主の保有比率が上昇する傾向にあること,②銀行経営に対して株主は経営効率性を高める方向で影響を与えていること,③株式保有比率が高いほど労働分配率が低下すること,すなわち株主への分配が多くなる傾向があること,の3点が明らかになった。従って,少なくとも1990年代において,銀行のガバナンス構造は株主への利益分配を重視する「新古典派型企業」としての性格を示していると言える

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