research

Aging, Diseases and Ecology in Community-Dwelling people living Songkohn District III~ IV

Abstract

 ラオスにおける高齢者の糖尿病について、身体に刻まれた歴史と文化の側面から考察した。糖尿病に関する歴史、文化的背景(ラオス~サバナケット)として、7~10 世紀頃の中国南部より東南アジアへのタイ系民族の移動に始まり、ラオ民族のもち米の主食化がある。うるち米に比べて、高カロリー(1.4 倍)かつ高 Glycemic index (2.0 倍) であるのが、うるち米の特徴である。魚の生食とタイ肝吸虫の慢性感染、妊婦の産後数ヶ月のタンパク摂取制限(タブー)、1974 年以降のJICA も絡んだサトウキビ畑の大規模開発による砂糖の市場への普及(モノ班、天理教資料より)、1978 年の大洪水による食糧難(特にラハナム)(過去に繰り返している可能性)、1997 年以降のラハナムの灌漑設備による2 期作による収量増加と余剰による換金化の可能性などの経済的な要因とライフスタイルの影響が糖尿病の増加に影響している可能性がある。この10 年間、サバナケット病院の糖尿病受診者が実際増加しているが、地域住民の高い有病率から考えるとまだかなり少ない。伝統的なライフスタイルのラハナムと、市場経済の浸透し始めているパキソンを比較すると、高齢者の糖尿病の頻度に差はないが、50 歳台の糖尿病やメタボリックシンドロームの頻度は、パキソンの方が高い。若年者のライフスタイルや栄養転換の市場経済による影響の変化が大きいことが考えられる。、同じ民族背景をもつが、経済的に発達しているタイのコンケンでは、糖尿病の頻度がはるかに多くなっていることから、ラオスにおける糖尿病の将来の増加が危惧される。糖尿病の予防に向けての、今後の対策が急務である。来年度は、ラオスの北部住民における生活習慣病を含めた健康状態を調査し、森林農業班との資源、土地利用との関連から分析するとともに、南部の住民との比較を行うことにより、老化と疾患に及ぼす生態史的アプローチを深めていこうと考えている

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