社会・家族の変化と子どもの社会性発達(曽和光代教授退任記念号)

Abstract

近年、保育所や幼稚園において子どもの社会性発達の問題が浮かび上がっている。本論文では、社会性の概念、その発達を阻害する要因を挙げ、社会性発達にとって保育所の果たす意義と今後の課題を提示することを目的とする。社会性発達の定義については一致した見解はないが、自己の確立と対人関係(人間関係)に関する諸特性ということができ、また社会的変容の影響を受けながら世代から世代へ、社会集団から社会集団に受け継がれる特質をも有する。さらに、社会・経済状況の変化は地域社会や家族にも大きな影響し、子どもを取り巻く人間関係にネガティブな影響を与え、これが子どもの社会性発達に影響を与える。このような状況において、多くの子どもが家族を離れて初めての集団生活を送る保育所の役割は極めて重要になってきている。子どもたちが集団生活する最も重要なメリットの1つは、他の子どもとの相互作用を通して成長・発達していくことにある。それを可能とするためには、(1)子どもの育ちをミクロからマクロの環境の相互作用から捉え、援助を行うこと、(2)「環境による保育」を通して人間関係を意識して育むことが必要とされる

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