姜 永培

application/pdf博士学位論文の要旨及び審査結果の要旨 (Summary of Thesis(DR))239234 bytesothe

姜, 永培

Tohoku University Repository (TOUR) / 東北大学機関リポジトリ

韓国における青少年の職業意識構造に関する研究著者 姜 永培号 11学位授与番号 60URL http://hdl.handle.net/10097/37090脳姜  YO翠NG永肥培 学位の種類学位記番号学位授与年月日 学位授与の要件 研究科・専攻学位論文題目論文審査委員 博士(教育学) 教博第60号 平成16年3月25目 学位規則第4条第1項該当 東北大学大学院教育学研究科(博士課程後期3年の課程)総合教育科学専攻 韓国における青少年の職業意識構造に関する研究 (主査)助教授高橋満 剋彦博夫武和信哲池破島毛菊不中市授授授授教教教教助 論文内容の要旨 本論文は、青年期から大人への移行において最も重要な課題の一つともいえる学校から職業世 界への移行の重要な契機となる職業意識形成の規定要因を明らかにするとともに、青少年に対す る教育的施策の課題を提示することを課題とする。 その際、次のような視点を重視する.第1に、「移行」研究の中心軸を主体者である青少年にお く。したがって、彼らの職業意識の解明が重要な課題となる.第2に、「未決定」r期待」r価値志 向」としての職業意識に設定することによって、青少年の職業意識の構造をより総合的把握する ことをめざす.第3に、青少年の職業意識形成に対する観点を、学校中心的観点(SchoolOriented Perspective)から、社会参加要素(SocialParticipationFactors)と転換する。このことによっ て・より広い視点から研究から得られる知見を青少年に対する政策の検討につなげることが可能 となろう。 第1章から第3章は、青少年のr移行」をめぐる先行研究の検討を通して分析枠組みを提示す ることをめざしている。 第1章では、学校一職業世界への移行的観念から青少年の職業意識形成を検討する。現在韓国 蜘97 において指摘されている青少年の移向をめぐる問題状況を高等教育への進学率の増加、高卒失業 率の増加、高校レベルでの職業教育の欠如そして学校と企業と労働市場との連携などの諸側面か ら総合的に検討する。そして、OECDなどの国際的レベルにおいて提示している2つの典型的な 移行モデルを分析することによって、青少年たちの韓国的移行モデルを引き出す作業を試みる。 第2章では、青少年の職業意識を社会的変化、制度そして社会参加との関連について検討する。 まず、韓国社会における職業に対する認識の変化を時系列的に検討したうえ、制度・政策との関 連、つまり青少年と関連を持っている諸政策、青少年政策、教育政策、労働政策そして社会参加 の政策について検討する. 第3章「青少年の職業意識に関する理論的考察」では、青少年の職業意識を説明している諸理 論を構造的アプローチ理論、進路発達理論そして職業社会学理論という3つの視点に分類し、そ の理論的内容を検討する.これに加えて、今日まで韓国高校生を対象として行われてきた先行研 究の結果を本論文との関連させつつ批判的な立場から検討する. 第4章は、こうした先行研究の検討を踏まえた本研究の統計的分析の視点である「未決定」「期 待」「価値志向」という3つの側面の説明と分析枠組みを提示している. こうした青少年の移行の現状と課題、政策や先行研究の検討をとおして第5章から第7章にお いて、韓国における青少年の「移行」をめぐる意識構造を解明するための統計的分析を展開して いる。 第5章では、青少年の意識構造の特徴を『未決定』という視点から分析する.とくに、性別、 学校種別、家族的特性、社会参加経験との関係において分析を試みる.第6章では、『期待』とい う側面から青少年の職業意識を分析する.この結果、生徒たちは、高校卒業後進学、就職もしく は進路計画の未決定などの進路計画の内容とは関係なく職業に対する期待を抱いており、その職 業期待の内容としては専門職志向意識が強いことが明らかにされた.しかし、これも個人的属性 や学校形態などの要因によって差異が存在していることが指摘できる。ここで注目したいのは、 女性の職業「期待」である。つまり、専門職希望と現実社会における職業構成上の女性の割合に は、大きな乖離が見られており、これに対する対応施策が求められる。 第7章では、青少年の職業意識と「価値志向」との関連を分析している.この分析では、個人 的次元(独創性・独立性・自我実現などの内発的価値領域と収益性、安定性の外発的価値領域) において男女間で差異が存在することが明らかになった.一方、親の社会経済的地位要因(親の 学歴・父親の職業・所得水準)や青少年の社会参加経験が規定要因となっていることも明らかに している。 終章では、本論文から得られた研究成果を検討したうえ、青少年の職業意識の解明に関する今 後の研究課題と、本研究で明らかとなった青少年の職業意識構造の特質を踏まえた青少年施策へ 山'A( の教育学的課題を提示している。 論文審査の結果の要旨 現代社会では青少年と成人との間の構造的差異が曖昧になり、ライフ・コースの構造転換により 大人になる移行プロセス自体が不透明な状況となっている。とりわけ、本論文対象としてとりあ げる韓国においても1990年代後半高等教育の大衆化による学校文化の変容、経済沈滞による青少 年の失業問題の深刻化、労働力代替現象による高卒労働市場の縮小など青少年の移行をめぐる状 況は大きな転換を経験している. 本論文は、こうした状況下で青年期から大入への移行において最も重要な課題の一つともいえ る学校から職業世界への移行の重要な契機となる職業意識形成の指定要因を明らかにするととも に、青少年に対する教育的施策の課題を提示することを試みる.青少年の職業意識の形成やその 構造の解明は、生涯にわたる職業能力開発政策や青少年の事業への参加の基礎をなすものであり、 こうした課題をとりあげる学術的意義は大きい。 本論文の意義として次の三つの点を指摘できる.第1に、欧米や日本における青少年の移行を めぐる先行研究や施策の動向を踏まえ研究の課題を設定しているが、とくに、「学校中心的観点」 (Schoo10rientedPerspective)から「社会参加要素」(SocialParticipationFactors)へと研 究視点の転換を提示している点である.インターシップはもちろん、ボランティア活動の推進が 国際的にも政策的に重視されているが、これらの社会参加と職業意識との関連の解明は、青少年 政策への検討において新たな知見を提示することにつながる.第2に、韓国の青少年を対象にし た諸政策、つまり、青少年政策、教育政策、労働政策など関連する政策の相互関連を明らかにし ている点である.欧米の諸政策についての研究は多いが、アジアの青少年政策、青少年をめぐる 労働市場政策に関する学術的情報は少なかった。アジア内における比較研究の必要性が示唆され たといえよう.第3に、こうした韓国の労働市場と移行をめぐる制度的、政策的特質についての 理解を基礎におきつつも、青少年の就職や職業意識を中心において、この職業意識の総合的・構 造的把握をめざしていることである.これまで青少年の職業意識については個別の側面から究明 が試みられてきたが、これを総合的に分析することをとおして新たな学術的知見がえられている. しかし、職業意識の総合的把握という意味では、課題も残されている.つまり、職業意識間の 相互関連、相互規定性を明らかにするためには、より多面的な統計的分析手法の適用が必要とさ れる。また、青少年の就職についての歴史的・制度的分析もより深めるべきであろう。とはいえ、 先行研究を的確に踏まえ、膨大な資料、統計的データの解明にもとづく教育学的課題への提言は 蜥9∩ 大きな学術白勺意味を持久よつて 文は博 育学)の学イ立論文として合格と認める。 招,∩(

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