エベロリムスによる薬剤性肺障害の一剖検例

Abstract

分子標的薬投与後、致死性の薬剤性肺障害をきたし、病理解剖となった症例を経験したので報告する。症例は60代男性。腎移植時、移植床作成のため摘出された町勢に腎癌を認めた。2年間再発無く、腎移植をおこなった。移植後再発し、病勢の進行を認め、エベロリムスに薬剤を変更し化学療法を継続した。投与開始後49日より呼吸困難が出現し、画像所見とあわせ臨床的に薬剤性肺障害と診断された。ステロイド投与により画像上は改善を認めていたものの、初回投与から119日目に呼吸不全により死亡した。病理解剖所見では肺は多彩な組織像を呈しており、薬剤性肺障害として矛盾しない所見であった。本邦ではエベロリムスによる薬剤性肺障害の組織学的解析がなされた症例はなく、貴重な症例であると考えられる

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