Abstract

本稿は,従来実態が調査されていない「係結の流れ」について正面から取り上げ,「成立しない係結び」という裏側から係結についての考察を試みたものである。源氏物語の「係結びの流れ」の調査から,次の諸点が指摘される。(1)流れは「なむ」が最も多い,(2)接続句内の流れは「こそ」は逆接で「なむ」は順接で流れることが多い,(3)「なむ」は流れた後で再度「なむ」の係結によって結ばれる文が多いのに対し,「ぞ」は一文中に一度しか使われないことが多い。これらの実態は,各係助詞の特徴を色濃く反映していると考えられ,この点から,「ぞ」は卓立,「こそ」は対比的強調,「なむ」は文全体の基調に関係するという傾向が指摘される

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