学位の種別: 課程博士審査委員会委員 : （主査）東京大学准教授 江尻 晶, 東京大学教授 半場 藤弘, 東京大学教授 古澤 力, 東京大学准教授 野口 博司, 東京大学教授 宮下 精二University of Tokyo(東京大学

Tamai Keiichi

玉井 敬一

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論文審査の結果の要旨 
 
                  氏名 玉井 敬一 
 
本学位論文は全６章で構成されている。第１章は序論に相当し、研究の全体的な背景、
目的、および本論文の構成が述べられている。第２章は、「吸収状態転移」とよばれる非
平衡系特有の相転移とそれに付随する臨界現象、および最も基本的な普遍クラスの
Directed Percolation (DP) 普遍クラスについて、理論的な頑健性や関連する実験研究の
状況に重きが置かれたレビューである。第３章では、先行する実験で相関長・相関時間を
測定するために用いられてきた手法の問題点を指摘し、観測区間・時間の有限性を適切に
考慮に入れた補正が導入される。また、定常状態測定で可能な普遍的なスケーリングを数
値計算結果と共に提案している。第４章では、活性状態が移流で流される系において、境
界条件として活性状態を与えた場合に臨界現象が受ける影響を、数値計算と平均場理論
およびスケーリングの議論を組み合わせて論じている。第５章では、第３章および第４章
で得られた知見を踏まえ、過去最大級のアスペクト比をもつチャネルを用いた流れの可
視化実験の結果が記載されている。チャネル流における乱流への遷移を特徴づける 3 つ
の臨界指数がすべて空間 2次元の DP普遍クラスと整合することを示すに留まらず、DP
普遍クラスの理論に基づいた普遍的なスケーリングが成り立つことを示唆する実験的証
拠を提示している。これは、長年の問題であった乱流への遷移に関する重要でオリジナル
な貢献である。第６章では本学位論文で得られた成果をまとめ、今後の展望が示されてい
る。 
なお、第３章から第５章の内容は論文提出者の指導教員である佐野雅己氏との共同研
究の成果であるが、論文提出者が主体的に実験や数値計算の実施、および得られた結果の
解析を行ったものであって、論文提出者の寄与が十分であると判断できる。 
したがって、博士（理学）の学位を授与できると認める。 
 
 


吸収状態転移として捉える乱流遷移の普遍的なシナリオ

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吸収状態転移として捉える乱流遷移の普遍的なシナリオ

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