取得学位：博士(工学)，学位授与番号：博乙第233号，学位授与年月日：平成13年9月28日,学位授与年：200

Chinaka, Satoshi

地中 啓

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氏名生年月曰本籍学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件学位授与の題目論文審査委員(主査）論文審査委員(副査）地中啓石川県博士(工学）博乙第２３３号平成１３年９月２８日論文博士(学位規則第４条第２項）違法薬物と毒物の分析システムの構築と法科学的応用に関する研究上田一正(工学部・教授）上田穣一(教育学部・教授）元丼正敏(工学部・教授）宮岸重好(工学部・教授）長谷川浩(工学部・講師）学位論文要 旨AbstractInthesestudies，newsensitiveandselectiveanalyticalsystemshavebeendevelopedandappliedtofbrensicanalysesThetargetswereillicitdrugs,methamphetamine(ＭＡ),itsrelatedcompoundsandcannabinoids,ＷｈｉｃｈｗｅｒｅｔｈｅｍｏｓｔａｂｕｓｅｄｄｍｇｓｉｎJapan,andastrongpoison，cyanide、Thedcvelopedsystemsfbrillicitdｍｇｓｗｅｒｅａｓｆｂｌｌｏｗｓ：ａｎHPLCusingpost-columnSimon1sreactionfbrthedeterminationofMA,anHPLCusingapost-columnreactionwithFastBlueBsaltfbrtlledetenninationofcannabinoids,acapillaryelectrophoresis(CE)fbrthesimultaneouschiralanalysisofnineillicitdrugs(l8enantiomers)Thesensitivityofthetwopost-columnreactionHPLCsystemswereoverlOOtimesgreaterthanthin-1ayerchromatographicmethodsusingthesamecolorimetricreactions，whichweretheroutinedruganalysismethodsoftheJapanesePoliceThechiralCEsystemcouldseparatealll8enantiomerswiththedetectionlimitsof0.1,9/ｍＬ,andwasapplicabletourineanalysisThedevelopedsystemsfbrcyanidewerethreesystemsusingpre-columnfluorescencederivatizationwith2,3-naphthalenedialdehydeandtaurineThesystemswereasfbllows:anHPLCwithfluorescencedetectio､,anionchromatography(IC）withfluorescenceandUVdetection,andaCEwithfluorescencedetectionThedetectionlimitsofcyanideweｒｃＯ１ｎｇ/ｍＬｆｂｒａｌｌｔｈｅｓｙｓｔｅｍｓ，ａｎｄｔhelCsystemcoulddetenninecyanideanditsmetabo]iteofthiocyanatesimultaneously､Thesystemswereapplicabletobloodanalysis．1．緒言覚せい剤や大麻、麻薬等の違法薬物の乱用は、世界的にみても大きな社会問題となっている。乱用薬物には、コカイン、ヘロイン等の麻薬が最も多いが、我が国においては、覚せい剤のmethamphetamine（ＭＡ)が最も多く、次いで大麻、麻薬の順になる。覚せい剤の乱用は、－時、減少傾向にあったものの、最近、若年層を中心に再び増加傾向がみられ、また、同時に大麻、麻薬の乱用も増加傾向にある。このような違法薬物の分析においては、分析結果が容疑者の有罪･無罪と直結するため､法科学上､選択性を有する複数の分析法によるクロスチェックが必要とされる。通常、選択的呈色反応を用いた薄層クロマトグラフイ(TLC)とガスクロマトグラフ質量分析(GC/ＭＳ)を用いる場合が多いが､ＧＣ/ＭＳと比較してＴＬＣは10-100倍以上感度が低いという問題点がある。また、ＭＡ等の覚せい剤関連化合物は、不斉炭素をもつため、光学異性体分析が必要とされてきているが、実用的な分析法は未だ確立されていない。一方、近年、殺人･傷害を目的として毒物を食品に混入する事件が多発するようになってきた。このような事件は模倣犯を生み、市民生活に大きな不安を与え、その社会的影響は大きい。毒物混入事件で最も問題となりやすい化合物の一つに、シアン化物がある。シアン化物は非常に毒性が強いにもかかわらず､比較的入手が容易であることから､過去に多くの事件で使用されている。このような事件の犠牲者の死因究明には血液中のシアン分析が必要である。また、最近、火災による犠牲者の死因究明にもシアン分析が必要とされるようになってきた。これは、新建材等に用-525-4．プレカラム蛍光誘導体化反応を用いた血液中シアン分析システムの構築と法科学への応用血液中のシアン分析法としては、K6nig反応を用いた微量拡散吸光度分析法やヘッドスペースＧＣ(HS-GC)が用いられているが、前者は前処理が煩雑で感度が低いという欠点を有し、後者は検出器の安定性や気相のサンプリング技術に熟練を要するため、安定したデータを得にくいという欠点を有する。そこで、2,3-ナフタレンジアルデヒド(NDA)とタウリンによるシアン化物の蛍光誘導体化法をプレカラム反応に用いた分析システムを開発すると共に法科学への応用について検討した。まず、はじめに、汎用的なＯＤＳカラムを用いた蛍光検出ＨPLC(HPLC/FL)について検討した。次いで、陰イオン交換カラムを使用しさらに検出器に蛍光検出器とＵＶ検出器を直列に接続することで、シアン化物とその代謝物であるチオシアン酸の同時定量を可能にした蛍光･ＵＶ検出ＩＣ(IC/FL-UV)について検討した。さらに蛍光検出ＣＥ(CE/FL)についても検討した。試料の前処理はいずれのシステムにおいても同様であり、次のとおりである。血液Ｏ１１ｎＬに水０５ｍL、メタノール２ｍＬを加え撹拝したのち、1600×ｇで１０ｍin遠心分離し得た上澄み液Ｏ５ｍＬを褐色バイアルに取る。ＺｍＭＮＤＡ溶液、50,Ｍタウリン溶液各０１ｍＬを加え撹枠後、室温で暗所に３０ｍｍ放置し蛍光誘導体化反応が完了したのち、分析装置に注入した。ａ）ＨＰＬｑＦＬシステム装置はＦｉｇ６のとおりである。非常に高感度であるため、試薬ブランクからシアン化物濃度に換算して約００４，９/ｍＬに相当するピークが出現したが、極微小であり、さらに、ピーク面積値も常にほぼ一定であった。したがって、検出下限はブランクピークの約２５倍にあたる０１，９/ｍＬとした。検量線は01-200,9/ｍＬの範囲で良好な直線性を示し、ピーク面積値の再現性(ＲＳＤ)は日面ｌｌｌｉ癖壽ii震莚 晉鰐ii雲騰iii鑿學 ＣＥ”capiIlalycazZQせＧ FIuorescencedetector頸･-鯖･I’Ｅｘ、４１ＢｎｍＥｎｌ４６０ｎｍBul壮口lndi｡｡e･armydetGctDrへcapllIaIy■FuB●d已IIIca75ImLd.■117ｃｍ ＡﾉＤＣ□ｎｖＥｒｔＥ「I、いＩＯｕＯＩｅｌ 匝図EIsctToIyteI20mMbo『axbu恥r,ｐＨ６ｌFig.６.ＨＰＬＣ/FLsystem．Fig.７.ＩＣ/FL-UVsystem．Fig.８.ＣＥ/FLsystem・内で１５％、日間で２５％（いずれも〃＝５）であった。血液に濃度が’００，１０００，３０００，９/ｍＬになるようシアン化物を添加し、回収率の検討を行ったところ、いずれの濃度においても８３％前後の回収率が得られた。焼死体血液ついて本法を適用したところ、妨害なくシアン化物の定量が可能であった。なお、定量値はHS-GCにより求めた結果と良好な相関性(涙＝0974)が認められた。ｂ)ICﾉFL-UVシステム装置は、Ｆｉｇ７に示すとおりである。分離カラムに陰イオン交換カラムを用いることで、シアン誘導体とチオシアン酸とを分離し、シアン誘導体を蛍光検出器で、チオシアン酸をＵＶ検出器で検出することにより同時分析することが可能であった。シアン化物に関する感度･定量性はHPLOFLと同様であった。チオシアン酸については、検出下限が５，９/ｍＬであり、検量線は10-1000,9/ｍＬの範囲で良好な直線性を示した。血液からのシアン化物、チオシアン酸の回収率はそれぞれ、約８３％、約100％であった。健常人及び焼死体血液に適用したところ､ｼｱﾝ化物及びﾁｵｼｱﾝ酸の同時定量が可能であった。焼死体血液のクロマトグラムをＦｉｇ９に示す。焼死体血液中のシアン化物濃度については、ＨＳ－ＧＣで求めた値と良好な相関(７２＝0978)を示した。チオシアン酸については喫煙者と非喫煙者間で明確な濃度差が認められたものの、焼死体血液中Fluorescence ロ巴γｒ’ Ａｂｓ－－_-－－－｡－□0１０２０３００１０２０３０RetentIontIme(mIn）Retentiontime(ｍin）Fig.９.ChromatogramsofbIoodhPoI｢､,Mnrevictim．-528-↓のシアン化物濃度とチオシアン酸濃度間には相関は見られなかった。ｃ）Ｃ曰ＦＬシステム装置はＦｉｇ８に示すとおりであり、印加電圧は+３０ｋＶとした。注入は加圧法で行い、Ｓ０ｍｂａｒｘ３０ｓｅｃとしたｄシアン化物の検出下限は０１，９/mＬ（ブランクピークの２．５倍）であり、検量線は01-200,9/ｍＬの範囲で直線性を示し、ＣＥにおいてもHPLC、ＩＣと同様の極めて高い感度を達成した。また、シアン化物ピークの日内再現性は、泳動時間で０２％未満、ピーク面積値で112％未満と良好な値を示した。ｏ５１０１５２０２５Migrationｔｉｍｅ(ｍin）血液試料に適用したところ､妨害なしにシアン化物ピークの検出が可能であった｡健常人血液及びシアン化物を添加したFig.10.Electropherogramsof(a)Mlthy血液のエレクトロフェログラムをＦｉｇｌＯに示す。person，sbloodand(b)bloodspikedwithlOOng/mLcyanide．以上、覚せい剤関連化合物や大麻、シアン化物について、既存の分析法の欠点を克服した新たな分析システムを構築した。いずれの方法も高感度で高選択性と良好な再現性を有し、生体試料等への応用性にも優れていることから、法科学、臨床医学など多方面の分野での標準分析法としての適用が待たれる。学位論文審査結果の要旨各審査委員によって提出学位論文と参考資料を個別に審査し,平成１３年８月６日の口頭発表の結果を踏まえて，同日審査委員会を開催し協議した結果，以下の通り判定した。本論文は，近年，社会問題化している覚せい剤や大麻類などの違法薬物と高い毒性を有するシアン化物について，新たな分析システムを構築すると共に，その法科学的有用性を明らかにしたものである。ｌ）法科学分野の分析法に用いるＴＬＣのシモン反応とＦａｓｔＢｌｕｅＢ塩呈色反応をポストカラム反応ＨPLCに適用し，覚せい剤（メタンフェタミン）及び大麻成分の高感度，高選択的分析システムを確立した。覚せい剤乱用者尿などに応用して，その信頼性を確認した。２）キャピラリー電気泳動法を用いた覚せい剤関連化合物の光学異性体の一斉分離分析法を開発した。キラルセレクターに２種のシクロデキストリンを用い，覚せい剤とその原料エフェドリン類，麻薬類などの９化合物－１８光学異性体の迅速一斉分析法を確立し，科学捜査における有用性を実証した。３）シアン化合物については，蛍光誘導体化法をプレカラム反応に用い，蛍光検出ＨPLC，蛍光・ＵＶ検出ＩＣ，蛍光検出ＣＥの３種の高感度，高選択'性を有する分析システムを構築し，健常人から致死レベルまでの血液中のシアン化物とその代謝物の分析に応用した。本論文で開発された分析法は，既存の方法を克服した最先端の分離分析法であり，法科学のみならず臨床医学など多方面への波及が期待される。従って，本論文は博士学位論文に値すると判定した。-529-

違法薬物と毒物の分析システムの構築と法科学的応用に関する研究

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違法薬物と毒物の分析システムの構築と法科学的応用に関する研究

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