Abstract

大気・海洋間の二酸化炭素や酸素の交換量と,その時空間変動要因や,大気中の温室効果ガスの動態を解明するための一環として,表層海水中溶存酸素の高精度連続観測に取り組んでいる.海洋地球研究船「みらい」では,表層海水連続測定装置により,水温・塩分の測定に加え,世界中で広く利用されているAADI社製OPTODEによる溶存酸素,および,蛍光光度計によるクロロフィルaの測定が行われてきた.OPTODEは時間安定性が優れており,連続観測に適していると考えられているが,応答時間が遅い(カタログによれば67%応答時間は20℃で23秒)という問題があった.そこで,船舶CTDO観測で培った高精度溶存酸素測定技術に基づき,2012年度から表層海水連続測定装置に応答時間が早いJFE Advantech社製RINKOを追加した.溶存酸素検出膜の適切なエイジングと標準ガスを用いたセンサー出力値の線形化,および,時間ドリフト補正用の溶存酸素の分析値を取得することで,溶存酸素の高精度連続観測を実現し,北極海,ベーリング海,西部太平洋,南大洋の広範囲でデータを蓄積した.従来のOPTODEと新たに導入したRINKOの比較から,RINKOに比べてOPTODEは約8分遅れて応答していることや,北極海などでの塩分の短時間での大きな変化に対応してOPTODEが不自然に大きく応答することが明らかになった.さらに,RINKOの技術を応用し,センサーを用いた酸素法による基礎生産量の測定を試みている.これらのデータを総合的に解析し,表層海水中の溶存酸素の時空間変動特性を把握し,変動要因の解明を目指す.BE13-19講演要旨 / ブルーアース2013(2013年3月14日~15日, 東京海洋大学品川キャンパス)http://www.godac.jamstec.go.jp/darwin/cruise/mirai/mr12-e03/

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