香料企業におけるERPシステムの基本モデル及びその応用

Abstract

本論文では,ERP (Enterprise Resource Planning)システムの研究開発と実施の観点から香料企業の特徴を分析し,香料企業におけるERPシステムの基本モデルを示した。また,筆者らが開発したERPシステムの実例を通して,この基本モデルの具体的な応用と得られた効果について述べた。最後に,運用組織,管理,技術の三つの要素について,成功のための枠組みを分析し,成功のキーとなる要因の分析を行った。香料企業においては,原料および製品の種類の多さ,顧客ニーズの多様さ,生産プロセスの単純さ,在庫品が占める資金量の多さ,頻繁に新製品の研究開発が行われるという産業の特徴を持っている。香料企業のERPシステム基本モデルの特徴は,新製品研究開発,注文書処理,原料購入の3つのプロセスが交差する点にある。顕著な効果を上げた実例の成功要因の分析により,3種類12個の主な成功要因が導き出された。実例とする企業の背景と情報化の段階の特徴により,これらの要因で最も重要なことは,知識転化を中心とし,プロジェクト組織を横断した緊密な協力を行い,ユーザ企業が最低限の基本的な管理水準を持ち,成熟した基本モデルと何処でも通用可能なシステムを採用するということが指摘できる

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