中国北京における妊婦の食生活と文化

Abstract

目的:中国における妊婦の食と食生活の現状を明らかにする.方法:2011~2012年,中国北京市のA婦幼保健院で研究協力が得られた中国人妊婦107名へ妊娠前後での食品摂取頻度の変化と食事に関する無記名の自記式質問紙調査を行った.統計処理はSPSSStatistics22 for Windowsを用いてWilcoxonの符号付き順位和検定を行った.結果:妊婦の研究協力時の平均妊娠週数は28週であり,その段階で体重増加量は約11kgであった.中国人女性が妊娠後に摂取頻度が有意に増加した食品は「乳製品」「豆類・豆製品」「玄米・胚芽米」「果菜類」「あっさりスープ」「海藻類」「菜類」の7品目であった.一方,妊娠後に摂取頻度が有意に減少した食品は「インスタント・レトルト食品」「冷凍食品」「油を使った料理」「大醤湯」の4品目であった.妊娠後は,間食として甘い菓子を多く選択しており,ビタミン類や鉄・カルシウム剤,DHAなどのサプリメントを摂取していた.妊娠前にコーヒーを飲んでいた者は妊娠後,全員がコーヒーを飲まないように変化していた.またジュースを妊娠前に飲んでいた者32名は,妊娠後6名へと激減した.妊娠前に飲酒していた2名は妊娠後ほとんど飲まないように変化していた.また妊娠前に喫煙していた2名は妊娠後,禁煙していた.妊娠中,主に食事を作る人は「パートナー」が最も多かった.現代中国では,妊婦の大幅な体重増加や妊娠糖尿病,帝王切開の増加が社会問題となっている.今後,妊婦への栄養や運動に関する教育は妊婦と妊婦を支える家族と共に行うことが重要であると考えられる

    Similar works