科学研究費補助金研究成果報告書研究種目: 基盤研究(C)研究期間: 1996～1997課題番号: 08670879研究代表者: 大野 雅樹（滋賀医科大学・医学部・助手

OHNO Masaki

大野 雅樹

Research Paper科学研究費補助金研究成果報告書研究種目: 基盤研究(C)研究期間: 1996～1997課題番号: 08670879研究代表者: 大野 雅樹（滋賀医科大学・医学部・助手）research repor

大野, 雅樹

OHNO, Masaki

Shiga University of Medical Science Repository BI WAKO / 滋賀医科大学機関リポジトリ

新生仔低酸素性虚血性脳障害における神経栄養因子の動態と治療に関する実験的研究著者 大野 雅樹発行年 1998-03その他の言語のタイトルEXPERIMENTAL STUDY ON ROLES OF NEUROTROPHICFACTOR IN NEONATAL HYPOXIC/ISCHEMICENCEPHALOPATYHURL http://hdl.handle.net/10422/6596新生仔低酸素性虚血性脳障害における神経栄養因子の動態と治療に関する実験的研究(研究課題番号08670879)平成8年度""'9年度科学研究費補助金(基盤(C)(2) )研究成果報告書平成10年3月1111111川11111111111111研究代表者大野雅樹(滋賀医科大学医学部小児科〉はじめに周産期の低酸素性虚血性脳障害は重度の神経学的後遺症をもたらし、精神運動遅滞の主要な原因である。従って、その予防法ならびに治療法の確立は小児神経学において最重要課題の一つである。これまで、種々の予防・治療法が検討されてきているが、われわれは各種の神経栄養因子の神経保護作用に注目し、これによる障害の軽減化の可能性につき研究を重ねてきた。これまで、平成6""7年度の文部省科学研究費補助金によって、低酸素性虚血性障害のモデルラットの確立や障害部位の組織学的変化などの基礎的な研究に加え、障害脳における神経細胞の生死に強い関連を持っと考えられるグリア細胞の反応ならびに神経栄養因子の一つである血小板由来成長因子(PDG町とその受容体の発現を検討してきた。これらの研究によりグリア細胞の病変形成過程での重要性が明らかになり、またPDGFが神経保護に働いている可能性が示唆された。しかし、神経保護過程にPDGFだけが関与しているとは考えにくく、他の神経栄養因子も検討すべきであるという結論に至った。そこで私どもは、平成8年から 9年にかけて文部省科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))を受け、脳由来神経栄養因子(BDNF)に注目しその受容体である TrkBの発現を検討した。 TrkBのラット脳における発現については未だほとんど報告がなく、まず成長に伴う発現の変化を観察しさらには低酸素性虚血性障害を蒙った脳における発現を検討した。顧みれば、これまでの成果は十分とは言えないが、当初の目的をある程度達したものと思われる。しかし、今後はこれらの神経栄養因子が実際に invivoにおいて作用するのか、また作用するならどのような機序で働くのかなどを検討する必要がある。さらに、周産期障害が発生した後の治療のみならず、発症予防にも応用できる可能性もあり研究を進めていきたい。1 研究組織研究代表者:大野雅樹(滋賀医科大学医学部・助手〉研究協力者:成宮正朗(滋賀医科大学大学院〉研究経費平成8年度平成9年度計1，000千円1，000千円2，000千円2 研究発表(1)学会誌等(英文発表〉1) E. Nakagawa， T.Tanaka，恥1.Ohno， T.Yamano and M. Shimada Emcacy of pyridoxal phosphatc in trcating an adult with intractable status cpilcptics. Neurology 4S:146R・1469，1997 2) M. Ohno， T.Egawa， T.Yamano and M. Shimada Multiple abnormal magnetic rcsonance imaging signals in a patient with minimal neurological symptoms. Eur J Pediatr Neurol 1:39・40，19973) S. Narumiya， M. Ohno， N.Tanaka， T.Yamano and M. Shimada Enhanced expression of full-Iength Trks receptors in young rat brain with hypoxic/ischemic JnJury. srain Rcs， in prcss (和文発表〉1)大野雅樹、小野恭一、島田司巳 (1996)低酸素性虚血性脳障害の病理と可塑性 脳と発達 28:118・1242)大野雅樹、小野恭一、島田司巳 (1996)低酸素性虚血性脳障害の病理と可塑性-神経栄養因子との関わり一 小児科の進歩16pp152・1553)大野雅樹、瀧北彰一、成宮正朗、田中直人、山野恒一、島田司巳 (1996)前頭部の局所性異常に起因すると考えられた点頭てんかんの1例ー動静脈奇形の合併例一小児科臨床 49:2417・24204)島田司巳、大野雅樹 (1996)脳炎・脳症の発症病理と病態 小児内科 28(7) ; 879 -88 5)山野恒一、大野雅樹、高野知行 (1996)脳形成障害 小児疾患診療のための病態生理 小児内科 28増刊号 630--634 6)島田司巳、山野恒一、大野雅樹 (1996)中枢神経奇形 周産期医学 26; 536--538 7)山野恒一、高野知行、大野雅樹 (1997)頭蓋型の異常 症候からみた小児の診断学(小児科診療増刊号) 60; 244--245 (2)口頭発表1)大野雅樹、灘北彰一、山野恒一、島田司巳前頭部に動静脈奇形を有し点頭てんかんを発症した一例3 第9回近畿小児科学会、大津、 3月9日、 19962)大野雅樹、山野恒一、島田司巳、笹原正清、狭間章忠新生仔ラット低酸素性虚血性脳障害における血小腹由来成長因子(PDG町およびβ受容体の発現第37回日本神経病理学会総会学術研究会、倉敷、 5月23~25 日， 1996、 一般3)大野雅樹、服部弘美、山野恒一、島田司巳頭部M則強調画像で大脳皮質に線状高信号域を示す病態について第38回日本小児神経学会総会、東京、 7月 18 日 ~20 日， 1996、 一般4) Masaki Ohno，Seiro Narumiya， Naoto Tanaka， Tsunekazu Yamano， Morimi Shimada. Expressions 01' PDGF B-chain and β-receptor in neonatal hypoxic/ischemic encephalopathy. Society tor Neuroscience 26th Annual Meeting， Washington D.C.， 11月16・21日、 1996，一般的上田達哉、黄瀬一慶、田中直人、服部弘美、高野知行、大野雅樹、山野恒一、島田司巳、藤関義樹Minimal Change Myopathyの1男児例第21回日本小児神経学会近畿地方会、大阪、 4月12日、 1997、 一般的田中直人、大野雅樹、成宮正朗、山野恒一、島田司巳未熟児低酸素性虚血性脳障害モデルラットにおける血小板由来増殖因子B鎖の発現第100回日本小児科学会学術集会東京、 4月18....20日、 1997、一般7)成宮正朗、田中直人、大野雅樹、山野恒一、島田司巳ラット脳におけるtrkBの発達一免疫組織学的検討ー 第39回日本小児神経学会総会名古屋、 6月5....7日、 1997、 一般的大野雅樹、田中敏巳、八木久美代、多賀崇、高野知行、山野恒一、島田司巳、阿部英俊M則画像上特徴的な所見を示したプロピオン酸血症の1剖検例第39回日本小児神経学会総会 名古屋、 6月5....7日、 1997、 一般的山野恒一、大野雅樹、高野知行、鳴戸敏幸、島田司巳特異な脳炎・脳症後てんかんの1群(粟屋・福山)の3例-急性期のACTH治療についてー 第31回日本てんかん学会 京都、 7月18....19日、 一般10)岩見美香、大野雅樹、黄瀬一慶、田中敏巳、高野知行、山野恒一、島田司巳Inosiplex内服およびinter1'eron+ TRHの脳室内投与により治療を行ったE急性硬化性全脳炎の1男児例第22回日本小児神経学会近畿地方会、大阪、 10月25日、 1997、 一般11)服部弘美、青谷裕文、大野雅樹、中川雅生、大矢紀昭、島田司巳医療機関における発達検査の実施とその事後指導第44回日本小児保健学会、 京都、 11月14....15日、 1997、一般4 目次1. Enhanced Expression of Full-length TrkB Receptors in Young Rat Brain with Hypoxic/ischemic injury Masaki Ohno， Seiro Narumiya， Naoto Tanaka， Tsunekazu Yamano and Morimi Shimada 2.低酸素性虚血性脳障害の病理と可塑性一神経栄養因子との関わりー大野雅樹、小野恭一、島田司巳3.脳形成障害山野恒一、大野雅樹、高野知行4.中枢神経奇形島田司巳、山野恒一、大野雅樹5 p6-24 p25-28 p29-33 p34-36 

新生仔低酸素性虚血性脳障害における神経栄養因子の動態と治療に関する実験的研究

科学研究費補助金研究成果報告書研究種目: 基盤研究(C)研究期間: 1996～1997課題番号: 08670879研究代表者: 大野 雅樹（滋賀医科大学・医学部・助手）これまでにわれわれは、低酸素性虚血性障害(HI)を受けた脳における神経栄養因子の発現を検討してきた。最終的な目標は神経栄養因子による障害の治療、予防である。脳由来神経栄養因子(BDNF)は、in vitroにおいて神経細胞の突起伸長などの神経栄養作用を有することが報告されている。今回われわれは、BDNFの受容体であるTrkB蛋白の発現を、正常発達脳と障害脳について免疫組織化学を用いて検討した。その結果、ラットの大脳皮質におけるTrkB蛋白陽性細胞は古皮質から見られ始め、発達に伴い大脳全体に出現した。従って、TrkB蛋白は遊走を終えある程度の発達段階に達した神経細胞に発現すると考えられた。また、生後早期では突起が強く染色されたことが特徴であった。これは、BDNFやNT3/4が突起上に発現したTrkB受容体に結合することにより、神経細胞発達に何らかの関わりを持つ可能性を示唆する。また、障害側の梗塞部位の近傍には、多数の突起を有したTrkB陽性細胞が出現していた。このことより、HIの障害を受けた後生き残ろうとする神経細胞は、細胞体だけでなく神経突起のTrkB受容体を強く発現し、BDNFなどと結合しその神経保護作用を受けようとしていると推察された。さらに、梗塞巣周囲のみならず非結紮側大脳皮質のTrkB陽性細胞が増加していたことは、低酸素のみ(非結紮側)のストレスを受けた細胞においてもTrkB蛋白が新たに発現誘導されることを示す結果であると考えられた。これらのことから、BNDFあるいはNT4/5は未熟な脳においても広範囲の神経細胞に作用しその神経細胞保護作用を発揮することを示唆するものと考えられた。今後は、生体内においてこれらの神経栄養因子が、実際に作用するのかまた作用するならばどの様な機序で働くのかを検討し、臨床への応用を検討する必要がある。We studied the expression of TrkB receptor in the cerebral cortex of normal rats and of the young rats with hypoxic/ischemic injury. TrkB expressing cells existed in the piriform cortex at birth and increased in number and emerged in the entire cerebral cortex. Density of TrkB cells reached to adult level at P30. They were morphologically regarded as pyramidal neurons and interneurons. Hypoxic/ischemic injury induced tentative upregulation of full-length TrkB receptor. Novel appearance of TrkB expressing cells and enhanced immunostain on both cell bodies and dendrites were observed in the peri-infarct areas and increased number of TrkB expressing neurons was detected in the contralateral cortex to artery ligation. This upregulation was no more evident after 48 hr of hypoxia. The double immunostaining using antiserum against GFA,OX-42 or carbindine-D28 revealed no co-localization of TrkB receptor and these molecules. The altered levels in responses to injury indicate that TrkB may crucial roles in early protective mechanism of the neurons with hypoxic/ischemic injury through ligands BDNF

大野,　雅樹

Shiga University of Medical Science Repository BIWAKO

EXPERIMENTAL STUDY ON ROLES OF NEUROTROPHIC FACTOR IN NEONATAL HYPOXIC/ISCHEMIC ENCEPHALOPATYH

http://kaken.nii.ac.jp/d/p/08670879.ja.html

EXPERIMENTAL STUDY ON ROLES OF NEUROTROPHIC FACTOR IN NEONATAL HYPOXIC/ISCHEMIC ENCEPHALOPATYH

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