Abstract

アミノ酸残基のリン酸化などの化学修飾によって、生体内のタンパク質の活性が制御されていることが明らかになりつつある。DNA二本鎖切断の修復におけるXRCC4もまた、DNA-PKによりリン酸化を受けることで、DNAライゲースのLigIVの機能をサポートし、修復を促進させる役割を持っている。リン酸化によりアミノ酸残基の電荷が変わることで、XRCC4は活性化構造へと変化すると推測される。私たちはこの仮説を実証するために、リン酸化を受けたXRCC4の構造と活性の変化の相関を明らかにすることを目指している。本研究では、円二色性(CD)分光により水溶液中における完全長のXRCC4の二次構造構成比を解析した。解析結果から、C末端側は-strand構造をほとんど保持していなかった。C末端側のセリンのうちの一つを負電荷のアスパラギン酸で置換し、疑似的なリン酸化状態にした場合には、本来C末端にはほとんど含まれていないstrand構造の総量が減少した。これにより、C末端側のアスパラギン酸置換により、活性中心を持つN末端を含めたタンパク質全体の構造が変化したことが推測された。このことから、XRCC4は、C末端側のリン酸化により、活性中心の構造を変化させ、活性効率を変化させていることが示唆された。第32回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウ

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