13301甲第4401号博士(理学)金沢大学博士論文本文Ful

Fukuda Shingo

福田 真悟

福田, 真悟

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高速原子間力 / 一分子蛍光顕微鏡複合機の開発

13301甲第4401号博士(理学)金沢大学博士論文要旨Abstract 要約Outlin

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     高速原子間力/一分子蛍光顕微鏡複合機の開発  Development of high-speed atomic force microscope combined with single-molecular fluorescence microscope            福田 真悟          英文要旨 Since the realization of high speed atomic force microscope (HS-AFM) around 2008, HS-AFM is a routinely tool to investigate biological macromolecular ranging from purified protein to live cells, which facilitates our understanding of how biological molecular work and function. Now the next generation type of HS-AFM is being desired, which can gain multiple information inaccessible only with HS-AFM. AFM is a label free technique which works non-specifically and has a drawback for the complex system involved multiple molecules, that is difficult to identify the target molecular. On the other hand, optical microscope can give this specificity by fluorescence labelling. Moreover it is capable of imaging of small molecular such as nucleotide which cannot be observed in AFM. So, optical microscope is not only complementary for HS-AFM, but combined system of HS-AFM and optical microscope would be a more powerful and innovative tool for biological science. To combine HS-AFM with optical microscope, high speed scanner with mechanical holding method for cantilever chip and laser beam tracking device for cantilever movement, compact and rigid HS-AFM head were developed. The excellent performance of combined system of HS-AFM/optical microscope developed here is demonstrated by imaging of rotor-less F1-ATPase (α3β3 complex) with high spatiotemporal resolution, and simultaneous topographic / fluorescence imaging of Cy3-labelled Trichoderma reesei cellobiohydrolase (TrCel7A) moving on cellulose.  和文要旨 2008 年に実用レベルの高速原子間力顕微鏡(AFM)が誕生して以来、高速 AFM は精製単離されたタンパク質から生細胞まで様々な生体分子に適応され、分子の構造ダイナミクスを明らかにしてきた。高速 AFMは市販化もされ、生命科学における常用的な装置となりつつあるなかで、高速 AFM をより多機能に、より多様な試料系に適用するために別の顕微鏡技術と組み合わせた次世代型の高速 AFMの開発が望まれている。そのひとつが光学顕微鏡との複合化である。AFMは探針と基板表面にある試料の相互作用を検出し画像化するので、基板にあるすべてのものが観察される。そのため、複数種の分子が混在する系において観察している分子が目的の分子かどうか判断することが難しい。一方、光学顕微鏡法では任意の分子を蛍光染色することで、目的の分子のみを可視化することができる。また、AFM では観察することのできないヌクレオチドなどの低分子化合物を可視化することも可能である。よって、高速 AFMと光学顕微鏡の複合化は高速 AFMの弱点を補うばかりではなく、高速 AFMの適用範囲を飛躍的に拡張し、両手法から得られる多元的な情報から生体分子の作動機構に関する新たな知見が得られると期待される。 図.1 プローブ走査型高速 AFM (a) プローブ走査高速 AFMの光学系。すべての光学部品を顕微鏡上部に配置し、倒立型の光学顕微鏡と組み合わせることができる。(b) 製作した高速 AFMヘッドの 3Dモデル。  従来の高速 AFM の機構を見直し、光学顕微鏡と複合化可能なプローブ走査型高速AFM (図 1)の開発を行った。具体的には、機械的なカンチレバー固定法を有する高共振周波数のスキャナーやカンチレバーの動きを正確に追従できるレーザートラッキング法、コンパクトな光てこ光学系の開発を行った。開発したプローブ走査型高速 AFMを用いて、ミオシン V のアクチンフィラメント上における歩行運動、回転子のないF1-ATPase(α3β3 複合体) において、ATP 加水分解反応に伴い βサブユニットが協同的に構造変化をおこす様子 (図 2) の観察に成功し、プローブ走査型高速 AFM が生体分子の機能を乱すことなくタンパク質の構造変化を可視化できることを実証した。   図 2. α3β3複合体の高速 AFM像 画像上の赤い丸は各画像の最も高いピクセルを示し、開構造をとっている βサブユニットを表す。フレームレートは 7.14 frames/sec (fps) 。スケールバーは 2 nmを表す。 プローブ走査型高速 AFMを光学顕微鏡に組み込み、タンパク質一分子を対象として高速 AFM / 蛍光顕微鏡観察を行ったが、観察視野の大きさ、および空間分解能の違いから高速AFMで観察された分子を蛍光顕微鏡画像上で正確に特定することが難しかった。そこで、高速 AFMと蛍光顕微鏡画像を正確に関連づけすることができる電場増強高速 AFM 蛍光顕微鏡相関法の開発を行った。AFM プローブを金属修飾することで探針近傍の蛍光を増強し、蛍光顕微鏡画像上で AFMの観察領域を容易に特定できるようになった。この手法を用いて、蛍光ラベルしたセルロース分解酵素(TrCel7A)がセルロース結晶上を加水分解しながら移動していく様子を高速AFMと蛍光顕微鏡で同時観察することに成功した(図 3)。また、光の回折限界を超える空間分解能を有する走査型近接場顕微鏡をプローブ走査型高速 AFMに組み込み、高速 AFM / 超解像光学顕微鏡複合機の開発を行った。レーザー光が探針先端と最もよく相互作用するように光学顕微鏡の光学系を構築し、探針の金属修飾方法を検討した。その結果、時間分解能 3.6秒で光の回折限界を大きく上回る 87 nmの空間分解能を達成する超解像光学イメージングに成功した。  今後、本研究で開発した顕微鏡および手法が生体分子の構造動態を解析する主要なツールとなることが期待される。   図 3. 高速 AFM/蛍光顕微鏡同時観察 (a) 高速 AFM像。TrCel7Aを青矢印で示す。(b) 蛍光顕微鏡像。(c) 各蛍光像を 0.0 sの蛍光像から差分して作成した差分蛍光像。(d) 蛍光差分像の矢印で示した部分のラインプロファイル。フレームレートは 2 fpsであった。高速 AFMと蛍光顕微鏡像の相関は 36 フレームの間、継続した。 

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