A Preliminary Discussion on Analysis and Interpretation of Stone Tool Assemblage Variability

Abstract

先史狩猟採集民が多少なりとも遊動的な生活を送っていたのならば,別々の地点において様々な作業や行動がなされていたに違いない。しかし,その痕跡として残される道具群(石器群)の変異性は,常に明瞭であるのではなく,居住・移動システムのあり方と関連して大きく異なり得る。すなわち,相対的に,低い居住地移動性(residential mobility)や高い兵砧的移動性(logistic mobility)のもとでは道具群の組織的性質は大きな多様性と小さな多用途性・融通性を備え,遺跡・遺物集中部問に現れる変異性が増大するのに対し,高い居住地移動性や低い兵粘的移動性のもとでは道具群の組織的性質は小さな多様性と大きな多用途性・融通性を備え,遺跡・遺物集中部間に現れる変異性が減少する。本稿では,様々な組成から構成される石器群の変異性そのものの分析と解釈の方法について,簡単なシミュレーションを交えて予察的に検討する。多数の遺跡・集中部を対象として石器群の変異性を定量的・明示的に分析・判断し,そうした石器群を形成した居住・移動システム等の解釈への見通しを得るというのがその眼目である

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