保育制度の成立過程に関する一考察 : 戦後幼稚園制度を中心に

Abstract

この研究ノートの目的は、日本の保育制度が、教育機関としての機能をもつ幼稚園と児童福祉施設としての機能をもつ保育所が併存する二元体制として成立した経緯を明らかにするための第一歩として、幼稚園制度を中心に日本の保育制度の変遷を整理することである。文部科学省所管の幼稚園と厚生労働省所管の保育所が併存する現行の二元体制のもとでは、幼稚園に通う子どもと保育所に通う子どもがそれぞれ異なる保育を受けている現状に対して、幼稚園・保育所での保育が基本的に等しくあるべきだと主張する論者もいる。また保育所の待機児童問題を解消するための具体的施策として幼保一元化が検討されるなど、理念と政策の両面から保育制度の改善がもとめられている。本稿では、まず日本における幼稚園創設から戦時下までの幼稚園制度を概括する。つぎに戦後の幼稚園制度を、占領期の幼稚園制度、戦後から高度成長期の幼稚園制度、1980年代から現在にかけての幼稚園制度に区分し、それぞれの時期の制度について考察する。さいごに幼稚園に関する統計データから幼稚園制度の課題を示し、今後の研究の手がかりとしたい

    Similar works