英語媒体授業が学生の理科科目の学びにもたらす影響:高等専門学校の例から見えること

Abstract

EMI (English Medium Instruction) 即ち英語による授業は、近年高等教育を中心に、急激かつ世界的に広がっている現象である。日本でも高等教育改革や留学生増加対策、大学の国際化の文脈で、英語による授業を増やす方策が採られ、大学におけるEMI については少しずつ研究も進んでいる。本論では、まだ研究が進んでいない高等専門学校におけるEMI を取り上げ、1 年生のEMI 理科科目、日本語媒体 (JMI) の理科科目、そして英語科目の成績を統計的に分析し、EMI が学生の学びにもたらす影響について調べた。その結果、EMI 理科科目と英語科目の成績の関連の強さは、第 1 クオータでは EMI 理科科目と JMI 理科科目の成績の関連と同程度の大きさであったのに対し、第 2 クオータでは EMI 理科科目とJMI 理科科目の成績の関連よりも有意に小さくなっていたことがわかった。また、EMI 理科科目と英語科目の成績の関連の強さは、学生の英語科目の成績の良さ・悪さによって有意に変化していなかったこともわかった。このことから、EMI の影響は、学生が英語による授業に慣れるに従って、数ヶ月の間に減少することが示唆される。EMI が第 2 クオータ以降学生の学びに全く影響しないわけではないが、これは、高等専門学校における EMI の導入にとって明るい可能性を示す研究結果と言える

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