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Authors
Naoyuki KITANI
木谷 直之
Publication date
20 March 1998
Publisher
Abstract
言語学習を進めるうえで、教師の役割、学習者の自律性、言語学習の本質、適性、動機などの点について学習者がどのような信念を持っているかは、非常に重要な意味を持っている。海外日本語教師研修においても、これら言語学習観の違いから戸惑いや不安感、不信感を感じ、授業に積極的に参加できない研修生は決して少なくない。このような問題を解決するためには、私たちが研修参加者の様々な言語学習観の様相を分析し、その優れた点と問題点を確認し合ったうえで、彼らと話し合い、意見交換をしながら、よりよい言語学習観へと変容させていく作業が必要である。 小論では、このような視点から、一例として極東ロシア地域の大学生195名に対して行った「言語学習についての信念」の調査の分析結果 を報告し、その特徴と傾向を考察した。その結果、極東ロシアの大学生は、総じて教師への依存性が高く、学習者としての自律性があまり高くなく、文法や翻訳、語彙の学習を中心とする伝統的な知識重視の言語学習観を持っていることが確認された。しかしその一方で、「正確な」言語運用にこだわるという傾向は、従来指摘されてきたほどには高くなく、学生たち自身が新しい学習活動にも積極的に参加できると感じていることが明らかになった。また、極東ロシアという地理的特殊性から、地域全体が日本との経済関係発展に大きな期待を寄せており、大学生の日本語学習動機も道具的動機が強いことがわかった。 今後、国別あるいは地域別に同様の言語学習観についての調査を継続し、学習ストラテジーや学習環境に関する調査も平行して行い、総合的に研修参加者の学習背景の分析を進め、その結果 を海外日本語教師研修の基礎データとしてまとめていきたい。このようなデータは、将来的にセンターの教師研修だけでなく、内外の様々な日本語教育機関がカリキュラムや教授法を改善していくための貴重な資料になると信じる
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Last time updated on 30/10/2019