私の研究の歩み : 古くて新しい話

Abstract

人類は長い間、ビタミン欠乏症に悩まされてきた。特に、日本は脚気により多くの死者を出した。しかし、1965年になると日本では全くビタミン欠乏症はみられなくなった。ところが1973年から1978年にかけて若者を中心に脚気が発症し、人々を驚かせた。その原因は糖質の摂り過ぎとビタミンB_1摂取不足であった。1990年に入り高カロリー輸液施行中の患者にビタミンB_1欠乏による乳酸アシドーシスが起こった。その患者のなかには衝心脚気で死亡する者やウェルニッケ-コルサコフ脳症で後遺症が残る者がいた。20世紀後半になるとビタミンの抗酸化作用や細胞間情報伝達作用など栄養素以外の作用が研究されるようになった。ここではビタミンCが血清コレステロールを低下させ、HDL-コレステロールを上昇させる臨床的研究について報告する

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