「イメージ体験」としての文学教育 : 「児童の言語生態研究会」の『きつねの窓』実践からの展望 <論文>

Abstract

共同体単位の「イメージ体験」によって,子どもの存在様式に根源的な変容をもたらしていた近代以前の成人儀礼が形骸化してしまった現代において,文学教育とイメージ療法における「イメージ体験」は,その機能を今日に受け継ぐものであると言われる。しかし,近代以前の成人儀礼と比較すると,両者はそれぞれの特性と課題を持ち,その機能は十全とは言えない。特に文学教育における学習者の「イメージ体験」は往々にして,その教材の筋書きや読解指導などによって疎外されがちである。 こうした問題に対する展望を得るために,「イメージ体験」を主軸とした文学教育を展開する「児童の言語生態研究会」の『きつねの窓』の実践を考察した。その結果,「イメージ体験」を誘発する装置そのものを民俗学的視点によって作中から取り出し,教材化することによって,個々の子どもたちの「イメージ体験」過程を保障していく文学教育の在り方が見出された

    Similar works