ヴィクトリー・プレイセンターにおけるJapanese Sessionの先駆的実践

Abstract

本稿では、ニュージーランド、ネルソン市のヴィクトリー・プレイセンターでJapanese Session(以下、日本語セッションと記す)を開催する「たんぽぽ」を調査対象としている。調査では、ニュージーランドにおいて日本人がプレイセンター活動をすることの意義や日本の活動者との相違を明らかにすることを通じて、日本におけるプレイセンター活動への示唆を得ることを目的としている。調査方法は、スーパーバイザーたちや参加する親たちへの聴き取り調査、グループインタビュー及び質問紙調査を行うこととし、日本語セッション設置に至るまでの経緯、対象者の属性と活動に対する意識、活動評価、課題や抱負などを確認した。その結果として、どちらの国の参加者も「親子が一緒に活動し、共に成長しあうこと」や「仲間づくりの拠点としてプレイセンターを活用すること」が活動を通じて成し遂げられていたことがわかった。今回調査を行った日本語セッション「たんぽぽ」では、セッションをリードするスーパーバイザーらが活動を円滑にするための中心人物となっていた。また、プレイセンターというシステムがすでにニュージーランド社会のなかで一定の地位を得ていることやプレイセンターの遊び環境が常設で確保されている点が「たんぽぽ」の活動発展への助力となっていた。以上のことから、親が主体的に活動できるように運営の下支えに回る人材を確保することやプレイセンター専用の施設を用意することが、日本国内のプレイセンター活動には求められることが明らかとなった。他方、日本語セッション「たんぽぽ」においては、親向けの学習がなかなか浸透しない傾向にあるため、「親学習」と「親による協働運営」をさらに徹底させていくことが、今後の「たんぽぽ」に課せられる課題であることが示される結果となった

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