75歳以上高齢者に対するCAPDの現状と今後の課題

Abstract

透析患者は毎年増加し,人口の高齢化とともに維持透析患者の高齢化も進んでいる.腹膜透析(以下CAPD)は,循環動態の変化が少ないことや,在宅で出来ることで高齢者に向いているとされているが,全国CAPD 導入率は3%台と低く,特に60歳以上高齢者での選択率は低い.そこで,当院でCAPD を導入した75歳以上の高齢者の予後,現在継続中患者の現状から高齢者CAPD の適応について検討した.1999年以前導入した高齢者(以下前期)は12例,2000年1月から2009年に導入した高齢者は(以下後期)20例で,平均導入年齢は,前期77.8歳,後期78.2歳と差はなかった.2年生存率は前期42%から後期80%と改善し,CAPD 継続のために長期入院を要したのは,前期75%から後期20%へ減少している.前期・後期をあわせて約半数に認知力の低下がみられた.現在通院中の75歳以上高齢者は,日常生活や通院,自己管理において何らかの援助や介助を受けていた.一時的入院の理由は半数が腹膜炎で,CAPD 患者の平均発生数と比べ高かった.CAPD の継続を困難にしている背景には,合併症や加齢に伴う身体機能低下があった.CAPDを長期継続するためには,繰り返して指導を行うことと,身体機能,認知能力を的確に把握し,変化に対して柔軟に対応できるサポート体制を整えることが重要である

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