中高齢女性の下肢筋力と平衡性との関連

Abstract

目的:転倒予防策を体力面から探るため、中高齢女性におけるバランス調整力を含む体力要素と下肢筋力である膝関節の伸展力(膝伸展力)、足関節の底屈力と背屈力(足底屈力、足背屈力)との相互関連を検討した。方法:40~89歳の女性285名を対象に、片足立ちテストと重心動揺計による平衡能の測定、下肢筋力(膝伸展力、足底屈力、足背屈力)の測定および体力診断バッテリーテスト(開眼・閉眼片足立ち、座位ステッピング、長座位体前屈、垂直跳び、握力、シャトルスタミナウォークテスト)の測定を行った。結果:被験者の体力値および片足立ちテストの成績は加齢による有意な低下を示した。重心動揺計による成績は重心位置の割合(G%)を除いた全ての項目において有意な加齢変化が認められた。膝伸展力、足底屈力は直線的な加齢低下を示し、50歳群より有意な差を認めたが、足背屈力は40歳群から60歳群まで加齢変化を認めず、70歳以降から有意に低下し始めた。下肢筋力と体力診断バッテリーテストとの間には有意な関連が認められ、特に垂直跳びは膝伸展力、足底屈力との間に0.6以上の高い相関を示した。片足立ちテストと重心動揺の各パラメータは下肢筋力、特に膝伸展力と足底屈力との間では全て有意な相関を示し、特に開眼片足立ちでは0.419~0.515、次いで最大前傾位と最大後傾位での重心位置の間隔(A-P%)では0.356~0.393の有意な相関が認められた。結論:転倒予防には、平衡能を確保する上で、筋力、特に下肢筋力の維持あるいは向上が極めて重要であることが示唆された

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