薬学教育における漢方

Abstract

(1.はじめにより) 近年, 何処の薬学部でも「漢方」, 「東洋医学」などの講義科目名のもと, 中国医学に関する授業が行なわれるようになった. 最近では, 学科名に漢方の名称を取り入れた大学もある. 一時期の漢方ブームと呼ばれた時代は去り, 今や国民医療を担う医学として定着した感がある. 卒後も, 薬剤師生涯研修制度の一環として「漢方薬・生薬認定薬剤師制度」が設けられ, 今年で9年目になるが, 大都市で開催される座学による研修会には毎年募集定員を超える申し込みがあるほど関心が高く, 地方ではビデオによる研修会も開講され, 今年度は金沢大学でも開講し, 現在45名が受講している. 折しも, 第15改正日本薬局方には葛根湯をはじめとする漢方エキス剤6処方が新収載された. もはや, 薬剤師は, 自分は漢方に関しては専門外だという立場は許されなくなってきている. 薬学部における教育も当然重要になるが, 現時点ではその内容は大学間で大きな温度差があるようだ. これからは, 単に「葛根湯はカゼ薬」式の教育では, 患者に対する説明がおぼつかなくなることは明白である

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