Ami Otsuka

Chihiro Okujima

Naoya Hashikawa

Narumi Hashikawa-Hobara

Shinki Ishii

イシイ シンキ

オオツカ アミ

オクジマ チヒロ

ハシカワ ナオヤ

ハシカワ ナルミ

大塚 青海

奥島 千裕

橋川 成美

橋川 直也

石井 晋暉

大塚, 青海

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オオツカ, アミ

Otsuka, Ami

奥島, 千裕

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オクジマ, チヒロ

Okujima, Chihiro

石井, 晋暉

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イシイ, シンキ

Ishii, Shinki

橋川, 直也

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ハシカワ, ナオヤ

Hashikawa, Naoya

橋川, 成美

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ハシカワ, ナルミ

Hashikawa-Hobara, Narumi

AROUS Academic Repository of Okayama University of Science / 岡山理科大学学術リポジトリ

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)トランスジェニックマウス における恐怖記憶への影響   大塚 青海・奥島 千裕・石井 晋暉 橋川 直也・橋川 成美 岡山理科大学大学院理学研究科臨床生命科学専攻     カルシトニン遺伝子関連ペプチド (CGRP) を脳室内投与することで不安症状やうつ様症状を改善させることが知られているが、恐怖記憶学習における影響についてはまだ不明な点が多い。これまで我々は、CGRPと恐怖記憶との関係性に関して、CGRPの脳室内投与はCGRP受容体を介した恐怖記憶保持抑制に関与していることを報告してきた。今回、CGRPの恐怖記憶における役割を詳細に検討するため、CGRPを過剰発現させたCGRPトランスジェニック（TG）マウスを用いて、定常的なCGRPの高発現状態が恐怖記憶にどのように関与するのか、オープンフィールドテスト、受動回避試験を行い調べた。オープンフィールドテストでは、TGマウスにおいて自発行動量の有意な低下が認められた。受動的回避試験における明箱から暗箱に入るまでの時間は、野生型マウス（WT）に比べ、TGマウスにおいて有意な差は認められなかったが、減少傾向が見られた（p=0.0585）。以上の結果より、恒常的なCGRPの強発現においても恐怖記憶の保持に影響を与える可能性が示唆された。  １．緒言  日常生活においてストレスを感じた場合、人は食事や睡眠、運動などによりストレスを発散させる。しかし現代人を取り巻く環境が劇的に変化したことで、うつ病や心的外傷後ストレス障害（PTSD）などのストレス起因性の精神疾患が近年急速に増加しており、社会問題となっている。これらの疾患は、以前に経験した恐怖体験や嫌な記憶が蓄積された後発症すると言われており、ストレスと記憶との関連性において様々な研究がされている。しかし、その詳細なメカニズムについては未だ不明な点が多い。 カルシトニン遺伝子関連ペプチド  (calcitonin gene-related peptide[CGRP]) はカルシトニン遺伝子の解析から推定され、同一遺伝子上にコードされている37個のアミノ酸からなる神経ペプチドの一種であり、1982 年に初めて発見された。CGRPは、心血管系を含めて、中枢抹消に含まれており、CGRP受容体を介してcAMPを上昇させ、血管拡張、心拍数増加、心筋収縮力増大、片頭痛を誘発等の生理作用がある。これまでに、CGRPを脳室内に投与することにより不安症状 1) やうつ様症状 2) を改善させることを報告してきたが、恐怖記憶学習における影響については、未だ不明な点が多い。我々はCGRPと恐怖記憶との関係性に関して、CGRPの脳室内投与はCGRP受容体を介した恐怖記憶保持抑制に関与していることを報告してきた 3)。今回、我々は新たにCGRP過剰発現マウスを作成したため4)、定常的なCGRPの高発現状態が恐怖記憶にどのように関与するのか、CGRPトランスジェニック（TG）マウスを用いて受動回避試験法により解析した。  ２．実験材料および実験方法 ２－１ 実験動物  実験動物には、9 週齢の雄性C57BL/6J マウスを野生型マウス（WT）として用いた (清水実験材料, 京都) 。また同週齢の雄性TGマウスを用い、ケージ内に5 ～6 匹ずつに分けて飼育を行った。自由給餌法にて飼育し、飲料水は水道水を与えた。  ２－２ 行動試験による評価 一般行動による評価 Open field test; オープンフィールドテスト 四角形のオープンフィールド漕（縦30cm、横40cm）を用い、漕の中央にマウスを入れ3分間の行動を観察した。試験では、マウスの身体能力や脳の機能異常を評価する自発行動量、更に情動機能やマウスの不安行動を評価する中央滞在時間（time spent in the center area）の測定を行った。全ての動物の行動はビデオにて録画し、解析にはビデオ･トラッキング･ソフトウェア ANY-maze（室町機械株式会社, 東京）を用いて評価した。   岡山理科大学紀要　第55号 A pp.21-24 (2019)     (2019年10月31日受付、2019年12月9日受理)記憶・学習行動の評価 Passive avoidance test; 受動回避試験  動物が一度経験した嫌悪刺激 (電気刺激) に対して示す回避行動を記憶の指標とする試験である。明暗2 個の箱がつながった装置を用いた(有限会社メルクエスト MODEL: MPB-M010/PBM1015020)。１日目はチャンバーの明箱にマウスを入れ、10 秒後、ドアを開け暗箱に移動したら取り出し、環境に慣れさせた。２日目、暗箱にマウスが移動したら足に0.2 mAの電流を流し恐怖付けを行い、この時箱に入るまでの時間を測定した(測定結果1)。３日目、マウスが明箱から暗箱に移動するまでの時間を測定し(測定結果2)、(測定結果2)-(測定結果1) を求めた。計測にはストップウォッチを用いた。  ２－３ 統計学的解析  得られたデータ値を平均値±標準誤差 (Mean±S.E.M.) で表した。また、t -test を用いて統計的処理を行い、有意水準5%以下を有意差ありと判定した。  ３．結果 ３－１ 一般行動の評価  一般行動の評価にはオープンフィ―ルド試験を用い、自発行動量と中央滞在時間の測定を行った。WTマウスに比べ、TGマウスにおいて自発行動量の有意な低下が認められた(Fig. 1A)が、中央滞在時間では、両者において有意な変化は見られなかった(Fig. 1B)。          Fig. 1. Evaluation of general behavior in open field test. (A) Number of cross line(n=10-12). (B) Time in the center area (n=10-12). Each bar indicates the mean±S.E.M. Tukey’s test. *P<0.05.  ３－２ CGRPの恐怖記憶への影響  1 日目に慣れ、2 日目に恐怖条件付け、条件付けから24 時間後にマウスが明箱から暗箱に入るまでの時間を測定した (Fig. 2A)。電気刺激を与え、恐怖記憶を獲得させた後、24 時間後に記憶テストを行い記憶の保持を評価した。WTマウスが160 秒程度で暗箱に入ったのに対し、TGマウスでは110秒程度（p=0.0585）であった。両者において受動回避行動の有意な差は見られなかったが、TGマウスにおいて低下傾向が認められ、恐怖記憶保持が抑制された(Fig. 2B)。     Fig. 2. Effects of fear memory in CGRP Transgenic mice. (A) Seaquence of behavioral procedures for experiment. (B) Step through latency（sec）24 hr after foot shock（ 0.2 mA） (n=21-23). Each bar indicates the mean±S.E.M.   ４．考察  本実験では9 週齢の野生型マウス（WT）と同週齢の雄性トランスジェニック (TG) マウスを用いて、定常的なCGRPの高発現状態が恐怖記憶にどのように関与するのか、受動回避試験を用い検討した。 心理学的実験において、音、光、場所 (文脈)など、それ自体では恐怖反応を誘発しない条件刺激 (conditioned stimulus)と、電気ショックなど恐怖反応を誘導する非条件刺激 (unconditioned stimulus)を掲示すると、動物は両者の関連を学習し、恐怖反応 (すくみ行動)を示すようになる 5)。また、条件刺激情報の獲得・保持には海馬でのタンパク質合成が必要であることが報告されている 6)。一般的に恐怖音条件付けは扁桃体、恐怖文脈学習試験は海馬を責任領野とすることが知られている 7)。本実験における受動回避試験では、音条件付けではなく文脈条件付けを行ったため、海馬依存的な恐怖記憶に着目した。今回、我々の研究ではオープンフィールドテストにおいて、TGマウスで自発行動量の有意な低下が認められた。CGRPには痛みを中枢神経に伝達する作用や偏頭痛を誘発させる作用が存在する。今回我々が使用したTGマウスは体内22 大塚青海・奥島千裕・石井晋暉・橋川直也・橋川成美でCGRPが定常的に強発現していたことから、このような「痛み」に対する作用が恒常的に強く引き起こされていたことが予測される。その結果TGマウスの自発行動の低下に繋がったのではないかと考えている。また受動的回避行動試験では、両者において受動的回避行動の有意な差は認められなかったが、CGRP TGマウスにおいて、恐怖学習の低下傾向が見られた。我々はこれまでに、CGRPの脳室内投与がCGRP受容体を介した恐怖記憶保持抑制に関与している可能性を報告している。このことから、外部からのCGRPの投与と同様にCGRPが恒常的に強発現しているTGマウスにおいても恐怖記憶保持の抑制が見られたことから、CGRPが恐怖記憶保持抑制に重要であることが考えられる。   参考文献 1) Sink K. S., Walker D. L., Yang Y. & Davis M., Calcitonin gene-related peptide in the bed nucleus of the stria terminalis produces an anxiety-like pattern of behavior and increases neural activation in anxiety-related structures. J. Neurosci. 31, 1802-1810, 2011. 2) Narumi Hashikawa-Hobara., Takumi Ogawa., Yusuke Sakamoto., Yumi Matsuo., Yoshito Zamami., and Naoya Hashikawa., Calcitonin gene-rlated peptide pre-administration acts as a novel antidepressant in stressed mice., Sci Rep, Aug 7;5, 12559, 2015. 3)  Shuta Mishima., Ami Otsuka., Shota Matsuuchi., Naoya Hashikawa., and Narumi Hashikawa-Hobara, Effects of intracerebroventricular (i.c.v.) administra-tion of CGRP on fear memory in mice., THE BULLETIN OF OKAYAMA UNIVERSITY OF SCIENCE ,  54, A, 11-16, 2018. 4)  Mishima S, Otsuka A, Matsuuchi S, Hashikawa N, Inoue K, Hashikawa N. αCGRP Transgenic Mice Display Typical Physiologic Features. Yakugaku Zasshi. 138(8):1119-1126, 2018. 5) Tully T, and Quinn W G., Classical conditioning and retention in normal and mutant Drosophila melanogaster., J. Comp. Physiol., 157 (2): 263-277, 1985. 6) Barrientos R M, O’Reilly R C, and Rudy J W., Memory for context is impaired by injecting anisomycin into dorsal hippocampus following context exploration., Behav. Brain Res., 134 (1-2): 299-306, 2002. 7) Phillips R G, and LeDoux, J E., Differential contribution of amygdala and hippocampus to cued and contextual fear conditioning., Behav. Neurosci, 106 (2): 274-285, 1992.    カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)トランスジェニックマウスにおける恐怖記憶への影響 23Effects of fear memory in CGRP Transgenic mice    Ami OTSUKA, Chihiro OKUJIMA, Shinki ISHII, Naoya HASHIKAWA  and Narumi HASHIKAWA-HOBARA Graduate School of Science, Okayama University of Science 1-1 Ridai-cho, Kita-ku, Okayama 700-0005, Japan    Calcitonin-gene related peptide (CGRP) is a 37-amino acid neuropeptide, which plays a critical role in the central nervous system. It is known that CGRP administration improves anxiety-like symptoms and depression-like symptoms, but the influence of CGRP on fear memory learning is still unclear. We have shown that CGRP intracerebroventricular (i.c.v.) administration was involved in fear memory extinction through CGRP receptor. In the present study, we conducted open field test and passive avoidance test using CGRP transgenic (TG) mice, which exhibits overexpressing CGRP, to evaluate how the constant high expression state of CGRP is involved in fear memory. In the open field test, locomotor activity was significantly decreased in TG mice. Step through latency was not significantly but decrease tendency was observed in TG mice when compared to wild-type mice （ p=0.0585 ） . These results suggested that constitutively overexpressing of CGRP could affects fear memory.    Keywords: calcitonin gene-related peptide; fear memory. 24 大塚青海・奥島千裕・石井晋暉・橋川直也・橋川成美   (Received October 31, 2019; accepted December 9, 2019)

カルシトニン イデンシ カンレン ペプチド CGRP トランスジェニック マウス ニオケル キョウフ キオク ノ エイキョウ

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カルシトニンイデンシカンレンペプチド CGRP トランスジェニックマウスニオケルキョウフキオクノエイキョウ

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