research

海底に沈下した鯨骨下に棲むゲイコツケシハマグリ(新種)

Abstract

2002年に薩摩半島野間岬沖に沈設した鯨の遺骸下の硫化水素を豊富に含んだ海底沈積物中から発見された,微小なケシハマグリ科の1新種を記載する。 “Kelliella” ossisocian. sp. ゲイコツケシハマグリ(和名新称) 殻長7 mmの微小種で,殻はハマグリ型で,同属の他種に比しやや前後に長く,且つ殻頂も秀いでない。殻表は白色で成長線は時に弱い褶状になり,極めて薄い殻皮を被る。小月面は浅い溝で区切られ,楯面は不分明。前後の閉殻筋痕は同型同大。外套湾入は無い。右殻の主歯は半月形で,弧状の殻頂下歯との間に深い歯槽が出来る。左殻の殻頂下歯は前肢は溝を伴った半月形であるが,後肢は逆V字型。後主歯は太く斜位。本種は野間崎沖の水深226 mから得られたホロタイプのみ知られる。鯨骨下の還元層に棲むと思われるが,本属の他種は漸深海底帯から超深海底帯から知られ,このように浅海からの出現は極めて異例である。 本種は整ったハマグリ型であるが,既知種の多くは丸みが強く,殻頂部は著しく聳えて強く前傾する。Kelliella属 は多系統と思われるので,本種の属位は決定的ではない。チトクロームオキシダーゼ サブユニット1 (COI) 遺伝子の部分長塩基配列に基づく予察的な分子系統解析(藤原・他,未発表)によれば,本種はオトヒメハマグリ類のクレードの外群となることが示されている。http://www.godac.jamstec.go.jp/darwin/cruise/natsushima/nt07-09/

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