障害個性論の背景 : 「障害は個性である」という言葉の役割

Abstract

障害個性論とは,「障害は個性である」という趣旨を持つ言説の論争である.本研究においては.今までに論じられた障害個性論を,(1)いかなる時代背景,社会背景であったか.(2)どのような立場のものがいったか.(3)どのような意図を持っていったのか.(4)障害とはどのような障害者の障害を指しているのかの,(1)~(4)の検証課題に基づき検証することで,この論争の実体を整理した.その結果,障害個性論とは明確な理論体系を持っているとはいい難く,「障害は個性である」という趣旨を持った言葉が先行したことであって,体系づけられた論争ではないと考える.この「障害は個性である」という言葉は,標語のような役割を果たしたのではないかと考えられた.しかし,この言葉の賛否が論じられたことは,障害や障害者について社会が考え,議論する題材であり,その機会を与えてくれた.と考えることができた

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