幼児期における自尊感情を育てる取り組み ―保育・教育現場における行事や活動を通して―

Abstract

 本研究の目的は、具体的な保育実践として“ 誕生日会”、“ 当番活動” を取り上げ、どのような取り組みが「自尊感情」を育むことにつながるのか具体的な活動を見出していくこと、また、幼児の自尊感情を測定するための尺度を作成し、“ 誕生日会”、“ 当番活動” の取り組み方による違いを見出すことである。 調査の結果、本研究における自尊感情の定義に含まれる要素である自己肯定感因子、自己受容因子の2 因子からなる一定の信頼性、妥当性を備えた「幼児用自尊感情尺度」を作成することができた。 また、当番活動の取り組み方の違いによる自尊感情の育ちについて、「幼児用自尊感情尺度」、「自己受容尺度」で有意差が見られた。「幼児用自尊感情尺度」を構成している具体的な質問項目の内容と子ども達の反応から、子どもの自尊感情の育ちを図るために尺度が適用可能であるという結果が得られた。 追加調査では、“ 誕生日会” の前後で子ども達の自尊感情の変化を図ると共に「幼児用自尊感情尺度」の適用の可能性を確認した。“ 誕生日会” の取り組みを通して、幼児用自尊感情尺度、自己肯定感尺度、自己受容尺度すべてにおいて得点が有意に上昇し、子どもの自尊感情の明らかな変化が見られた。 保育、教育現場において意識的に子どもの自尊感情を育てていこうとすることで、その育ちを確かなものにできると考えられる

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