医療系学生による患者情報に関する事故の概要と対応 : 教育機関が把握しておくべき法的対応を中心として

Abstract

本研究では,医療系学生の患者情報(主として実習時における患者情報)に関する事故の概要とその対策対応,その中でも特に教育機関が理解しておかなければならない法的対応を明らかにすることを目的とした.対象として,2005年1月~2013年6月の8年6か月年間に報告・報道された医療系実習生による個人情報の取り扱い事故を収集し,そのうち12件の事故を分析対象とした.事故原因としては,ファイル共有ソフトを介した情報の流出が5件ともっとも多く,次いでUSBメモリの紛失が3件,SNSやTwitterへの情報の書き込みが2件,資料及びノートパソコンの置き忘れと書類の誤廃棄が各1件の順であった. 教育機関が把握しておくべき法的対応としては,(1)患者と実習施設,(2)実習施設と実習生,(3)実習施設と教育機関,(4)教育機関と実習生の,計4種類の関係が挙げられる.そして,学生は刑事罰に処せられることはないが,民事上の守秘義務が生じる可能性があり,教育機関としては,専門職の義務として公正であることを指導すべきである

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