看護学生の臨地実習前の感染予防対策 : 麻疹,風疹,流行性耳下腺炎,水痘の10年間の抗体価の推移から

Abstract

川崎医療短期大学看護科(3年課程)では,看護学臨地実習前の感染予防対策として,1998年から麻疹,風疹,流行性耳下腺炎,水痘の抗体価検査を実施し,抗体価の低い学生にはワクチン接種の勧奨を行っている.これら4種の感染症について,1998~2007年度大学生の10年間の抗体保有状況や抗体価の推移を分析した.さらに2005~2007年度大学生の入学前の予防接種の有無を調査した.そして現在の抗体保有状況の傾向と今後の予防対策について検討した.その結果,4種感染症の抗体陽性率は減少傾向を示し,水痘以外の抗体価は有意な変化を認めた.また以前から言われていた,予防接種後抗体陰性となるワクチン効果不全(vaccine failure)の問題を認めた.今回の調査でvaccine failureは,麻疹2.1%,風疹6.7%,ムンプス7.1%,水痘4.1%であった.そして,入学前の予防接種の有無を母子手帳で確認するよう説明したが不明者が多く,母子手帳の確認だけでは,抗体保有を確定することはできなかった.以上のことから,臨地実習前には必ず抗体価検査を行い抗体陰性者にワクチン接種を行なう必要性があることが示唆された

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