アレクサンダー・ツェムリンスキー ―シェーンベルクの「盟友」の実相をめぐって(1)

Abstract

 世紀転換期ウィーンの作曲家,アレクサンダー・ツェムリンスキーは,十二音技法の確立者アルノルト・シェーンベルクに作曲の手ほどきを行った師として,また彼の妹がシェーンベルクと結婚したことから,シェーンベルクの義兄として知られているが,彼の音楽に対する評価は,シェーンベルクが主導する「新ウィーン楽派」の先進性に比べて退行的なものと一般的には見られている。そうした否定的な評価はどの程度まで正当なのだろうか。ツェムリンスキーの音楽をいかに評価すべきかという根本的な問題を,彼とシェーンベルクの「盟友」関係の推移を手掛かりとして解明していきたい

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