公衆衛生看護技術論演習及び実習のカリキュラム改正における保健師学生の実践力向上効果:ミニマム・リクワイアメンツを活用して

Abstract

報告Reports 本学では、2009 年の保健師助産師看護師法の改正に伴い、2012 年度入学生以降、公衆衛生看護課程の学部選択制を導入し、厚生労働省の示す、保健師学生が保健師活動に求められる一定水準の技術習得を備えることができるよう公衆衛生看護技術論演習(以下、技術論演習)並びに公衆衛生看護学実習(以下、実習)カリキュラムの改正をおこなった。 保健師の援助技術において家庭訪問は、対象である住民の生活実態に迫るという、重要かつ象徴的活動方法である。しかし学生の実習では1例しか同行訪問を経験していないため、深刻な事例を担当することへの不安や戸惑いが大きく、新卒の保健師は訪問が苦手と報告されるように、学部教育の課題といえる。そこで本研究では、個人や家族を対象とした実践能力に焦点を絞り、授業評価の一環として、学生の卒業時の到達度を分析・評価し、学生指導の今後の課題や対策を検討すると共に、今後の学生指導への示唆を得ることを目的とした。 調査内容は、全国保健師教育機関協議会が卒業時までに必ず修得する最低限の技術として作成した、保健師教育におけるミニマム・リクワイアメンツ(以下、MR)の5つの実践能力のうち、「実践能力Ⅰ」個人・家族を対象とした地域の健康課題の明確化と計画・立案する能力に着目した。さらに行動目標を、演習並びに実習で実践可能な「家庭訪問」に焦点化し、自己評価が可能な12 の大項目、38 の行動目標項目を抽出して作成し、到達度を「十分達成できた」「おおよそ達成できた」「なんとか達成できた」「全く達成できなかった」の4件法で回答を求めた。分析対象者は、本学の看護学部公衆衛生看護課程を履修し、技術論演習及び実習修了後に自己評価を提出した学生74 名のうち本研究の参加同意を得た65 名であった。 技術論演習と実習終了後のMR 自己評価の結果を比較・分析したところ、全38 行動目標のうち、12 項目に有意な到達レベルの改善が認められた。 本研究により、本学の公衆衛生看護カリキュラム改正は、卒業時到達目標に到達ができ、学生の実践力向上に繋がることが示唆された

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