Dasatinib投与中に下部消化管出血を来したフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の1例

Abstract

第2世代チロシンキナーゼ阻害薬であるdasatinib は,imatinib 抵抗性の慢性骨髄性白血病やフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対して高い有効性が示されている.我々はdasatinib 投与中に下部消化管出血をきたした症例を経験した.症例は59歳女性,imatinib 併用化学療法により治療中であったが,地固め療法中に再発し,中枢神経浸潤も併発した.BCR-ABL点突然変異は検出されなかった.Dasatinib 投与を開始し,芽球の減少や造血回復を認めたが,約3ヶ月で腫瘍細胞が増多した.投与160日頃より排便時出血があり,169日目に多量の新鮮下血によりショックを来たした.輸血,支持療法を行い大腸内視鏡検査を施行した.浅いびらんを散見したが,凝血塊の貯留も多い状態であり,後日の再検にても血管性病変や潰瘍などの所見は明らかでなかった.Dasatinibによる出血は進行期の症例や血小板数の少ない時期に多く,ショックを来たす症例もあり注意を要すると考えられた

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