認知症高齢者における通所サービス利用者の居住空間支援について―家族と通所サービス職員の認識の違いに焦点を当てて―

Abstract

本研究の目的は、通所サービスを利用している認知症高齢者のADL、IADL、居住空間の使い方に関して家族と施設職員の認識の違いを明らかにし、認知症高齢者の残存機能を最大限に活用した居住空間支援についての手がかりを得ることである。A 市の2 施設で通所サービスを利用している認知症高齢者56 名の家族と通所サービス職員を対象とし、ADL、IADL、居室の使い方についてアンケートを実施した。1人の認知症高齢者に対し家族と通所サービス職員の2 名でそれぞれ評価した項目について、認識の違いを比較検討した。 分析の結果、家族と通所サービス職員の認識はADL とIADL の項目について50% 以上一致していたことが明らかとなった。電話や金銭管理のような実際に施設で行っていない内容は職員のほうが能力を低く評価する傾向にあった。居住空間の使い方に関する項目は、「やる気がなくなってきたように感じる」等の感情面について家族は低く評価する傾向にあった。認知症高齢者の残存機能の維持向上のためには、家族と職員が「その人らしさ」や「なじみ」について互いに知ることで効果的な支援につながる可能性が示唆された

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