Hisada Kinichi

Luo Xi Gui

Maeda Toshio

Matsuda Hiroshi

Matsudaira Masamichi

Oguchi Manabu

Takayama Teruhiko

Kanazawa University Repository for Academic Resources

脳シンチグラフィ用剤としての99mTc-グルコネイトの有用性-特に腫瘍と非腫瘍性疾患の鑑別に関して-著者 Maeda Toshio, Luo Xi Gui, Matsuda Hiroshi,Oguchi Manabu, Takayama Teruhiko, HisadaKinichi, Matsudaira Masamichi雑誌名 核医学巻 19号 5ページ 837-840発行年 1982-06-01URL http://hdl.handle.net/2297/3338837  《ノート》   脳シンチグラフィ用剤としての99mTc－グルコネイトの有用性  一時に腫療と非腫瘍性疾患の金監別に関して劇  99mTc－GluconateasausefulBrainImaglngAgentNPossibilityofDi能rential  DiagnosisofTumor丘omNonNtumOrLesion一  前田 敏男＊  羅  錫圭＊  松田 博史＊  大口  学＊  高山 輝彦＊  久田 欣一＊  松平 正道輌  ToshioMAEDA＊，LuoXiGul＊，HiroshjMATSUDA＊，ManabuOGUCHl＊，Teruhiko  TAKAYAMA＊，KinichiHISADA＊andMasamichiMATSUDAIRA＊＊  ＊か申〟J・〟〃ピノけq／∧り化イ紹J・肋㌦c／Jヱe，＊＊∫ビC／∫州qrCe〃加／R（批，f∫OJ叩eぶど川加，  励J7〝ニαll7α∽～′γピI・∫巾ノ，属b〃〟エα†Vα  頭蓋内疾患が疑われた26人に，約20mCi（15～  25mCi）の99nlTc－グルコネイトを静脈注射し，  脳シンチグラフィを施行した．撮像時間はRI投  与後約5分，2時間および24時間を原則として予  定したが，5分像と24時間像が撮像されなかった  症例がおのおの1例と6例ある．99mTc－グルコネ  イトと99mTc－DTPAによる検査結果を比較するた  めに，24例に99nlTc－グルコネイトを投与する約3  日前に99mTc－DTPAによる脳シンチグラフィを  施行した．脳シ∵／チグラムに描画された病巣部の  異常RI集積を視覚的に評価した．つまり頭頂部  の頭蓋輪郭部よりも病巣部の黒化度が大なものを  仙 南老が同等なものを≠，病巣部の黒化度が頭  蓋輪郭部よりも小なものを十，さらに病巣部の異  常集墳増加がわずかに認められるものを主として，  病巣コントラストの判定基準とした．  IⅢ，結  果  飢痛－Tc－グルコネイトの血中クリアラγスは，RI  投与後2時間ほ99mTc－DTPAと同様な速度であ  るが，それ以後は99mTc－DTPAよりも遅い速度  を示した．静脈注射後5分，15分，30分，1時間，   Ⅰ．はじめに  X線CTスキャンが普及した今日でほ，脳シ∵／   チグラフィによる病巣検出率を向上するとともに   病巣の鑑別診断も可能にすることが重要な課題で   ある．脳シンチグラフィ用剤としては，99n－Tc－ジ   エチレントリアミ ン五酢酸（99rnTc－DTPA），99111   Tc－グルコへプトネイトあるいは99n－Tc－グルコネ   イトなどは99nlTc一過テクネチウム酸塩（99fllTcO4▼）   よりも優れていると報告されているト7）．  一 われわ達1ほ99mTc－グルコネイトによる経時的脳   シソチグラフィを行い，本剤の有用性と瞳瘍と非   陸瘍性疾患の鑑別について検討したので報告する．  ⅠⅠ．対象ならびに方法  99mTc－グルコネイト（、CISTCK－10，ミドリ十   字）と99mTc－DTPAの血中クリアランスを3人の   正常人で測定した．  ＊ 金沢大学医学部付属病院核医学診療科  ＊＊  同  アイソトープ部  受付：57年2月9日  最終稿受付：57年4月9日  別刷請求先：石川県金沢市宝町13－1（薗920）  金沢大学医学部核医学教室  前 田 敏 男  Key words：Brain scintigraphy，997nTc－gluconate，  99mTc－DTPA，Braintumor，   83S  核医学 19巻5号（1982）  2時間，4時間および24時間における99111Tc－グル  コネイトと99mTc－DTPAとの血中残存率の比は，  おのおの1．2，1．1，1．0，1．1，1．3，2．1および6．4を示  した（．Fig．1）．   991nTc－グルコネイトによる脳シソチグラムは  26例中23例が病巣部に一致した異常集積を示し，  CaVernOuSangiomaの1例以外は5分像よりも2  時間像のほうが病巣を明瞭に描画した（Tablel）．  脳シソチグラムの所見が正常を示した3例ほⅩ線  CTスキャソも正常であった．99れ1Tc－グルコネイ  トと 99nlTc－DTPAによる脳シンチグラフィを施  行した24例の再検査における2時間像を比較検言  した結果，22例は再老とも病巣部に→致した異常  集積に示し，他の2例は両者とも正常所見を示し  た．つまり病巣検出率に関しては両者の差を認め  なかった．  2 4 6 81012141618202224hour  Time  Fig．1The blood clearance of99IllTc－gluconate and  99mTcMDTPA in three normalvolunteers．  Blood volumeis estimated as7％of body  Weight．  TabIel CaseslnvestigatedandtheResults  Thelesion contrastis classinedinto  ±，＋，一汁，and≠， dicatingrespeCtively  faintaccumulation，1ess prominentthan peripheralrim，aS SameaS peripheral  rirnandmoreprominentthanperipheralrim．Thechangeoflesioncontraston  24－hourimageascomparedwiththe2－hourjmageismarkedwithく，＝，Or＞．  99TllTc－gluconate  99mTcTDTPA  ??????????? Diagnosis  5min． 2hour  24hour  5min． 2hour  J  72  Metastaticbrain tumor  2  59  ／／  3  60  ／／  4  75  ／／  5  64  1／  6  60  け  7  68  ／／  8  54  †／（CentraInecrosis）  9  73  Glioblastoma  10  65  ／／  11   57  「／ rneCrOSis）  12  19 Cysticastrocytoma  13  68 CaverllOuSanglOma  14  32 Tumorwithoutoperation  15  18  ／／  16  59  ／／  17  6  ／／  1S  8 Adrer10leukodystrophy  19  57  丑rainabscess  20  66  Cerebralinfhrction  21  50  J／  22   56 Giantaneurysn］a  23  48 Transientischemicattack  24  28  Non－tumOrCalcification  25   59 Spinalcordlesion  26   37 Epilepsy  ??????????????????????????????????? ???????? ?? ?? ? ? ??????? ＝ ?? ＝脳シンチグラフィ用剤としての99mTc－ゲルコネイトの有用性  839  99mTc－DTPA  （2hour）  9gmTc－gluconate   （2hour）  ∈l細Tc－gluconate   （24hour） Fig．2 METASTATIC】】RAINTUMOR（lateralview）  Thelesioncontraston24－hourimageismoreprominentthanthatof2－hourimage．  99mTc－glueonate  99mTc－gluconate  ⅠⅤ．考  案  99mTc－グルコネイトほCharamzaらによって開  発された8）．本邦でも腎スキャン用剤として報告  されている9）．最近本剤は腫瘍に集積することが  注目されている3～7・10）．g9111Tc－グルコネイトによ  る脳シソチグラムは転移性脳腫瘍の検出において  は991－1TcO4一，99mTcqクエン酸あるいは99mTc－ブ  レオマイシンよりも優れており4），99mTc－DTPA  あるいは57Co－ブレオマイシンと同等であると報  告されている3，4）．今回の検討では，99nlTc－グル  コネイトは転移性腫瘍のみならず他の原発性腫瘍  や非腫瘍性病巣にも99mTc－DTPAと同等な異常集  積を示した．delayedscan時の99nlTc－グルコネイ  トの血中残存率が99mTc－DTPAよりも高いこと  は，通常の脳シンチグラフィやシングルフォトン  ECTに有利であると考えられる．   991－1Tc－グルコネイトを投与した場合，腫瘍病巣  のコントラストは時間と共に増加するといわれて  おり，30分と6時間の2回撮像が報告されてい  る7・10）．今回の検討では5分像よりも2時間像の  ほうが良好な病巣コントラストを示したが，ノ これ  は腫瘍のみならず非腫瘍性疾患でも同様であり，  また99mTc－DTPAによる脳シンチグラフィでも  常識となっている．24時間像について検討した結  果，非腫瘍性疾患や，ほとんど全体が嚢胸や壊死  組織である腫瘍は24時間像の病巣コントラストが   r2hour）  （24hour）  Fjg．3 tiRAINABSCESS（vertexview）  Thelesion contrast on24－hourimageisless  PrOr山nent than that of2⊥hourimage．   99nlTc－グルコネイトによる2時間像と24時間像  ほ20例において撮像した結果，18例が異常集積像  を示した．この異常を示した18例について2時間  像と24時間像を比較した結果，腫瘍13例中11例ほ  24時間像の病巣コントラストが2時間像と同等あ  るいほそ加以上を示した（Fig．2）．24時間像の病  巣コントラストが2時間像よりも滅弱を示した2  例は，広範な壌死を有した神経膠芽経と襲胞性星  細胞膜であった．非腫瘍性疾患ほ5例あり，いず  れも24時間像の病巣コン1、ラストほ2時間像より  も減弱を示したげig．3）．   なお99mTc．グルコネイトと99111Tc－DTPAを同  一症例に投与しても副作用ほ認めなかった．  核医学  19巻5号（1982）  文  献  1）RolloFD，CavalierjRR，BornM，etal：Compara－  tive evaluation of 99mTcGH，99mTcO4‾，and  99mTcDTPA as a brainimaglngagentS．Radio）ogy  lヱ3：579－383，1977  2）Waxman AD，Tanaceseu D，SjemsenJK，et al：  Technetium－99m－glucohepto11ate aS a brain  SCannlng agent：Criticalcomrarison with per－  technetate．JNucIMed17：345－348，1976  3）Mamo L，Panneciere C，PerezR，et al：Value of  cerebralscintigraphic exploration usinglabeled  calcium gluconate 99mTcin the diagnosis of  SpaCeOCCupyingintracraniallesions．Nouv presse  Med4：795－797，1975  4）Akerman M，deTovar G，Chorny DB：Compart．  tive study oftechnetiumL99m gluconate and fbur  Othertechnetiumcomplexes（PerteChnetate，DTPA，  Citrateand bleomycin）in the diagnosis ofmetas－  taticbraintumors．JNucIMed18：630－631，1977  5）D’Onon・ioM，DeFiJippiPG，PolloniR，etal：Use  Of99mTc－gluconate as a positive tumor agent．J  NucIBioIMed4：210，1974  6）Mussa GC：ResultswithTc－99m gluconate as a  positiveindicatorin the diagnosis of brain and  lungeancersinchildren．JNucIMed16：552～553，  1975  7）Mussa GC，Martir）i－MauriM，Bona C：The use  Of99mTe・gIuconate as apositiveindicatorin the  tumorsofchi】dren．JNucIBioIMed20：106，1976  8）CharamzaO，BudikovaM：Methodofpreparation  Of a 99mTc－tincomplex for renalscintigraphy．  Nuclear Medizin8：301，1969  9）石橋 昂，石井勝己，依田一重，他：99mTc標識グ  ルコン酸かレシウムによる腎シンチフォトの臨床評  価．Radioisotopes24：643－646，1975   10）AprileC，FavinoA：99mTcTgluconateimagingiIl  thefo11ow－upOfheadandnecklymphnodemetas－  tases．Progressin Radiopharmacology，Cox  ed，BiomedicalPress，NorthHolland，1979，p75   11）Chandler HL，DeMaster DR：Value of24－hotlr  Tc－99mbrainscans．JNucIMed20：620－621．1979   840   2時間像よりも減弱するのに対し，他の充実性腫  瘍は逆のパターンを示すのは興味ある現象である。  99mTc－グルコネイトほ，障害された脳血液開門を  通過した後，おそらく増殖している腫瘍細胞に取  込まれると考えられる．壊死巣，嚢胸部あるいは  非腫瘍性病巣でほ，血管外に漏出した99nlTc－グ  ルコネイトが時間の経過とともに再度血管内にも  どるため，病巣コントラストが24時間像では減弱  を示すと考えられる．Chandlerらは99mTcO4▼や  99nlTc－DTPAの24時間像でほ，腫瘍は2時間像よ  りもコントラストの械弱を示すものがあるが，脳  梗塞や硬持莫下血陸は2時間像よりもコントラスト  の増強を示したと報告しており11），99ローTc－グルコ  ネイトは逆のパターンである．これは血管内外に  おける99n－TcO4－や99mTc－DTPAの代謝が99rnTc－  グルコネイトと異なるためと考えられる．つまり，  99mTcO4－や99mTc－DTPAが病巣から洗い流され  る速度は，脳腫瘍病巣では比較的速いため，24時  間後には血管内外におけるRI濃度差が減少する  のに対し，脳梗塞や硬膜下血腫のような血流の少  ない病巣では病巣からのRIの洗い流しがおそく  血中のRIクリアランスとの差が大きいため24時  間像の病巣コントラストが良くなるのであろう．  99れITc－グルコネイトは4時間以後の血中クリアラ  ソスが比較的おそいため脳梗塞部のコントラスト  が24時間像では悪くなるのであろう．   以上の観点から99mTc－グルコネイトは脳シン  チグラフィ用剤として有用である．2時間像が異  常を示した場合には24時間像を追加することによ  り腫瘍かどうかの判定に役立つと考えられる，  謝意：99m－TCグルコネイトのキットを提供下さいま  Lたミド1）十字に感謝いたします，本研究を御掟案下さ  いました国立金沢病院放射線科立野育郎博士の御厚意と，  金沢大学脳神経外科学教室（山本信二郎教授）の御協力  に澤く感謝いたします．  

脳シンチグラフィ用剤としての99mTc-グルコネイトの有用性-特に腫瘍と非腫瘍性疾患の鑑別に関して-

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