空中写真判読による1975年と2009年の間に起こったウトナイ湖とその周辺地域の植生変動の解析

Abstract

1) ウトナイ湖とその周辺地域で,1975年と2009年に得られたカラー画像の植生と土地利用のパターンを現地調査との併用で解析した.ウトナイ湖は三角形の湖岸形状に合わせて,北西部,南西部と南東部に分けられる.2) 陸域の植生はミズナラ-コナラ林,シラカンバ二次林,ヤマナラシ林,二次草原,カラマツ植林と植栽林に分けられ,土地利用形態は農地,裸地,荒地と構造物に分類できた.湿地域の植生はハンノキ林,エゾノコリンゴ林,高茎湿生草原(広義:ホザキシモツケ群落を含む),フェン,ボッグと砂丘に分類された.水域の植生は,開水面(水生植物群落),ヨシ群落とマコモ群落に分類された.3) 陸域植生のうち35年間で最も大きな変化をしたミズナラ-コナラ林は41.73ha増加した.次に裸地は27.14ha減少した.ミズナラ-コナラ林は南東部で拡大した.他の陸域の凡例区分もわずかながら変化した.4) 水域では開水面が6.59ha減少し,1975年に14.19haあったマコモ群落が消失した.5) 湿地域は35年間に最も激しく変化した.ハンノキ林は90.54ha増加したが,高茎湿生草原(広義)は79.20ha減少した.北西部における高茎湿生草原(狭義:ホザキシモツケ群落を含まない)はハンノキ林とホザキシモツケ群落に駆逐され減少した.ホザキシモツケ群落はハンノキ林に駆逐されつつも,一方で高茎湿生草原(狭義)を駆逐して増えており,その変化は他の2群落と同様に大きかった.その他の群落の変化はこれらの3群落よりも小さかった.6) 湿地域の急激な植生変化は,1970年代に起こった急激なウトナイ湖の水位低下に誘発された可能性が指摘される

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