金沢大学大学院自然科学研究科情報システム金沢大学工学

Akita Junichi

Tanikoshi Taiho

Kanazawa University Repository for Academic Resources

不規則画素配置をもつ撮像表示素子の検討著者 Tanikoshi Taiho, Akita Junichi雑誌名 映像情報メディア学会技術報告巻 30号 32ページ 21-24発行年 2006-06-01URL http://hdl.handle.net/2297/3538社団法人映像情報メディア学会技術報告不規則画素配置をもつ撮像表示素子の検討谷越 大峰† 秋田 純一‡†金沢大学 〒920-1192 石川県金沢市角間町E-mail: †taiho@merl.jp, ‡akita@is.t.kanazawa-u.ac.jpあらまし 従来の映像機器は撮像系や表示系の画素数を増やすことによって, 高精細な画像を表現するように進歩してきた．このため，情報量増大の問題が伴うことになる．また，画素が格子状に配置されているために，画素配置に平行な水平線や垂直線は完全に直線となるが，それ以外の斜め線や曲線にはギザが現れてしまう．この画像の表現が方向によって異なる方向特異性は，解像度を高めることによって解決するのは不可能である．本稿ではこのギザギザが現れないように画素配置を不規則な配置にすることによって，方向特異性のない高精細な画像を表現できる撮像表示素子の検討を行う．また，擬似的に不規則な画素配置の回路レイアウトの実現方法についても述べる．キーワード 不規則画素配置，方向特異性，ギザ，空間スペクトルImage Acquisition and Display Device Architecture usingRandom Pixel PlacementTaiho TANIKOSHI† Junichi AKITA‡†Kanazawa University kakuma-machi, kanazawa-shi, Ishikawa, 920-1192 JapanE-mail: †taiho@merl.jp, ‡akita@is.t.kanazawa-u.ac.jpAbstract Conventional image acquisition and display devices have been developed for expressing more clear image byincreasing the number of pixels. The pixels are located in a matrix in those devices, so the horizontal lines and vertical lines areperfectly represented by matrix pixels, while the slant line and curve have the jaggy edge. In this paper, we discuss the randompixel placement architecture which has no directional singularity of representation, as well as its evaluation. Moreover wediscuss the layout implementation of preudo random pixel placementKeyword Random Pixel Placement，Directional Singularity，Jaggy，Space Spectrum1. まえがき従来の撮像系や表示系の映像機器は画素数を増やすことによって , 高精細な画像を表現するように進歩してきた．しかし，撮像系と表示系の高解像度化にともなって，映像の情報量も増加することになる．このために，映像機器には情報量を削減するための情報圧縮を行う信号処理回路が必要となり，また伝送回路にも高速動作が必要となる．それによって，回路設計が困難となり，消費電力が増大するという問題もある．本稿では，画素の配置を擬似的に不規則にすることによって，撮像・表示デバイスの画素数を増加させることなく高精細な画像を表現するための撮像・表示デバイスの画素の構成の基礎的な検討を述べる．図 1 画像の表現の方向特異性2. 画素配置と画像表現2.1 規則的な画素配置と画像表現従来のほぼすべての撮像系と表示系の画素の配置は、正方格子状に配置されている．画素を六角形格子状に配置することで垂直方向の分解能を等価的に高める撮像素子 [1]もあるが，画素の配置が規則的であるという点は変わりない．高精細な映像を表現するために，従来の撮像・表示素子は，画素の大きさを小さくする，すなわち，高解像度化の道を歩んできた．一方，われわれの人間の目の受光細胞は網膜上に不均一に分布している [2]ため，格子状に配置された画素によって表現される映像は，人間の目には格子として認識されることになる．このような格子状の規則的な画素配置には，画素配置に起因する方向特異性が存在するすなわち，図 1 のように，画素配置に平行な水平線と垂直線は完璧な直線として描かれるが、斜め線や曲線にはギザが現れてしまう．特に，直線の傾きが小さい場合には，ギザの間隔が広い，すなわち，ギザギザの空間周波数が低くなり，人間の目にはそれが目立って認識されることになる．このように，直線などの図形の表現の精細さが，方向によって異なる方向特異性は，従来の高解像度化では解決は不可能である．2.2 擬似的な不規則画素配置と画像表現画像を構成している画素のうち、画素の有効領域、すなわち、撮像素子の受光部または表示素子の表示部分が画素の一部分のみを占有していることから，図 2（ a）のように画素の有効領域が異なる 4 種類の画素を考える．この４つの画素のうち１つを図 2（b）のように格子状に規則的に並べると従来の規則的な画素配置が得られる．画素の有効領域の位置を無作為に変えることで擬似的に不規則な有効領域の二次元配置が得られる[3][4]．しかし、このように不規則な画素配置を設計，製造することは困難である．そこで，4 つの画素を格子状に並べる際に，図 2（ c）のように 4 つの画素のうちどれか 1 つを無作為に選択する方法を考える．この配置において，画素の有効領域に着目すると，擬似的に不規則に並んだ二次元配列であると考えられる．このような擬似的に不規則な有効領域は，その配置の空間スペクトルがホワイトノイズ状であり，またわれわれ人間の目の網膜の受光細胞の空間分布と似ているため，格子状の規則的な画素配置で問題となる方向特異性の問題が解決され，高精細な映像の撮影，表現に有効であると考えられる．多値画像では，アンチエイリアシングによって斜め線の輪郭に対して中間調表現にすることで，見た目をスムーズにする技法がある．しかし，格子状の規則的な画素配置では，アンチエイリアシングを施しても，図形表現の精細さの方向特異性は解決されない．擬似的に不規則な画素配置は多値画像にも適用することができ，方向特異性の問題を解決しつつ，より高精細な画像が表現できることが可能であると考えられる．このような 4 種類の画素は，どの順序で配置してもお互いが正しく電気的に接続される必要がある．そこ図 2 画素の配置（黒色が有効領域）（ a）単位画素，（b）規則的な画素配置（ c）擬似的な不規則画素配置図 3 単位画素の回路レイアウトで全画素に必要な配線である電源線，行選択線，列データ選択線などを図 3 のように同一箇所に配置することで，擬似的に不規則な有効領域の二次元配列を得るために必要な，任意の順序の配列が得られる．3. 画像の表現能力の評価3.1 画素配置の空間スペクトル4 種類の画素から無作為に 1 つの画素を選択して得られる擬似的な不規則画素配置の特性の評価を行った．画素配置自体を評価するため，二値画像を用いて評価を行う．256×256 画素の白画像に、仮想的に 1 つの画素を見立てる 4×4 の領域（仮想画素）を 64×64 個形成する．この仮想画素の中から 1 つを有効領域と見立て，黒画素を配置して，この有効領域の配置の空間スペクトルを求める．図 4 のようにすべての仮想画素内の左上に有効領域を配置した「規則的配置」，仮想画素内の有効領域の位置を 4 種類用意して，乱数によってそのうちの 1 種類を選択して生成した「擬似的な不規則配置」，および仮想画素を超えて，有効領域を乱数によって白画像内に配置した「不規則配置」の３通りの画像を生成した．また，その空間スペクトルを求めたものを図5 に示す．これより，有効領域の位置が異なる 4 種類の画素を不規則な順序で配置して得られる，擬似的な不規則配置は，ほぼ理想的な不規則配置とみなすことができるといえる．図 4 仮想画素と有効領域の配置（ a）規則的配置，（b）擬似的な不規則配置，（ c）不規則配置図 5 各画素配置のパワースペクトル（ a）規則的配置，（b）擬似的な不規則配置，（ c）不規則配置3.2 直線の表現次に、規則的画素配置による画像表現において、特にギザギザが目立ちやすい，傾きが小さい直線の表現ついて評価を行った．この直線のギザギザを示す指標として図 6 に示すような直線の端部の局所的な傾き a= ⊿y/⊿x を考える．規則的な画素配置によって表現された傾きの小さい直線では，この a は，直線の傾きに応じて 0 でない値をとることになる．すなわち a の変化のスペクトルには，変化の周期の長い低周波成分が強く存在し，その結果，これが人間の目にはギザギザとして認識されると考えられる．512×512 画素の画像に 2×2 画素の仮想画素を用意して，256×256 画素の画像を考える．仮想画素内の同一箇所に有効領域を配置したものを「規則画素配置」，仮想画素内の 4 種類の有効領域からどれか 1 種類を乱数によって選択した「擬似的な不規則画素配置」を生成した．それぞれの画素配置において，傾き 3 度で仮想画素 5 個分の幅をもつ直線を描き，仮想画素の有効領域が直線に含まれる場合，その有効領域を黒画素とした画像を図 7 に示す．それぞれの画素配置における直線の，直線端部の局所的な傾き a の変化を図 8 に，またそのスペクトルを図 9 に示す．図 9（ a）の規則的画素配置による表現では 13 サイクル程度の周波数のギザギザが存在し，これが人間の目に目立って認識されることになる．一方，図 9（b）の擬似的な不規則画素配置による表現では，このギザギザに相当する低い周波数成分付近でも同じような強い周波数成分が多く存在し，それによって特定の低い周波数成分が相対的に目立ちにくいことがわ図 6 直線の端部の局所的な傾き（ a）（b）図 7 傾き 3 度の直線の表現（ a）規則的画素配置，（b）擬似的な不規則画素配置（ a） （b）図 8 直線の局所的な傾き a の変化（ a）規則的画素配置による直線，（b）擬似的な不規則画素配置による直線（ a） （b）図 9 直線の局所的な傾き a の変化のスペクトル（ a）規則的画素配置による直線の a（b）擬似的な不規則画素配置による直線の aかる．この低い周波数成分と，その付近での周波数のスペクトル強度比は，規則的画素配置による表現の場合はおよそ 1:40，擬似的な不規則画素配置による表現の場合はおよそ 1:3 となった．4. まとめ本稿では，われわれ人間の目の網膜上の受光細胞の分布特性に着目し，画素の配置を擬似的に不規則な配置にすることによって，方向特異性のない，高精細な映像の撮像・表示が可能な画素構成の，空間配置特性および画素設計の基礎的な検討を述べた．例として傾きが小さい直線の表現に対して評価を行った．規則的な画素配置による表現ではギザギザが目立ちやすく，擬似的に不規則な画素配置による表現ではギザギザが目立ちにくいという評価が得られた．したがって方向特異性がなく高精細な画像が表現できる可能性が示された．また，擬似的に不規則な画素配置の回路レイアウトの実現方法について述べた．文 献[1] T.Yamada et al.: “A progressive CCD imagesensor for DSC applications”, IEEE J. ofSolid-State Circuits, 35, 12, pp.2044–2054 (Dec.2000)[2] M.F.Deering: “A Photon Accurate Model ofthe Human Eye”,ACM Transactions onGraphics, 24, 3, pp.649–658 (2005)[3] M.Markus: “Modeling morphogeneticprocesses in excitable tissues using novelcellular automata”, Biomed. Biochim. Acta., 49,pp.681–696 (1990)[4]M.Markus, Z.Nagy-Ungvarai and B.Hess:“Phototaxis of Spiral Waves”, Science, 257,pp.225–227 (1992)

不規則画素配置をもつ撮像表示素子の検討

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不規則画素配置をもつ撮像表示素子の検討

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