金沢大学理工研究域機械工学系従来，屋内移動ロボットの位置検出や物体認識などを容易にするためにマークが使用されているが，広角カメラの視野の端の方まで検出するのは難しい．そこで，本研究では，再帰性反射マークと，赤外LED付魚眼カメラを用いて，広視野の反射マーク検出システムを開発している．本報告では，反射光量分布シミュレーションを行い，広視野で明るい反射光を得るためのLEDの配置について検討し，試作により評価した.出版者照会後に全文公

Hikizu Masatoshi

Kamiya Yoshitsugu

Kawai Takeru

Seki Hiroaki

川合 健

疋津 正利

神谷 好承

関 啓明

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再帰性反射マークを広範囲で検出するためのカメラ用リング照明の設計著者 川合 健, 関 啓明, 神谷 好承, 疋津 正利著者別表示 Kawai Takeru, Seki Hiroaki, Kamiya Yoshitsugu,Hikizu Masatoshi雑誌名 精密工学会学術講演会講演論文集巻 2013 Autumn号 K62ページ 609-610発行年 2013URL http://doi.org/10.24517/00050343doi: 10.11522/pscjspe.2013A.0.609.0Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja-70 -50 -30-10 1030 50 700.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0.14 0.29 0.43 0.72 1.00 0.8 -1.0 0.6 -0.8 0.4 -0.6 0.2 -0.4 0.0 -0.2 Reflection angle:     [°]Observation angle:     [°]Brightness[-] Brightness[-]Angle of LED:     [°]020406080100120140160-90 -60 -30 0 30 60 90MeasurementFitting curve 再帰性反射マークを広範囲で検出するためのカメラ用リング照明の設計  金沢大学 ○川合健，関啓明，神谷好承，疋津正利  Lighting System of Camera for Widely Detecting Retro-reflective Marks  Kanazawa University  Takeru Kawai, Hiroaki Seki, Yoshitsugu Kamiya and Masatoshi Hikizu  Marks are often attached on target objects or environment to make object recognition or self-localization easier. However, it is difficult to detect marks on corner of wide angle camera. In this paper, we propose LED lighting system of camera with fisheye lens for detecting retro-reflective marks in wide field. We simulated brightness of retro-reflective mark on the plane away from the camera to design LED arrangement. It is important for this simulation to consider the characteristics of the reflection angle and observation angle because of retro-reflection. We have designed and made LED lighting system effective for wide view by using this simulation. Measured brightness distribution of reflected light agreed very well with simulation.  １．緒言  自己位置推定や物体認識を容易にするために，環境や物体にマークを貼付し，カメラでそれらを検出することがしばしば行われる 1)．このとき，広角カメラの視野の端の方のマークまで検出するのは難しい．そこで，本研究では，再帰性反射マークとレンズの周りに赤外 LED を配した魚眼カメラを用いて，広視野の反射マーク検出システムを開発している(Fig.1)．再帰性反射マークは照射された LEDの光を光源方向へ反射するため，マークを高輝度で撮影することができ，LED点灯時と消灯時の 2 つの画像の差分をとることで背景を消去し，マーク検出を容易にすることも可能である．魚眼カメラは広視野であるが，例えば通常のリング照明では，Fig.1の画像（カメラから 2m 離れた面）のようにカメラ真正面のマーク 1に比べ，2m離れたマーク 2は暗く写りがちで検出しにくい．本研究では，反射光量分布シミュレーションを行い，広視野で，できるだけ一定の明るい反射光を得るための LEDの配置を検討・試作した．           Fig.1 Detecting system of reflective marks in wide field  ２．反射マークと LEDの特性測定  マークの検出可能範囲は，反射光量の分布によって決まる．そこで，カメラから距離𝑧にある𝑥𝑦平面におけるマークの反射光量𝐼(𝑥, 𝑦)の分布を求めることを考える(Fig.2)． ),()()(),(  OLD IIrIyxI    (1) DI は LEDとマークの距離𝑟[m]による反射光量の特性， LIは LED の角度𝜃[°]による指向性， OI は反射マークの反射角𝛾[°]と観測角𝛼[°](LED,マーク,カメラのなす角)による反射光量の特性である．各特性を実験により測定し，シミュレーションに必要な近似式を導く．反射光量は，LEDを on/offしたときのマーク画像(256 階調)の明るさの差から求める．なお，LED は OSRAM製 SFH4235，反射マークは，微小なプリズム形状により再帰性反射させるREFLEXITE製 JV104Eを用いた． 2.1 距離特性  LED とマークの距離に対する反射光量の変化を調べた．LED とマークの距離を 0.5m 間隔で変化させ，各 2回測定した結果を Fig.3に示す．距離が離れるにつれ，反射光量は減少する．この結果を反比例近似し，𝑟=2mで正規化すると式(2)のように表せ，𝑘𝐷=2.44，𝑙𝐷=-0.22となった．     2.2 LED の指向性  LEDの指向性を調べた．カメラと LEDを 3.5m離し，LEDの角度を変化させて，3回ずつ測定した結果を Fig.4 に示す．この結果を放物線近似し，正規化すると式(3)のように表せ，𝑘𝐿=-1.21×10-4となった． 1)( 2   LL kI         (3) 2.3 反射角と観測角による特性  マークの各反射角において，観測角の変化による反射光量の変化を調べる．観測角は，カメラと LEDの距離𝑑によって変化させる．観測角は通常 1°以下の微小な角度であるが，再帰性反射の性質により，このわずかな角度の違いで反射光量が大きく変化する．3 回測定した結果を平均し，正規化したものを Fig.5 に示す．当初，反射角と観測角の特性は独立していると予想したが，測定の結果，独立ではないことが分かった．式では表現しにくいため，この特性 ),( OI は，Fig.5 をテーブルとして記憶しておき，補間計算を行って，シミュレーションに用いる．          Fig.2 Geometrical relationship of system          Fig.3 Characteristics of distance  Fig.4 Directivity of LED           Fig.5 Characteristics of reflection and observation angle  22.02437)( rrID      (2) DDD lrkrI )(                     (2) Brightness[-]Distance between LED and mark:     [m]r0204060801001200 2 4 6 8 10LED onLED offDifference of LEDon/offFitting curveReflective mark    Camera Offset  LED        Observation angle Reflection angle Distance Tilt angle of LED Reflective Mark Reflected light Camera with fisheye lens Infrared LED Mark1 Mark2 2m 2013年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集Copyright Ⓒ 2013 JSPE－609－K620510152025-90 -60 -30 0 30 60 90Brightness[-]Angle of LED:     [°](ⅱ)LEDc(ⅰ) Arrangement of Fig.6(ⅰ)xy21 3 4[m]Brightness[-]Angle of LED:     [°](ⅰ)LEDb0.01.02.03.04.05.0-90 -60 -30 0 30 60 90LEDbLEDa420-2-4Location of mark :[m]Location of mark: [m](ⅱ) =45°-4 -2 0 2 4420-2-4Location of mark :[m]Location of mark: [m](ⅰ) =0°-4 -2 0 2 4420-2-4Location of mark :[m]Location of mark: [m](ⅰ)Brightness distribution by LEDb and LEDc-4 -2 0 2 4420-2-4Location of mark :[m]Location of mark: [m](ⅱ)Brightness distribution by LEDa,LEDb and LEDc-4 -2 0 2 4xy21 3 4[m](ⅱ) Arrangement of Fig.8(ⅱ)(before adjusting) (ⅲ) Arrangement of Fig.8(ⅱ) (after adjusting)xy21 3 4[m]３．反射光量分布シミュレーション 3.1 広指向性 LEDを用いたシミュレーション  広視野で明るい反射光を得るための LEDの仕様・配置を検討する．そのため，実験で得られた特性をもとに，LEDの仕様や配置(LED の位置𝑑,傾き )を変えて，一定距離の平面にあるマークの反射光量分布をシミュレーションした．カメラを原点とし，平面までの距離を𝑧=2m とした．式(3)の指向性をもつ広指向性 LED(LEDaとする)1個を𝑑=20mm， =0°で配置したときの結果を Fig.6(ⅰ)，  =45°で配置した結果をFig.6(ⅱ)に示す．広指向性の LEDaを傾けても，遠方の反射光量はそれほど増加しないことが分かった．           Fig.6 Brightness distribution of reflected light by LEDa  3.2 狭指向性 LEDを加えたシミュレーション  遠方にあるマークの反射光量を増加させるため，狭指向性LED を利用する．狭指向性 LED は，LEDaに比べ放射強度が強い．Fig.7 の指向性をもつ LED(LEDb，LEDcとする)，具体的には，VISHAY製 TSHG6410と OSRAM製 SFH4550を用いる．環状に LEDbを𝑑=30mm， =56°で 8個，LEDcを𝑑=40mm， =63°で 30個配置したときの結果を Fig.8(ⅰ)に示す．それに加え LEDaを𝑑=20mm， =0°で 1 個配置した結果を Fig.8(ⅱ)に示し，そのときの𝑥軸上の反射光量分布を Fig.11中の細線に示す．遠方のマークの反射光量を増加させるには狭指向性LED を傾けて用いるのが効果的だと分かった．          Fig.7 LED with narrow directivity            Fig.8 Brightness distribution of reflected light by many LEDs              ４．LED照明の試作と反射光量分布の測定  3.2 の Fig.8(ⅱ)のシミュレーション結果をもとにした LED照明をカメラの周囲に試作した(Fig.9)．カメラは Marlin 製F-131B NIR(1280×1024pixel)，魚眼レンズは FIT製 FI-23（焦点距離 2.3mm）を用いた．各 LED の電流は約 150mA，点灯時間は 40msecとした．カメラから 2m離れた天井に幅 5cm×長さ 4m の反射テープを貼付し，カメラを 15°毎に回転させて反射光量分布の様子を撮影した画像を Fig.10 に，そのときの𝑥軸上の反射光量分布を Fig.11に示す．当初の測定では，測定値がシミュレーションと大きく乖離している所が一部あった．そこで，LEDの角度を微調整し，再度測定を行った結果，測定値とシミュレーションの値は，よく一致した．              Fig.9 Camera with proposed LED light and measurement setup              Fig.11 Brightness of reflected light along 𝑥-axis.  ５．結言  反射マークや LEDの特性を測定し，近似式を求め，カメラから一定距離の平面にある反射マークの光量分布をシミュレーションすることにより，広視野で明るい反射光を得るための LED の配置が検討できた．実際に LED 照明を試作し実測したところ，よくシミュレーションと一致した．特に，独立でない反射角と観測角の特性を考慮した点が効果的であったと考えられる．  参考文献  1) 中里祐介，他：ウェアラブル拡張現実感のための不可視マーカと赤外線カメラを用いた位置・姿勢推定，日本バーチャルリアリティ学会論文誌，10,3(2005)295-304.          Fig.10 Measured distribution of reflected light (Fisheye image) Infrared LED Ceiling Reflective tape (4m) Camera with fisheye lens 5cm LEDa LEDb LEDc Brightness[-]Location of mark: [m]0.00.10.20.30.40.50.60.70.80.9-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4simulationmeasurement before adjustingmeasurement after adjusting2013年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集Copyright Ⓒ 2013 JSPE－610－K62

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