取得学位：博士(工学)，学位授与番号：博甲第773号，学位授与年月日：平成17年9月30日,学位授与年：200

Miyazato, Naoki

宮里 直樹

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宮里直樹博士（工学），博甲第773号平成17年９月３０日課程博士（学位規則第４条第１項）活性汚泥における糸状性硫黄酸化細菌と硫酸塩還元細菌の変動特性池本良子（自然科学研究科・助教授）関平和（自然科学研究科・教授），北浦勝（自然科学研究科・教授）古内正美（自然科学研究科・助教授），松井三郎（京都大学・教授）氏名学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件学位授与の題目論文審査委員(主査）論文審査委員(副査）Itwasreportedthatsulf白te１℃ductionwasamamtnggeroffilamentousbunKingduetosulfi】rbacteriatypeO21NItisneedtoclearthechangesoffil2mlentousbacteriaandSRBcommunitymtheactivatedsludgeAtfirst,Sulfhroxidation-reductionactMtiesintheactivatedsludgesofsixmunicipalweastwatertl巳atmentplantsweleinvestigaLed・Second,EiTbctsofmoculation，sulfa力econcentmtion，DOandanaembicshockonfilamentousbulkingduetogmwthoftypeO21NweⅡ己examnedusmgthelaboratolyscaleactjvaMsludgereactors､ThirdThegrowlllofsulf白teMucingbacteria(SRB)andfilamentoussulfi1rbacteriawasmonitoredbyFISHmethodinthelaborato[yactivatedsludgereactorsscaleunderthesa【neconditions・TheresultswelesummarizedasfbUows，AhighcoIrelationsweKerecognizedbenⅣeensulfatereductionandsulfiIroxidationactivitiesWhentheconcentrationsofacetateandprOpionabeminf1uentofaerationtankmdleWWrPandleactorswerehigh,bodlactivitiesofsulftLtereductionandsulfhroxidationwen℃highltwasatendencythatwhenDes"仇"e"zzzsppglwLthcfilamentlengthomijO"i順ejMDoo〃jincreasdAndinoculationoffilamentousbacteriaandsulfatereducingbacteriadjdnotafIecttheocculrBnceofbulking､ThehighsulfhteconcentrHtionofthewastewaterisoneofthecoursesoffnamentousbu1kingHoweveEwhcnthesulfHteconcentlationwaslow，mamentousbulkingocculredLowDOandanacmbicShoCkwerennportantfactorsoffilamentousbuUKingTT1enumberandtheactivitiesofsulfhtereducingbacteriainthebulkingsludgewashigherlhanthoseinthenon-bulkingsludge．１，はじめに活性汚泥法における運転管理上の問題で最も報告されている処理障害は、糸状性細菌の増殖によるバルキング現象である｡また、バルキング現象の発生要因と報告されている硫酸塩還元細菌と硫黄酸化細菌IWpeO21Nは､様々な方法による微生物を用いた水処理において、有機物の分解におけるその役割と存在形態ついて注目されている。本研究では、都市下水処理場の運転管理上最も重要である糸状性バルキングの発生要因を明らかにし，その解決策を検討する糸口として，わが国において，最も出現頻度の高い糸状性細菌typeO21Nの増殖と硫酸塩還元細菌の増殖との関連性に着目し，これらの群集の変動について，実処理場と室内実験の両者から検討した。２，実下水処理場活性汚泥の硫黄酸化還元活性と関連微生物の変動特性６ヶ所の下水処理場を対象として灰活性汚泥中の硫酸塩還元細菌と硫黄酸化細菌の現存量と活性を調べるとともに，それぞれの活性汚泥中の硫酸塩還元細菌と糸状性硫黄酸化細菌の群集についてＨＳＨ法を用いた調査を行った。その結果，オキシデーションデイッチや低負荷の下水処理場では，糸状性硫黄酸化細菌の増殖は認められないが，標準活'性汚泥法，嫌気好気活性汚泥法を採用している２箇所の処理場においで糸状性硫黄酸化細菌typeO21Nの増殖が認められた。-132-表－１．１ＦＩＳＨ法に使用したプローブの概要厩~~霊や三1，３２１０壱二・⑩のＪ二ｍ寺○哩一Ｅ）起胆筆趨狐霞ＣＧＧＣＧＴＣＧＣＴＧＣＧＴＣＡＧＧＴＴＣＣＡＣＣＣＣＣＴＣ７９３０ＴＧＯＧＣＧＧＡＣＴＣＡＴＣＴＴＣ型1-240１０ＣＡＧＧＣＴＴＧＡＡＧＧＣＡＧＡＴＴ１２９－１４８２０TTCCGCTTCCCTCTCCCAO57-57B■円BTGTGTTCGATTCC1TGC1029-1四６戸四９１DGCACCACCGACCCCTTAG842-B59毎町９１０CTCAGGGATTCCTGCCAT996-1D13毎円９１０００．５１１．５硫酸塩還元活性OngSO4/gMLSS･M図．1.1硫酸塩還元活性と硫黄酸化活性の関係 ａ：ハイプリダイゼーションパッファのホルムアミド濃度T1ypeO21Nを検出できるlGSrRNAをターゲットしたオリゴヌクレオチドプローブを用いたFISH法により，出現したtyoeO21NはmjoZh7TxcjABあＣＯ〃jであると判断された。また，硫酸塩還元細菌をターゲットとしたＦＩＳＨ法による解析の結果,硫酸塩還元細菌がどの活性汚泥中にも検出されることがわかった。表-1.2活性汚泥中にＦＩＳＨ法により観察された硫黄の酸化還元微生物++＋＝２％以上,＋＋＝0.1～２％,＋＝０．１％以下，一=NDdetected次に，Z7bjO娩蹴eilMboO"Zijが存在していた２箇所の処理場に関して、１年半にわたり継続調査を行った。その結果、硫酸塩還元活性の高い活性汚泥は硫黄酸化活性が高い傾向が認められたことから，活性汚泥フロック内で、硫酸塩還元細菌と硫黄酸化細菌の間に硫黄の酸化還元サイクルの形成されて，硫酸塩還元細菌の活性化が糸状性硫黄酸化細菌WpeO21Nの増殖の一因となっていると推定した。また、処理槽流入水の水質分析の結果より、有機酸濃度が高いときに硫酸塩還元活性と硫黄酸化活性が高い傾向が認められたことから，酢酸の流入が硫黄の酸化還元細菌の活性化に何らかの影響を与えているものと推定した。ＯＳ△ＳＬｐＡｘＴ３５１β１０（』二・めい一二ｍヘマ。⑭曽琴塑艇暇期蜘翻耀２１歪二・の四塁昼へｃ○ｍ国ら塑鰻筆趨頂輝●●四・●●炎．．ロ０ 0０１０２０３０有機酸0打gC/、図・1.2硫酸塩還元活性、０．１０２０３０有機酸OT1gO/、硫黄酸化活性と有機酸濃度-133-プロープ 穂的微生物 プローブのシークエンス（5～3）ホルムアミ19浬度．(９６）参考文献NＣSRB385 6-プロテオパクテリアに属するSmRBとグラム鴎件緬薗の一甑に時 CGGCGTCGCTGCGTCAGG 385-4ｍ 3０ ６SRB687 ､巴SBIｸbMi6'”属と鴎励α“｢，DB銅UﾘﾉbnUoP四函,Dem1i8PmJPWOPmFD､&８１噂bm化ｍＩＷｍ,BilQphmqおよ寸岱Ｔ■＿ローユーー▲－－厘ｺﾞﾃ巳、－－■ｍＨ－ｎと田出上TACGGATTTCACTCCT 687-702 1０ ７6600､巴B■1ｹ６６"乃蝉spp． ｕＲＲＩＵＵＵＦｂＬβＩＯＩＵＵじじＩ⑨Ｉ 660-679 3０ ７2２１１､幽迦’５６匹UUn辺m3pp． TGOGCGGACTcATCT1℃A」 221-240 1０ ７1ｍＩへ－－－－■へ■＿＿＿▲-－－－－－ CAGGCTTGAAGGCACA1T 129-1鍋 2０ ７DNMA657I、巴”"６１鰯mzUgUm． ＩＯＵＫＺｑ｡ＵＵＩｐＵｐ０ｃ０じじＵＡＩ 657-676 2０ ８Ｇ１Ｂ T10ibUh7im向BCiybm8西 GTG1TCGATTCC 『GＣ 1029-1046 3０ 9.10G2Ｍ Zｿ切り&l"frm随ｊｂＯｃ"戒 CAC ACCGACCCCT｢AＧ 842毛釣 3５ 9.10G3Ｍ mIDlIbPなｿ'２ｴｵ､Zｒ TCAGGGATrCC GC AT 996-1013 3０ 9.10G123T 織鶴 CC1TCCGATC1℃TATGCA 697-714 4０ 9,10プローブ 標的微生物種 Ｓ SＬ迅垂Ａ Ｒ Ｔ ＴＹSRB385 SRB ＋＋０ ＋十 十字卜 ＋＋ ＋＋ ＋＋660 ､BFD｡‘b6趾lmFspp． ＋ ＋ ＋ ＋ ＋ ＋687 DGs1O〃６１〃6"Ｄｓｐｐ ＋221 Ｄ"18腕bqm巴面、8”p、 ＋ ￣1２９ ｣､臼SUU〃b6qCUDP･spp．DMNA657 DasW0i｡DDCmZJspp ＋＋ 勺■十 ＋ ＋Ｇ１Ｂ ”io"bmF迩死iｿ６，２ｶsＧ2Ｍ ｍｉｍＩ"ｾﾞｺFBiA巴仏０｡、２ イョ■０ ＋＋ ＋ ￣Ｇ3Ｍ miollm6此酎ﾒﾉ2Ｆ ￣G123Tmio的Ftr〃ﾊｽｅａｇｍｕｐ，;蕊窪j鐵襄豪！ ▼▽□ イート ＋さらに、硫酸塩還元細菌と糸状性細菌WpeO21NのＨＳＨ法による群集解析を行った結果、〃ね沈飾e施ﾙＣＯ航の現存量の増大とＤａｇ"llbFze”sppの現存量の増大した時期が一致していることを示し，Desz`l/b"e”sppのモニタリングおよび増殖抑制が､糸状性バルキングの抑制に重要であることを指摘した。￣譲薩[I譲願蕊雨雲iii照 ６月６日１０月22日採取日６月６日１０月22日採取日6/６１０/２２採取日6/６１０/２２採取日Ｓ処理場（b)ＳＬ処理場図･1.5糸状性細菌の現存量の変化(a)Ｓ処理場ＳＬ処理場図･1.4硫酸塩還元細菌の現存量の変化３糸状性細菌と硫酸塩還元細菌の増殖因子．ペプトンと酢酸を主成分とした人工排水を用いて，実験室内でさまざまな条件で連続処理装置の運転を行い，糸状性硫黄酸化細菌と硫酸塩還元細菌の増殖によるバルキング発生因子について検討を行った。表61.3室内連続処理装置の運転条件ＲｕｎｌＲｕｎ２Ｒｕｎ３Ｒｕｎ４Ｒｕｎ５ｎｍｕｎ７Ｒｕ、：Ｒｕｎ９ＲｕｎｌＯｕｎｌ■Ⅱ■■■Ⅱ■■､■■■■I■■I■■■■￣￣－－■旧■旧■旧■西田■■面、■E岡7Y■■■■Ｆ■ココロ■Ⅲ。‐■■面■■旧■旧■、■田■亜■口■I■■■Ⅱ■■■……－－－－匹Ｆ￣■■■■Ｅ■■■肛沮■■I■Ｌ■■ｎm■■万一＝■■■■■■匡■■可■■■呵匡■－－その結果，①種汚泥中に糸状性硫黄酸化細菌と硫酸塩還元細菌が多く含まれている場合には，バルキング発生までの期間が短くなること，②途中でこれらの細菌を植種しても急激なバルキングには至らないこと，③曝気空気量を制限し処理槽ＤＯ濃度を低下させるとバルキングが発生しやすいこと、③運転途中の曝気の停止や空気量の削減などの嫌気ストレスにより急激なバルキング発生が認められること，④硫酸塩濃度の高い方でバルキングが発生しやすいこと，および⑤有機物負荷が高い方でバルキングが発生しやすいことを示した。これらの結果から，本基質条件では，種汚泥の組成によってバルキング発生時期は異なるが，糸状性細菌の増殖が起こりやすい条件であること，硫酸塩濃度が高く負荷が高い条件ではもっともバルキング状態に至りやすいことを推定した。また，生成した活性汚泥の硫酸塩還元活性と硫黄酸化活性を測定した結果，実処理場と硫酸塩還元活性と硫黄酸化活性には正の相関が認められたが，その傾きが実下水処理場とは異なることを明らかにした。さらに，嫌気ストレス後に発生した糸状性バルキング汚泥にＨＳＨ法を適用し､硫酸塩還元細菌と糸状性硫黄酸化細菌の群集解析を行った結果、処理槽に増殖した糸状‘性硫黄酸化細菌typeO21Nは実下水処理場で認められたものと同様のｍｉｏ腕ｍｅ施必ＣＯ柳であること，バルキング発生時期にはフロック内に大量の硫酸塩還元細菌の増大が認められることを明らかにした。-134-ｕｎｌ Rｕｎ２ Rｕｎ３ Rｕｎ４ Rｕｎ５ Rｕｎ６ Rｕｎ７ Rｕｎ８ Rｕｎ９ Rｕｎｌ Ｒｕｎｌｌ馴養期間 95.6.29-95.92396.5.15-9６9Ｍ.8-96.10.1９７５２卜97.728卜釦●●８９●●７７９９ 97.8.6-97.9.1898.9.2-98.10.1500.9.7-01.1.12026.11-028.300210.9-02.12.30種汚泥SⅥ 7８ 4241 1２７ 144 258 100 180 116 201 150 210運転粂件硫酸塩漉度hgSO4/I） 3３ 鯛 3３ 3３ 3３ 3３ 3３ 33→6６ 6０ 6０ 6０汚泥日令(日） 2０ 2０ 2０ 2０ 2０ 1２ 1２ 2０ 2０ 2０ 2０曝気空気量(I/min） ￣ ￣ 1８ 4.5 ３ 1８－３ ３－２ ４ ４－３ ４ ４鐸気ス -レス 無 無 無 無 無 無 1回 無 1厘 無 無SRBの植種 無 無 無 無 無 １ 』ロ’ 無 無 無 無 無表-1.4標準活性汚泥連続室内実験装置４，酢酸とペプトンで馴養した活性汚泥中における硫黄の酸化還元微生物の群集解析上記でもっともバルキングが起こりやすかった条件で室内処理装置の運転を行い，種汚泥中の糸状性細菌の現存量がバルキング発生時期に大きく影響すること，硫酸塩還元活性と硫黄酸化活性に正の相関係が認められることを確認するとともに，実下水処理場と同様に酢酸の流入がバルキング発生を促進することを明らかにした。さらに，バルキング発生前後の硫酸塩還元細菌と硫黄酸化細菌の群集変化についてＨＳＨ法とDApI染色を併用した画像解析により評価した｡その結果，SRB385およびDNMA657プローブで検出されるDaF"ﾘﾉb'2ｅｌｍＳＰＰと推定される微生物が増殖したとき、糸状性硫黄酸化細菌肋｡鋺伽ejkE必ＣＯ〃jが増加した。このことより、SRB385およびDNMA657プロープで検出される硫酸塩還元細菌が、糸状性硫黄酸化細菌耐〃肋伽ejjMbOO〃の増加に何らかの影響を与えていることが示唆された。●I瓢、１ｐＲｕｎ２■ＲＬｍ３1０■・漆。８６４２０（二・の囚一三国へ『○砺湛Ｅ）辿鰻筆遜種鱈0０．２ｑ４０．６０．８１硫酸塩還元活性（mgSO4/gMLSS．h）図-1.6硫酸塩還元活性と硫黄酸化活性の関係ｐＤＮＭＡ６５７■SRB385園129園２２１園SRB687園660０００００００２０８６４２１１”》皿輌”》０１１１（の囚一霊へＥ）幽越導嶺命圀霊園ｇ圏騒膿掴甥篭饅０３０１１３１３２運O屋日数（日）図-1.8硫酸塩還元細菌の現存量の変化CBun3）０３０１１３．１３３運転曰38【（日）図-1.7糸状性細菌の現存量の変化(Ｒｕｎ３）-135-Rｕｎｌ Rｕｎ２ Rｕｎ３ Rｕｎ４ Ｒｕｎ５ Rｕｎ６ Ｒｕｎ７ Ｒｕｎ８ Ｒｕｎ９ RｕｎｌＯ Ｒｕｎｌｌ醜l西電ご可ＬＪ二F百1エァワnlESⅥＣ(mI/g） 357 2200 268 ４８００ 941 100 220 480 10M1３ 4200 780糸状体長(m/gMLSS） 11500 86950 8580 138710 22670 3200 36000 72900 57520 109120 60580バルキンゲ発生時期 ３０日 １５日 Ｘ １３日 ３０日 Ｘ ３０日 ６６日 ３２日 15日 30日元細菌数LSS） 2.OxlO7 9.3xlO７ 2.8xlO6 4.3xlO７ 5.9xlO７ ￣ ■■■ ２１xlO７ 10.9xlO７ 4.OxlO7 3.OxlO７硫酸塩(mgso ．hr） 0.21 0４１ 0.15 0.70 0.42 ｑｌ８ 0３５ 0.51 0.49 ￣ 0４７硫黄酸化活性O1mgSO4/gMLSS･hr） 2.3 ￣ 2.4 9.5 4３ ２２ 6４ 5.0 ￣ 4.9Deriodl沮_ＬPeriod2]し１・ｄｏ、ｎｅＰ』』』。■Period2ＤＰ■５，おわりに２～３で得られたの結果から、実下水処理場および室内実験装置の両者において、硫酸塩還元細菌DCS"脆耀"，asppの増殖と糸状性硫黄酸化細菌励如肋伽ejlMboo剛の増加が確認された｡Dg3"胸""Zasppのモニタリングと増殖抑制が重要であると考えられる。しかし'第１章で示したように，硫酸塩還元細菌は系統学的には様々な位置に存在していることから，今回用いたプローブですべての硫酸塩還元細菌を検出できるわけではないので,今後,ＰＣＲを用いたクローン解析や，MermSH法，硫酸塩還元機能遺伝子を用いた定量などを行い，活性汚泥内での硫酸塩還元細菌の役割と挙動を明らかにしていく必要があろう。学位論文審査結果の要旨提出された学位論文に関し、平成１７年８月１曰に第１回審査会を、８月２曰の口頭発表後に第２回審査会を開催し、協議の結果、以下のように判断した。本論文は、都市下水及び産業排水処理で最も一般的に用いられている活`性汚泥法の最大の問題点である沈降性悪化の原因となる糸状性硫黄酸化細菌と、共存する硫酸塩還元細菌について、微生物群集の変動を調査するとともに、室内実験によって、それらの増殖の要因について検討したものである。その結果、実下水処理場、室内実験ともに、硫黄酸化細菌と硫酸塩還元細菌が共存すること、糸状性硫黄酸化細菌ZhmbhIZYejiRB/boomZ/と硫酸塩還元細菌DaSzzﾉl/b"emaspp､の増殖が連動する事を明らかにし、これらの増殖抑制がバルキングの制御に重要であることを指摘した。さらに,バルキングの発生はこれらの細菌の連続的な流入によるものではなく、処理槽内の環境条件により増殖するためであること、その増殖には酢酸の流入が大きな影響を及ぼしていることを示した。以上のように、本論文は、生物学的排水処理法を制御するために、問題となる微生物の群集を分子生物学的手法を用いて解析することにより、その解決方法を探ったものであり今後の活性汚泥処理の制御に重要な知見を与えており、高く評価できるものであることから博士（工学）の学位に値すると判断した。-136-

活性汚泥における糸状性硫黄酸化細菌と硫酸塩還元細菌の変動特性

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活性汚泥における糸状性硫黄酸化細菌と硫酸塩還元細菌の変動特性

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