〈原著論文〉近世における石見銀山の森林利用と景観

Abstract

森林は世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の価値を構成する重要な要素である。本研究は銀山に植物資源を供給していた石見銀山領を対象に既往文献等から近世における植物の利用および森林の景観を概観する。近世では銀山柵内はマツ,タケ, 周辺地域はクリと炭焼き用の広葉樹,マツなどが利用されていた。石見銀山領は過半が草地で,銀山の周辺は薪炭や資材供給のため沿岸部の松を除くと高木が密集するような森林はほとんどなかったことが明らかになった。現在の石見銀山周辺の森林は竹の繁茂や荒廃などの課題を抱えている。銀の採掘や製錬に欠かせない植物資源の利用と、当時の森林を含む石見銀山の景観を伝え, 適切に森林を管理する必要がある

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