金沢大学理工研究域機械工学系生産ラインなどで発生する大量のバラ積み部品のピッキング作業は，専用の整列装置を介して可能となる場合が多く，作為的な環境整備を免れない現状がある．本稿では，レーザ測距式測域センサを駆使して精度良く取得した3次元的点群により表現された立体情報を基に，物体の位置姿勢認識及びハンドリング計画手法の提案と実装を行うことで，バラ積み状態からの把持作業の自動化を多様な形状の品目に対して実現することを命題とする.出版者照会後に全文公

Hikizu Masatoshi

Kamiya Yoshitsugu

Mikami Shu

Seki Hiroaki

三上 脩

疋津 正利

神谷 好承

関 啓明

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3次元点群に基づくロボットハンドリング技術著者 三上 脩, 神谷 好承, 関 啓明, 疋津 正利著者別表示 Mikami Shu, Kamiya Yoshitsugu, Seki Hiroaki,Hikizu Masatoshi雑誌名 精密工学会学術講演会講演論文集巻 2014 Autumn号 B03ページ 71-72発行年 2014URL http://doi.org/10.24517/00050314doi: 10.11522/pscjspe.2014A.0_71Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja 3次元点群に基づくロボットハンドリング技術  金沢大学 ○三上 脩，神谷 好承，関 啓明，疋津 正利  Robot handling by 3-D point-cloud The Kanazawa University: Shu Mikami, Yoshitsugu Kamiya, Hiroaki Seki, Masatoshi Hikizu  The picking operation that is occurred in places such as line for a lot of products or parts placed in a jumble almost cannot be made without special equipment for standing or intentional prepared condition. In this research, we make a proposition about object recognition and plans of handling with 3-D information represented by 3-D point-cloud captured precisely from laser range finder. We applied them to our system and set our aim to automate the robot handling in a jumble condition for items in any shape or form.  1. 緒言 生産ラインなどで発生する大量のバラ積み部品のピッキング作業は，専用の整列装置を介して可能となる場合が多く，作為的な環境整備を免れない現状がある．本稿では，レーザ測距式測域センサを駆使して精度良く取得した 3 次元的点群により表現された立体情報を基に，物体の位置姿勢認識及びハンドリング計画手法の提案と実装を行うことで，バラ積み状態からの把持作業の自動化を多様な形状の品目に対して実現することを命題とする．  2. システム概要 本研究では，工場のライン等で供給される生産部品や家庭環境に存在する小型の剛体を把持物とし，それらが平坦なテーブル上に無造作に置かれた状況を想定する．ハンドリング作業は，レーザ測距式測域センサ LRF(laser range finder)を用いた 3次元情報の取得，3次元情報と既知のモデルを用いた対象物の位置姿勢認識，把持物の事前知識を活用した把持計画により構成される．  3. 手法概要 3.1 ロボットアームに搭載した LRF による 3次元環境計測        Fig.1 A scanning process  LRF はレーザ光を照射して 3 次元空間を 2 次元的に走査することで，領域内の距離点群を取得することができる．計測の視点を自由に変化させて計測を行うために，6DOFロボットアーム本体の手先に LRF を装着した．スキャン面を平行移動させ，空間に対して広範囲に取得した距離データをアームの原点座標系に統合することにより，点群で構成された環境の 3次元形状を生成できる．形状の再現性の高めるために，対象物が存在する領域を前方，上方，右側方，左側方から計測し，隠れによる形状の欠損の補間と軽減を図る．得られた 3次元点群から床面などの既存の環境を取り除き，対象物に関する計測点群のみを抽出する．  3.2 3次元位置姿勢マッチング 物体認識は，対象物の寸法形状が既知であることを前提として行う．原理には ICP アルゴリズムを用い，予め準備した物体モデル点群と計測点群との近傍点探索及びモデルの位置変換の反復計算により式(1)の平均対応点間距離 e(m)を収束させることで，共通する形状の探索と位置姿勢の特定を 3次元的に実行できる．     (a) A square pillar  (b) A model of square pillar Fig.2 Object modeling NNeeNimikmmi  1)()()( qp    …(1)           Fig.3 The principle of occlusion estimation  iiiiinvnv1cos           …(2)  尚 ICP アルゴリズムは，モデル形状が計測形状の一部でないと正しいマッチングが為されないため，LRF の視線から推定して隠れが予想される底面や裏面の点を，モデルの姿勢に合わせて除去し，全体の点数を随時変化させる処理を加えた(Fig.3)．点の表示非表示は，式(2)の i を用いて以下の条件で場合分けする． を表示　のときにはモデル点を非表示　のときにはモデル点ii220 また，マッチングは複数回実施し，各結果を参照して )(me がより小さいものを優先解とする．更に，取り出しの際にはより手近な物体から優先して把持することを戦略とする．  3.3 3次元対象物の把持計画 対象物の認識結果及び 3次元情報を用いて把持計画を行い，把持物の適切な把持点と実行可能なアーム動作を決定する． 3.3.1 アーム手先の把持位置姿勢導出 認識物の位置姿勢に対応した把持箇所の選択とアームの可動範囲内で実現可能な手先の位置姿勢を探索する．その要領は，物モデル点数　対応点間距離　::Ne　モデル点位置ベクトル計測点位置ベクトル　::qp番号番目モデル点の対応点数繰り返し計算の試行回ikmi ::LRF ベクトル番目モデル点の面法線線ベクトル　　　　番目モデル点までの視 iniv ii ::e.g. (a) e.g. (b) 2014年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集Copyright Ⓒ 2014 JSPE－71－B03体が既知であることを利用して事前に教示する．教示するのは，把持物の寸法形状に適合させた把持軸(Fig4(a))とその探索経路とし，基本的に初期位置のアーム手先から最短距離の把持軸を選び，その軸上における把持点と手先の姿勢を探索(Fig.4(c))することで，関節の可動限界を超えないアームの把持姿勢を逆運動学から判定する．複雑形状の物体についても把持軸と探索要領を同様に定義することで，把持計画を容易に行うことができる．      (a) Axes        (b) Point-cloud   (c) Hand positioning Fig.4 Grasp planning  3.3.2 ロボットアームと環境の干渉回避機構 把持点の選定では，物体が密集した環境下で課題となる障害物回避も同時に考慮する必要がある．そこで，干渉が予想されるアームの手先部を直方体モデルにより近似し，計測時に取得した 3次元点群との干渉を距離計算により評価する．これをアームのアプローチ軌道上においても行い，把持計画の必要条件とする．         (a) Use of an arm model      (b) A result of avoidance Fig.5 Interference evaluation  4. 実験事例  バラ積みの環境下で通し実験を行った．対象物は空き缶サイズの円柱とし，物体モデルの把持軸は円柱の中心軸に据えた．    (a) A cylinder          (b) A model of cylinder Fig.6 Object data  4.1 3次元計測と対象物点群の抽出  円柱 4本から成る物体群を前方，上方，右側方，左側方から計測し，約 6000 点で構成された対象物の 3 次元点群を取得した．計測の際の LRF スキャン面の平行移動間隔は 7mm とした．       Fig.7 Condition and a measuring result  4.2 物体群の 3次元認識結果  )(me の閾値を，LRF の精度と同様の 10mm と設定し，40 回のマッチングを行った結果，閾値を下回った最適解が 6回得られた．内3回は最上部の個体に，残り3回は左底部の個体に収束し，)(me の最小値は各々7.1mm(Fig.8(a))と 8.1mm(Fig.8(b))であった．把持の候補が複数選出されたが， )(me が最小であり，尚且つ取り出しが容易な最上部の個体を一巡目把持候補と特定した．       Fig.8 Examples of recognition result  Table1 Result of position and attitude [(a) in Fig.8]    4.3 把持計画と実行結果  把持計画の結果，アームで実現可能な把持姿勢(Fig9(a))が得られ，これを実機に再現させたところ，最終的な把持位置に到達できた．アプローチ軌道はアームの関節補間動作とし，把持物手前で待機した後，直線補間により手先を目標位置に移動させた．      (a) Handling plan        (b) Handling result Fig.9 A handling attitude of robot arm  4.4 反復処理による残りの対象物の取り出し  残る対象物についても，計測，認識，把持計画を順次試みた．二巡目以降の計測結果，認識の最適結果，把持計画を以下に示す．      (a) A system flow for a second target      (b) A system flow for a third target Fig.10 Results of subsequent flow  5. 結言  3次元点群に基づくバラ積みピッキングを，指示モデルを利用して可能とするシステムの提案と具現化を行った．検証より，把持物の特定とその把持計画の自動化が可能であり，システムの一定の有効性を確認できた．今後は，認識力の強化やアームの作業レベルの向上などが課題となる．異種形状の識別及び干渉が避けられない場合の対応策についても検討していく必要がある．  参考文献 1) 永田和之，宮坂崇，金宮好和，山野辺夏樹，丸山健一，川端聡，河井良浩：複雑な環境下における指示物体の把持，日本機械学会論文集(C編)79巻 797号(2013-1) 2) 林俊寛，曽根原光治，井之上智洋，島輝行，河野幸弘：三次元物体認識技術を応用したバラ積みピッキングシステムの開発，IHI技報 Vol.48 No.1 (2008-3) 3) 山崎公俊，友納正裕，坪内孝司，油田信一：密な三次元形状モデルに基づく小型物体の把持，Domestic Conference Papers (2005-9) (a) e =7.1mm (b) e =8.1mm (c) e =10.3mm XYZXYZXYZDiameter   70mmLength     170mm169 points modelFor recognition Collision 2014年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集Copyright Ⓒ 2014 JSPE－72－B03

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