Abstract

南海トラフで繰り返し発生する巨大地震の中には、東海・東南海・南海地震が連動して発生する超巨大地震のケースがあることが指摘されている。このような超巨大地震について、どのような場合に連動し、あるいは非連動性巨大地震となるのかを明らかにすることが必要である。連動型地震の滑り域の範囲がどこまで広がるかを見積もることが重要な課題であり、そのためには南海トラフから沈み込むフィリピン海プレートの形状およびプレート境界周辺の構造、地震活動に関する詳細かつ高精度な情報が必要である。また、南海地震単独で発生した場合についても、深部および浅部低周波地震発生域まで含めた正確な破壊の広がりの把握、複雑な破壊分布の原因を明らかにするために南海地震破壊域とその縁辺での地殻構造や地震活動は重要な情報となる。平成20年度は日向灘、平成21年度は四国沖で調査を実施し、平成22年度は調査海域を東方の紀伊半島沖まで拡大し、沈み込み帯の地殻構造、巨大地震の発生、地震活動の相互関係の解明を目的として、南海・地震破壊域における沈み込みに関する詳細な構造のイメージングおよび地震のアスペリティに関する構造を明らかにするためのデータの取得、および西南日本の付加体先端部付近で発生している低周波地震や微動を含む自然地震観測を実施した。  本講演では、四国沖?紀伊半島沖の平成21~22年度の調査結果について述べる。平成21年10月、および平成22年10~11月、(独)海洋研究開発機構の海洋調査船「かいれい」によって短周期海底地震計各々180台と大容量チューンドエアガン(7800cu. in.)を用いた屈折法・広角反射法探査を実施した(図1)。海底地震計設置期間中に自然地震観測も実施した。四国沖では21観測点、紀伊半島沖では20観測点による約9ヶ月間の長期地震観測も実施した(一部実施中)。なお、本調査は文部科学省からの受託研究「東海・東南海・南海地震の連動性評価のための 調査観測・研究」の個別研究テーマ「南海トラフ域海域地震探査・地震観測」(平成20年度から受託)の一環として実施した。  一部の調査測線の解析の結果、足摺岬沖から日向灘に向かって約6km/sの古い付加体を示す岩体の分布が海側に張り出していること、また、SK05の構造モデルによると、SK03とSK02の中間付近からSK01付近までの付加堆積物が極端に薄いことなど、トラフ平行方向に構造変化があることがわかり、破壊様式の違いに関係する構造ではないかと考えられる。また、測線延長上のHi-net陸上観測点のデータを加えた海陸統合解析を実施しており、これにより深部低周波地震現象と構造との関連性が明らかになると期待されるC11-10発表要旨, 日本地震学会2011年度秋季大会(2011年10月12日~15日, 静岡県静岡市

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